目 次
パーティーを通して人の心を強く揺さぶり続ける人達がいる。
彼らは何故、今仕事を選んだのか?
このコーナーではパーティーというカルチャーに関わり続ける演出家たちの過去から現在まで続くキャリアを紐解いていきます。
今回は熊本の市内のアパレルショップ「ANSWER」のオーナーを務めながら、長きに渡り熊本のストリートカルチャーを引率するDJ TAKAさんにお話を伺います!
SHUNSUKE:
まず、出身地とDJ歴を教えてもらえますか?
TAKA:
出身地は熊本県菊池市です。クラブでのDJ活動をスタートしてから、今年で22年になります。
中学の体育祭の全校ダンスの曲がHi-STANDARDの「FIGHTING FISTS, ANGRY SOUL」だった。
SHUNSUKE:
記憶の中で、最も古い音楽体験や、覚えている曲はなんですか?
TAKA:
最も古い、というわけではないですが、初めて「英語の歌詞ってかっこいいなー」と思った音楽体験でいうと、たぶんHi-STANDARDですね。
SHUNSUKE:
どういうきっかけでHi-STANDARDと出会ったのかは覚えてますか?
TAKA:
Hi-STANDARDの「FIGHTING FISTS, ANGRY SOUL」が中学の体育祭の全校ダンスの曲だったんですよ笑
SHUNSUKE:
悪と戦う勇気をくれる喧嘩ソングですね笑
全校ダンスでハイスタって言うのも中々珍しいですね!
TAKA:
はい笑
そこからバンドをやっていた友達と一緒に、夜にライブハウスへ遊びに行くようになって、ロックからミクスチャー、そしてSHAKKAZOMBIEに辿り着きます。ここでHIPHOPの音楽とファッションのかっこよさに衝撃を受けて、そこからOZROSAURUS、BUDDHA BRAND、そして高校に入ってからは自然な流れでUSのヒップホップも聴くようになりました。そこからはとにかく音楽もファッションもHIPHOPのフィルターを通したものに惹かれます。
ゲームチェンジャーが新しいカルチャーを創る瞬間って、すごくワクワクする
SHUNSUKE:
洋楽・邦楽問わず、強く衝撃を受けた楽曲って何だったんですか?
TAKA:
KANYE WESTの「Through the Wire」ですかね。若い僕からすると、Chaka Khanの「Through the Fire」を早回しにして「Through the Wire」とか、何これ!って感じで笑
ふざけてるようで、めちゃくちゃかっこいい。アルバムタイトルの『COLLEGE DROPOUT』、クマの哀愁漂うジャケット、ジーザスヘッドのネックレスにラガーシャツ、リュックスタイル…完全にヒップホップの新時代を目の当たりにしました。Pharrellもそうなんですけど、KANYEの登場で音楽シーンだけじゃなく、ファッションシーンもどんどん変わっていくのには強い衝撃を受けました。こういうゲームチェンジャーが新しいカルチャーを創る瞬間って、すごくワクワクするんですよね。この時から、すっかり大人になった今でもカニエに振り回され続けてます笑
↑リリースされてからヒットするまでに長い時間を要した。渋谷のあるレコード屋では「ケインウエスト」と書かれていた。
ストリートカルチャーに、ずっと恋してる感覚
SHUNSUKE:
ナイトクラブという現場で22年のキャリアを重ねてきた訳ですけど、そもそも、DJを始めるきっかけは何だったのでしょうか?
TAKA:
高校の友達がターンテーブルを持っていて、それを触ったのが最初のきっかけです。DJそのものは面白そうだとは思ってましたが、実際に現場に行って、空気を感じた事が大きかったのかな。昔、熊本にあったJAILというクラブが現在のBAR SANCTUARYの場所にあった時に、遊びに行ったのがとても印象的です。その時に流れていた音楽や、そこにいる人達のファッション、空気感にやられて、ナイトクラブカルチャーの楽しさに目覚めた感じですね。DJをやりたい、っていうスイッチが入りました。
SHUNSUKE:
なるほどですね。ではちょっと突っ込んだ質問なんですが、これまでにDJを辞めようと思ったことはありますか?
TAKA:
辞めようと思ったことはないですね。というより、辞める・辞めないをあまり意識していなくて。箱付きのDJではないので、需要がなくなれば自然とシーンからいなくなっていくのかなと。でも最近は、第一線からの去り際について少し考えることもあります。影響力があるかっこいい状態のうちに、どんどん次世代にバトンを渡したい気持ちもあって。だけどそう考えると、まだまだ第一線でやりたいという気持ちも出てきて笑
結局、好きだから人生の半分以上DJを続けていても辞めようとは思わないんでしょうね。
SHUNSUKE:
ご自身、熊本市内でANSWERというアパレルショップのオーナーをされていますが、アパレルに携わるようになってからも長いと聞いています。
DJもそうですが、単純にこういうカルチャーに惹かれ続けている理由は何だと思いますか?
TAKA:
簡単に見えて難しくて、華やかなようで地味で、正解があるようでない。その奥深さが面白い。
音楽、ファッション、ライフスタイルがリンクしているこのストリートカルチャーに、ずっと恋してる感覚です。常に頭のどこかにいるんですよね笑
洋服屋を同じ期間やれている理由もまったく同じです。一途な漢なんで笑
毎月第3土曜日に開催している「VIVID」を始めた事が一番大きな出来事
SHUNSUKE:
DJキャリアにおけるご自身のターニングポイントがあれば教えてください。
TAKA:
いろいろありますが、一番大きかったのは、今年で13周年を迎えた、現在SPACE KUMAMOTOで毎月第3土曜日に開催している「VIVID」をスタートさせたことです。スタート当時は音楽好き、ファッション好き、お酒好きがそれぞれ分かれていたんですが、「絶対リンクさせた方が楽しい」と思って、ストリートシーンで影響力があってDJが上手くてセンスが良い仲間たちを集結させました。熊本ストリートカルチャーのアベンジャーズみたいな感じですね笑
ありがたいことに、集客もずっと一番多いと言ってもらえていて、ファッションも音楽もIQ高めなお客さんばかり。パッと見みんなアーティストみたいです笑
↑DJ KANGO氏を招いて行われた2017年11月のVIVID。
SHUNSUKE:
13年は長いですね!では、これまでのキャリアの中で、最も印象深い出来事は何ですか?
TAKA:
今話した「VIVID」の10周年ですね。自分のお店、ANSWERでマーチコレクションを制作して、出演者や関係者、クラブスタッフ全員がそれを着て、会場で販売もして、最後まで大盛況なパーティーでした!
…ただ、ちょっと裏話があって。僕だけ前日に「これ、実は10周年じゃない」って事に気付いたんですよ笑
もう誰にも言えなくて。パーティー後にみんな集めて「言わないといけないことがある」って話し始めたら、ちょっとピリッとした雰囲気に。
「今日、10周年じゃない」と伝えたら、みんなスマホで過去を遡り始めて、「嘘?マジ?11周年じゃね?」ってなって、メンバー一同爆笑でした。SPACE KUMAMOTOのスタッフからはチョンボテキーラを飲まされて、自分たちのポンコツ具合に大笑いして終わった、最高の思い出です。
印象深い出来事はいくつもあるんですけど「VIVID」は開催されるたびに楽しかった記憶を常に更新してくれますね!5月もめちゃくちゃ印象的でした。みんなの選曲も良かったし、ド派手なバースデー祝いでショットとシャンパンが飛び交い、前日にライブをしていたTOKYO YOUNG VISIONも遊びに来てくれて、朝まで盛り上がりっぱなしでした!
結果、「VIVID」最高って事です。
カルチャーを次世代にかっこよく繋げていく。
SHUNSUKE:
今ご自身が力を入れていること、また未来へのビジョンがあれば教えてください。
TAKA:
ハンドリングしているアパレルショップ「ANSWER」と、クラブパーティ「VIVID」ですね。熊本のファッションシーンとナイトクラブシーンをもっとリンクさせて、カルチャーを創ってさらに盛り上げて、次世代にかっこよく繋げていく。それが僕の役目で、過去・現在・未来、ずっと変わりません。
「かっこいい」を判断できるセンスを磨くこと
SHUNSUKE:
では最後に、これから熊本のクラブシーンに入ってくる若い人たちに向けて、アドバイスをお願いします。
TAKA:
遊びに来てくれる人たちへは、僕たちが楽しい空間を創れるように頑張るだけです。逆にアドバイスください笑
プレイヤーとして入る人たちへは「かっこいい」を判断できるセンスを磨くこと。そしてロールモデルを見つけて真似しながら、自分のオリジナル性を見出すこと。「新しい」をモノにできるようになると、自然とシーンから評価されて、夢中になっていくと思います。
僕の周りにはかっこよくて、これからシーンを創っていくであろう仲間がたくさんいるので、ぜひ仲良くなってください。みんなで一緒に遊びましょう!