毎月ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人のお気に入りの曲を紹介していく「あの人も実はヒップホップ」。
ヒップホップカルチャーを愛し、自分のやりたいことと仕事を両立する。そんな暑いヒップホップピープルにインタビューしていく企画です。
今月はプロ・バスケットボール選手、牧全(まき・ぜん)さんをゲストにお迎えし、試合直前や家でチルする時、そして車で流す曲や初めてヒップホップに触れた思い出の曲について深掘りしていきます。第1回目は「試合直前に聴く曲」について。牧さんの曲にまつわるアツいストーリーが飛び出しました。
レペゼン:
自己紹介をお願いします。
牧全:
バスケットボール・プレーヤーの牧全です。今30歳で、出身は愛知県です。 お母さんがアメリカ人で、お父さんが日本人、兄弟4人の一番下です。 14歳でお父さんと2人でカリフォルニアのサンタクルーズってところに移住しました。そこからナパバレーの大学に行って、卒業後はプロとして札幌に来ました。 今はBリーグ・レバンガ北海道に所属してます。
試合前のルーティーン
レペゼン:
ありがとうございます。Bリーガーの中でも随一のヒップホップ好きという牧さんからお話しを伺えるのが楽しみです。まずバスケというと試合直前までイヤフォンで音楽を聴いているイメージがあります。牧さんは試合のどれくらい前まで音楽を聴いていますか?
牧全:
僕は会場入って準備するまでは聴いてます。
で、コートに出て行くときに外しますね。
だけど外国人はずっとつけてる人もいます。
レペゼン:
ホント試合ギリギリまですか?
牧全:
そうですね。正直日本だと一人の空間作るなよみたいなことを言ってくる人もいるんですよ。
イヤフォン外して周りと話せよみたいな。ただ外国の人はあんまりそんなの気にしないんで。
レペゼン:
面白い。文化の違いですね。
バスケを辞めようと思った時期に
よく聴いていたシカゴ・ドリル
レペゼン:
試合前によく聴く一曲ってありますか?
牧全:
それ考えてみたんですけど、
オレ音楽好きなんで一つっていうものはあまりなくて。
レペゼン:
そうですよね笑
牧全:
まあ、思い出にあるって言ったら、オレ大学2、3年ぐらいの時に結構バスケが憂鬱になってたんすよ。バスケ疲れたなとか、もうコーチもイヤだし、辞めたいなとか思ってて。その時に流行ってたシカゴのラッパーたちはよく聴いてました。
レペゼン:
あ~シカゴ・ドリルが盛り上がってた時期すね。
牧全:
そうそう。ちょうどその時が大学生の時で。 Chief Keef(チーフ・キーフ)もそうだし、Lil Reese (リル・リース)、あとLil Durk (リル・ダーク)とか。あの辺りがすごい熱くて。
レペゼン:
間違いないですね。
牧全:
その中でもFredo Santana(フレド・サンタナ)っていうシカゴのラッパーが好きでしたね。
歌詞はバスケにまったく関係ないですけど、「My Wrist」って歌が好きで。 落ち込んでいる時にそれ聴いて練習とか行ったりしてました。
レペゼン
どういう点が「My Wrist」は上がる感じなんすか?
牧全
完全にもうサウンドすね。ベースが強くて。
ハイプミュージックじゃないけど、ちょっとアンダーグラウンドな感じがあって。歌詞も結構アメリカのそういうドリルのラッパーって、ハードコアな歌詞が多いじゃないですか。だからドラッギーな歌詞になっちゃうんですけど、俺はもう完全にサウンドとベースとノリが好きでした。自分をハイプさせてくれましたね。
レペゼン
それじゃあ毎回それを聴いて気分上げて練習行ってたみたいな感じですか?
牧全
そうっすね。その時はよくドリル系を聴いてました。今でも試合中に聴きます。
オレは歌詞を聴いて自分を高めるというよりは、やっぱりノリがいい歌を聴きますね。
レペゼン
なるほど。
牧全
ただ僕がいたカリフォルニアでは、シカゴのラッパーの歌を聴くっていう人はそんなに多くはなかったんですよ。やっぱカリフォルニアの人たちはカリフォルニアのラッパーを応援ってのがあるんで。アメリカ行った時にそういうのが実感できて楽しかったですね。
レペゼン
いや面白いですね。そういう生の現地の話いいですね。じゃあ試合直前の曲はFredo Santana「My Wrist」ということで。
牧全
ぜひ音量を上げめ、ベース強めで聴いて欲しいです。
牧さんがバスケを辞めたかった時期に力をもらった一曲は Fredo Santana「My Wrist」。 7月12日UP予定の第2回ではチルする時に聴く曲を聴いていきます。お楽しみに!