これまでに語られた、KANDYTOWNの絆。そして単身ニューヨークに渡り、多くを考えたというKIKUMARUの生き方。ストリートではやはり「つながり」というキーワードが、大きな成果に直結するのだろうか。
これ以降はさらに、楽曲制作やフリースタイルなどの彼の”ライフワーク”、そしてそこに身を置いた者しかわからない”ストリートの定義”について語ってもらった。
レペゼン:
ご自身の楽曲のトラックはどうしてるんですか?
KIKUMARU:
その時々で変えてますね。ニューヨークにいる人に頼んだり、KANDYのトラックメーカーに頼んだり。あとはカッコいいなって思ったビートメーカーに頼んだり、ストックから選んだり、バラバラですね。
レペゼン:
なるほど。周りに才能溢れる人がたくさんいるんでしょうね。羨ましいです。
リリックのインスピレーションはどういう時に受けるんですか?
KIKUMARU:
これもその時々ですね。
ニューヨークに行ってる時だったら、ニューヨークの風景とかは東京にはない物なので、そういう物がリリックになったりしました。あとは観た映画とか、日常的に目に見えない物だったり、見える物だったり、色んなとこからインスピレーションを受けますね。
レペゼン:
常にアンテナ張ってる感じなんですね。
KIKUMARU:
普通に遊んでるだけでもそれはインスピレーションになるし、ただ単に何もしてない日々っていうのも全てがインスピレーションになりますね。
レペゼン:
思いついたリリックはメモしたりするんですか?
KIKUMARU:
そうですね。あとは頭の中に何となく入ってて、リリック書く時にそう言えばって思い出したりする事もありますね。
レペゼン:
なるほど。
KIKUMARU:
でも基本的に曲を作る時は、まずビート聴いて、雰囲気をつかんで、最近思った事を照らし合わせたりする感じが多いですね。
レペゼン:
即興でって言うか、書こうって思った時に出てくることが多い、みたいな感じですか?
KIKUMARU:
そうですね。前回のEPでは、客演で入ってもらう人を呼んで、一緒にビートを選ぶとこから始めて、選んでからコンセプトを決めて、その場で書いて出来上がった感じです。
レペゼン:
お~!!
KIKUMARU:
ソロのアルバムだったらビートを決めて、この曲に対してはこれを書こうって決めて、一人で書いてくみたいな感じでしたね。
レペゼン:
そうだったんですね。ヤバかったというか、喰らったなーっていうコラボ相手は誰ですか?
KIKUMARU:
1番喰らったのは、AL-DOE(アルドー)っていうニューヨークのブロンクスのラッパーですね。Dave East(デイブ・イースト)とかCurren$y(カレンシー)と一緒に曲作ったことある人で。そういう人と一緒に曲を作れたっていうのが、1番衝撃的でしたね。
レペゼン:
AL-DOEさんのすごいところはどんなところですか?
KIKUMARU:
まず曲を作ろうってディールから違いましたね。しかも場所がブロンクスで、デカいスタジオだったし、黒人しかいない場所に入って作ってっていう感覚も今まで経験したことなかったですね。
レペゼン:
すごそう!!
KIKUMARU:
向こうの人の録り方も新鮮でしたね。
スタジオのブースにこもって、4小節分のリリックが書けたら録って、それを繰り返して。ちょっとずつ丁寧にやっていくみたいな感じでしたね。
レペゼン:
へぇ~!そんな感じでやるんですね。AL-DOEさんとはどうやって繋がったんですか?
KIKUMARU:
紹介ですね。
AL-DOEと曲をやりたいっていう日本人のプロデューサーがいて、最初、自分はその人と彼の通訳に入ってたんですよ。
レペゼン:
そうなんですか!
KIKUMARU:
それが終わった後に、「もし自分と曲をやるならやってくれるか?」って話をしたら、「全然やるよ!」ってなったんですよ。
レペゼン:
そんな感じで決まったんですね!
KIKUMARU:
そのプロデューサーがいたから繋がったし、そっからAL-DOEと仲良くなれたのも、ホントに繋がりですね。
レペゼン:
ヒップホップってそういう人の縁でできているところありますよね。
KIKUMARU:
そうですね。でもヒップホップだけじゃないですよ。どの仕事も人の縁が大事だと思います。
レペゼン:
その通りですね!
レペゼン:
フリースタイルはまだやってるんですか?
KIKUMARU:
やってるって言う程やってないですね。バトルとかも出てないですし、バトルにはあんまり興味が湧かなくなっちゃって。
レペゼン:
今は曲作りに集中してるって感じですか?
KIKUMARU:
そっちの方が楽しいですね。昔はどうすれば有名になれるかなって考えた時に、単純に「MCバトルに出て勝てば良いんじゃないか」って思って出てたんです。
しかも周りがやってなかったんで、自分がそこに出て有名になろうってノリでやってましたね。
レペゼン:
そういう経緯だったんですね。
KIKUMARU:
それに昔は、MCバトルに出て”CDとか出してる有名な人に挑みに行く”感じがあったんですよ。でも段々とそういう人も出なくなって、知らない相手に言う事もないのに、何を見せるんだと思うようになって、ちょっと飽きちゃいましたね。
レペゼン:
KIKUMARUさん強かったんですけどね…ちょっと残念なヘッズもいると思います。
KIKUMARU:
まあ、単にフリースタイルは面白いですけどね。戦って賞金や名声を得るみたいなのはもう良いかなって。
レペゼン:
なるほど。その道は通ったけど、別に行き着く先ではないって事ですね。
KIKUMARU:
元々そう思ってやってましたね。逆に自分がまだ若かった時にB-BOY PARKで初めて優勝した時に、こんなんで良いのかなって。
レペゼン:
こんなんで良いのかなって言うのは?
KIKUMARU:
当時まだCDも出してなかったし、自分で自分を認めていない段階で優勝して、周りに優勝したからコイツはすごいみたいに思われて…
レペゼン:
あーなるほど。そういう事ですね。
KIKUMARU:
それがあったんで、次のステップでは音楽に集中しようって。でもCDを出すと、ギャランティが発生することで、遊びだったものが仕事に変わって、これが自分の仕事だなって思えるようになりましたね。
レペゼン:
じゃあフリースタイルはすごく良いきっかけではあったんですね。
KIKUMARU:
それで認知してもらえるようにはなったので、そうですね。でも本当に見てもらいたいところは、あくまでライブだったり音源です。
KIKUMARU Instagram:kikumaru_kandytown
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