映画『ストレイト・アウタ・コンプトン』のパンチライン|ストリートヘッズのバイブル Vol.12

世界の音楽シーンの常識を塗り変えた伝説のギャングスタ・ラップグループ、N.W.Aを描いた傑作から名台詞を紹介!

ライター:TARO

みんな文化ディグってる?「ストリートヘッズのバイブル」ではヒップホップ好きならマストチェックの映画や本から明日使える名言を紹介していくよ。今回取り上げるのは『ストレイト・アウタ・コンプトン(2015)』。ギャングスタ・ラップを世界に広めた伝説的グループ、N.W.Aの結成から成功、そして解散に至るまでを描いた映画だ。今回は『ストレイト・アウタ・コンプトン』から君のマインドをインスパイアする“パンチライン”を3つ紹介するよ!

『ストレイト・アウタ・コンプトン』てどんな映画?

舞台は1980年代のロサンゼルス・コンプトン。アメリカで最も危険とされる街で若者たちはフラストレーションを抱えながら、なんとか日々を生き抜いていた。

DJとして活躍していたドクター・ドレは新たなラップグループを作ることを思いつき、ドラッグ・ディーラーをしていたエリック / イージー・Eに出資をしてくれないかと声をかける。エリックたちは、リリシストのアイス・キューブや、ラッパーのMC・レン、DJ・イェラなどを誘い、ラップ・グループ“N.W.A”を結成。コンプトンのストリートで起きている犯罪や、貧困の現実、そしてアフリカン・アメリカンに対する警察の暴力などをストレートなリリックで表現し若者の間で絶大な人気を得る。しかし同時にその過激表現から警察、さらにはFBIからも目をつけられることに。今ほどヒップホップが世界的に広がっていなかった時代に「世界で最も危険なグループ」としてムーヴメントを巻き起こしたN.W.Aの伝説の日々を描いた映画だ。

『ストレイト・アウタ・コンプトン』の名言

全米で最も貧しい地域の一つ、ロサンゼルス・コンプトンで人種差別や警察からの暴力に苦しめられながら、自分たちの言葉で世界を変えれることを証明した若者たちの物語はヒップホップ好きでなくとも、胸が熱くなること間違いなし。今回はそんな名作『ストレイト・アウタ・コンプトン』から名台詞を三つ紹介するよ。

①N.W.Aの名前の由来編

物語の序盤、N.W.Aのリーダー、イージー・Eはドクター・ドレとアイス・キューブのプロデュースによるファースト・シングル、”Boyz-n-the-Hood” をリリース。
ドクター・ドレのハードなビート、アイス・キューブのリリシズム、そしてイージー・Eの甲高いラップボイスとギャンスタな態度はフッドで熱狂的に迎え入れられ、ラジオのヒットチューンに。レコード工場もゴリゴリの増産体制に移ることになる。イージーもレコードを捌くのに大忙しだ。そんなイージーの前に現れたのが、敏腕プロデューサー、ジェリー・ヘラー。自分ならN.W.Aの音楽をもっと世の中に広めることができると説くジェリーに説得されたイージーは彼にマネージャーを任せることを決意。そこでジェリーがかますのが「N.W.Aって何の略なんだい?“No Whites Allowed(白人お断り)”かい?”笑」という冗談。ここでいきなりこんな冗談をかませるあたり、さすがアメリカといったところだが、その冗談に対して笑っていたイージーがいきなり真剣な表情になって言うのがこちらの台詞。

Nah. Niggas With Attitudes.
違うぜ。“主張する黒人” だよ。

はい。決まりました。
恐らく映画史に残るであろうパンチライン。
これまで人種差別によって自分の言いたいことを発言できない立場に置かれてきたアフリカン・アメリカンの人々の声を自分たちが主張するんだという強い気持ちが表れた名台詞だ。

②ジェリー奮起!対警察編

N.W.A.も次第に有名になっていき、音楽で皆が食べていけるように。楽曲制作に勤しむメンバーたちだったが、ある日スタジオの外で休憩していると急に警察の厳しい尋問が始まる。ただ仕事をしているだけだとするイージーたちの主張を全く聞かず、すぐにメンバーたちを路上に伏せさせる警官たち。何事かとスタジオの外に出てきたジェリーがこの理不尽極まりない事態に激怒して、警官たちに言い放った台詞がこちら。

You cannot come down here and harass these guys because they’re black!
この子たちをただ黒人ってだけで攻撃することは許さない!

普段はインチキ臭い雰囲気を漂わせるマネージャー、ジェリーのアツい部分を感じる名台詞。「ラップはアートじゃない」と言い切るわからず屋の警官に対して絶対に食い下がらないジェリーの音楽プロデューサーとしての信念が垣間見えた名シーンだ。

③ラップの本質を説いた名台詞!記者会見編

N.W.Aが作り出すギャングスタ・ラップは次第にムーヴメントとなっていき、その歌詞の暴力性や過激さは社会問題化していく。そんな中開かれた記者会見では、記者たちからN.W.Aの歌詞はギャングや銃、ドラッグを美化しているのでは?との質問が。そこに対してアイス・キューブが返したのがこちらの台詞。

Our art is a reflection of our reality.
オレたちのアートは現実を映す鏡だ。

ラップの本質を説いた作中屈指のパンチライン。ラップは犯罪を美化してるという白人記者に対して、キューブは「オレはオレが見ているものをラップしてる。オレがいつも外で見てるのはロシアから来た銃とコロンビアから来たコカインだ」と言い放つ。コンプトで育ったN.W.A.のメンバーたちが実際に体験してきた過酷な現実を反映して作り上げたアートは、その後スヌープ・ドッグ、2パック、エミネム、50セント、ケンドリック・ラマーといった多くのラッパーたちに多大な影響を与え、ヒップホップが世界の人々の価値観を塗り変えるカルチャーになることにつながっていったんだ。

画像出典元:Universal Pictures

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