開催前にインタビューをさせてもらった、DJ YUTAROによる2月22日のワンマンライブ「DUAL」。本来であればその場に立ち会いたかったのですが、私はDJ SHUNSUKEとして故郷・熊本でのDJ出演が重なり、残念ながら参加することができませんでした。(1Choの皆さん、熊本の皆さん最高でした!)
だからこそ気になったのは、あの夜がどんな空気に包まれていたのか、そしてYUTARO自身がどんな想いでDJブースに立っていたのか。今回は“アフターインタビュー”と題し、開催前に語ってくれた意気込みの“答え合わせ”も含めて、改めて話を聞かせてもらいました。
ワンマンライブを大盛況のうちに終えたYUTAROが振り返る当日の景色、プレイ中の心境、そしてライブを経て生まれた変化——そのリアルな声をぜひ感じてください。

DJ SHUNSUKE:
王城ビルでのワンマン、本当にお疲れ様でした!最高のパーティーだったと聞いています。今日は開催前の「22の質問」に対する答え合わせをしていければと思います。まず、実際にブースに立った瞬間、事前のイメージ通り「テーマパーク」のような空間は作り出せましたか?
DJ YUTARO:
そうですね。音楽的にもテーマパークのようなワクワク感を出したかった。早い時間は箱に合わせて、四つ打ちを盛りだくさんにして「普段は見せていない自分」からスタートしました。「いきなりいつもと違うぞ」という演出は、スタートからしっかり提示できたと思います。
DJ SHUNSUKE:
一曲目は何を選んだんですか?
DJ YUTARO:
エンヤ(Enya)をかけました。会場にはお袋も来ていたし、自分の根幹にあるような、空間の広がりを感じさせる曲が欲しくて。DJ KEKKEさんと対談した時に「一曲目は決めている」って言ってたんですけど、僕はほんとに何も決めてなかったです。「あ、エンヤがあるじゃん!」って閃いて。一曲目からいた人には、テーマパークの入り口のような感覚を再現できたんじゃないかな。
DJ SHUNSUKE:
音響についても、AlphaThetaさんの協力で特別な機材(WAVE-EIGHT)を入れたりと拘っていましたが、一晩鳴らしてみてどうでしたか?
DJ YUTARO:
音はめちゃくちゃ良かったです!僕はモニターの音をかなり上げちゃうタイプなんですけど、返しも最高で。大きい音で聞きすぎて終わった後はなんか聴力おかしかった気がします。でも決して耳痛くなるとかそういうのはなくて。WAVE-EIGHTが2台あったおかげで、サイドの鳴りも補えて本当に助かりました。

DJ SHUNSUKE:
360度お客さんに囲まれる特殊なレイアウトで、一番「熱量」を近くに感じたのは?
DJ YUTARO:
ブースとフロアの距離が柵一枚分くらいで、本当に近かったんです。表情まで全部見える。特にオープンの時ですね。「何が始まるんだろう?」というお客さんのワクワクした顔、ポカンとしている顔、色んな表情がみれました笑
「どこへ連れて行かれるんだろう」というあの空気感が一番伝わってきました。
DJ SHUNSUKE:
ロングプレイという「未知の深海」に潜ってみて、自分自身が一番没入したのは何時間目くらいでしたか?
DJ YUTARO:
意外にも、オープンからの2時間が一番「深海」でしたね。ハウスをメインに、自分の見せていない部分をじっくり聴いてもらう。そこから「よし、ここから当てるぞ!」となってからは、潜るというよりは攻める感覚でした。
DJ SHUNSUKE:
一番の懸念点だった「トイレ問題」は……?
DJ YUTARO:
一回だけで済みました!12時前、四つ打ちをやってる時にどうしても行きたくなって。でも構成を完全に把握していない曲だったので、必死に小節を数えて、32小節、16小節……「今だ!」って押してダッシュしました笑

DJ SHUNSUKE:
まさに危機一髪ですね。さて、22年のキャリアが準備だったという話ですが、具体的に「あの経験に救われた」というシーンはありましたか?
DJ YUTARO:
メインストリームじゃない、当時のコアな楽曲をふと差し込めた瞬間ですね。しっかり音楽を聴き込んできたからこそ、現場の判断で「今これだ」と出せた。今まで積み上げてきた引き出しが、ちゃんと生きたなと思いました。
DJ SHUNSUKE:
終盤、地元の先輩や都内のお客さん、そしてお母様までが一つになった「ユニオン(融合)」した景色はどうでしたか?
DJ YUTARO:
最高でした。都内の人がいて、地元の人がいて、その混ざり合ったフロアでカマすのが一番燃えるんですよ。お袋が来ているのも感動したし……でも、冒頭2時間くらいハウスやってて、ぱっと時計見たらもう0時半とかだったんですよ。残り時間が4時間半ですけど、実際4時間半じゃ全部出しきれなかったです。全然足りなかった。自分の歴史をすべて出し切るには、もっと時間が必要でしたね。
DJ SHUNSUKE:
中盤のダンスホールのクイック展開など、自分らしさは出せましたか?
DJ YUTARO:
正直、あの日は「攻めまくる」より、一曲ずつしっかり提示する方がいい結果に繋がると感じて、途中でプレースタイルをシフトしました。お客さんも僕のことを知って来てくれている人が多かったので、どう面白い変化を見せるか、という部分を大事にしました。

DJ SHUNSUKE:
ハウスのパートで音が抜けた瞬間に盛り上がった、という「嬉しい誤算」もあったそうですね。
DJ YUTARO:
そうなんです!派手なフックじゃなく、ベース一本増えただけでフロアが反応してくれた。音そのもので繋がれた感覚があって、めちゃくちゃ新鮮な体験でした。
DJ SHUNSUKE:
挑戦だった「マイク」については……?
DJ YUTARO:
……マジでできなかったっす(苦笑)。ちょっとやってみたんですけど、何言ってるか自分でわかんなくなっちゃって。配信で喋るのとは訳が違いました。もしこれからワンマンやる人がいたら、マイクの練習は絶対しておけって言いたいですね。

DJ SHUNSUKE:
マイクでは結構苦労したんですね笑
とは言え、フロアとの信頼関係は完璧だったみたいな話は聞きましたがどうだったんです?
DJ YUTARO:
そうですね。フロアから「大丈夫だよ、いっちゃいなよ」って声が聞こえてくるような、一種のゾーンに入っていました。終盤、応援ソングのような曲をかけていた時に泣いている人を見て、「22年やってきて良かった、間違ってなかった」と確信しました。
DJ SHUNSUKE:
後輩たちに「一人前とは何か」を背中で見せたいという目標もありましたね。
DJ YUTARO:
プレイヤー側のみんなにも、ステージ体験の幅というか、「ここまでやって初めて一人前なんだぞ」という提示はできたかなと思います。「ブラックミュージックのイメージが強い僕が四つ打ちをやり切る、その意外性も含めて。
DJ SHUNSUKE:
「日本で一番楽しそうにDJをする姿」は達成できましたか?
DJ YUTARO:
これは100点です!僕が一番楽しんでいました。

DJ SHUNSUKE:
今回の成功を経て、自分の立ち位置に変化はありますか?
DJ YUTARO:
自分の中での変化が大きいです。「俺、今までこんなに真剣にDJに向き合ってたかな?」って反省するくらい、自分を追い込めた。お世話になっているクラブのオーナーさんたちもみんな来てくれて、少しは認められたのかなという実感はあります。
DJ SHUNSUKE:
今回の点数をつけるなら?
DJ YUTARO:
65点です。理由は「時間配分」。引き出しをあと35個開けられなかった。もっと上手く配分できていれば……という悔しさはありますね。
DJ SHUNSUKE:
やり遂げた翌朝、夢にまでDJが出てきたとか。
DJ YUTARO:
そう、夢の中で2 Chainzの『No Lie』をかけて爆上がりしてて笑
本番でかけられなかった悔しさが出たんでしょうね。目覚めてすぐ、次の現場のことを考えてパソコン開いてました。

DJ SHUNSUKE:
業界に火をつけたいという宣言。次にどんなインパクトを与えていきたいですか?
DJ YUTARO:
今のシーンは、もうひっくり返っていい時期だと思うんです。僕が今回やったようなことが、若い子が何かを仕掛ける一発目のフックになればいいなと。燃え尽きることなく、アクションし続けたいです。
DJ SHUNSUKE:
開催前に「来た方がいい!」と言い切った自分に声をかけるなら?
DJ YUTARO:
自分には「おごるなよ、最後まで泥臭く泥臭くアプローチし続けろよ」と言いたいですね。
来れなかった人には楽しかったからかわいそう、ってちょっと思ってます笑
それくらい楽しかった。
DJ SHUNSUKE:
最後に、一緒に一晩を作り上げた、会場で楽しんでくれた皆さんにメッセージを。
DJ YUTARO:
感謝の一言に尽きます。最後は本当にそれしか出てこなかった。……実は僕、ちょっと泣いてました。誤魔化しましたけど笑
本当に最高なパーティーでした。
DJ SHUNSUKE:
最後、鳴り止まないアンコールの中でBULL君が放った一言をそのままマイクで言ったって聞いたんですが、何て言ったんですか??
DJ YUTARO:
「もう一曲聴きたかったら、来年また来い!」って。BULLさんの言葉をそのまま伝えました。終わる寂しさよりも、次への期待を込めて。来年、また楽しみにしていてください。

数ヶ月の準備期間を経て、自らの名を冠したワンマンナイト『DUAL』を完結させたYUTAROのアフターインタビュー、いかがでしたか?
彼の表情には単なる満足感だけではなく、すでに「次」を見据えたような鋭さが宿っていました。来年もきっと新たな景色を見せてくれるはず。開催決定の一報を、今から楽しみに待ちたいと思います。
さて、ここで本編では語り尽くせなかった、開催直前の知られざる舞台裏を。書こうか迷ったのですが、本人の快諾を得たので「特別アフタートーク」として公開します。リアルな空気感そのままの会話ですが、逆境をどう力に変えるかという、彼の大切なマインドが詰まっています。
SHUNSUKE:
パーティへの意気込みをインタビューした3日後だったと思うんだけど「事故って車が廃車になりました」って連絡くれたよね。正直「え、大丈夫なの!?」ってかなりビックリしたんだけど。
YUTARO:
そうなんですよ…。過失割合で言うと10:0とか9:1くらいで相手が悪いんですけど、ガッツリ事故りました。新宿のCasablancaでDJをする直前の出来事です。
SHUNSUKE:
営業に向かう途中だったんだ?
YUTARO:
はい。そのまま救急車で運ばれて。病院へ行った後、体がバキバキの状態のまま現場に戻ってDJしました笑
でも精神的にも結構食らいましたね。車は工場へ運ばれて、帰りはタクシー。僕は普段から車移動がメインの生活なので「これからどうしよう」って絶望して。
結局、翌日には廃車が決まってちゃって。普段から車使う生活してるので、マジで困り果てました。BULLさんにも相談したんですけど、「絶対大丈夫だから、もう新車いっちゃえ!」って背中を押されて。腹を括って新車を買いました。
SHUNSUKE:
俺もLINEで「新車いっちゃえ!なんなら二台いっちゃえ!」って煽った記憶がある、よく考えると笑い事じゃないんだけどね。
YUTARO:
そうでしたね笑
今だから言えますけど、ワンマン前にそんなマイナスのトピックって本来いらないじゃないですか。だから逆に「この事故に、自分の中の負の要素を全部置いてきたんだ」って捉えることにしたんです。新車を買うと決めて、ナンバーも当日にちなんで「222」にして。ローンも組まずに一括です。「倒れるなら思いっきり前に倒れてやろう!」って完全に振り切れましたね。これをモチベーションに変えられたのは、自分にとって大きかったかもしれません。
SHUNSUKE:
超プラス思考!見習いたい。
YUTARO:
まあ、実は他にもいろいろ重なっていて。体に結石ができたり、変なオッサンに絡まれてめっちゃ激しい口論になったり笑
普段とはちょっと違う事が結構起きたりしてました。ワンマンに向けて気を張っていた分、いろんなものを引き寄せたり、過敏になっていた部分もあったのかもとかはちょっと思います。無事に終わった今だからこそ、こうして笑って話せるんですけどね!石はまだ出てきてないですし笑
SHUNSUKE:
思考の部分ってとても大事だから、嫌な事があっても「絶対前に!」っていう考え方が結果的に良い方向へ進めてくれたのかもしれないね!ちなみに「石」は俺も経験者だけど、あれは本当にキツいよ笑
DJに支障が出ないよう、早めに治してください!来年は遊びに行けるように調整しますので!
プロフィール
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2004年16歳よりDJキャリアをスタート、西東京を中心に都内で活動中。現在では各地方にも精力的に出演している。HIP HOP,R&Bを中心にスキルフルにプレイするのを得意とし、2013年頃からMixcloudをDJミックスをあげ始め、フォロワー数約6500人を超え(日本人一位)現在に至る。DJの大会「Redbull 3style」に2016年からエントリーし、2019年にはMIXCD「Sauce」をリリース。2017年頃からDJライブ配信を行なっており、現在17Liveでは24万人近くののフォロワーを獲得している。AbemaTV Homiesにも出演。また、地元八王子で八王子市と協力し、無形文化財を広める活動で舞妓、お囃子、などとイベントを行っている。自身のブランド「DUALSHOCK」としてアパレルも制作しており、また「DUALBEATZ」としてビートメイカー、トラックメイカーとしても活動している。

