パーティーを通して人の心を強く揺さぶり続ける人たちがいる。 彼らはなぜ、この仕事を選んだのか? このコーナーではパーティーというカルチャーに関わり続ける演出家たちの過去から現在まで続くキャリアを紐解いていきます。 今回のゲストはレペゼン大阪のDJ S.U(エスユー)さん。ヒップホップとの出会いや、若手時代のエピソードをお話しいただいた前編に続いて、後編ではクラブDJにおける美学を紹介します!
前回の記事はこちら → 程よい緊張感をキープしているからこそ良いプレイができる。さまざまな現場にフィットするDJ S.U

思い出深い現場は…
良くも悪くもデビュー戦!

レペゼン :
良い意味でも悪い意味でも良いのですが、これまでのキャリアの中で忘れられない現場があれば教えてください。
DJ S.U :
これも、まさに初めての現場ですね。緊張したはしたんですけど、これまでのキャリアの中でやり切ったなって思える現場を振り返ると、なんだかんだ初舞台なんです。
レペゼン :
デビュー戦で「やり切った」と思えたのは、とても素敵ですね。
DJ S.U
オープンDJだったので、お客さんもそこまでいなかったですけど、終わった時の達成感みたいなものは、今までで一番強かったかもしれません。「忘れられない現場」と聞かれると、良いも悪いも含め、その1回目の時です笑
スクラッチライブの登場によって
さらに「楽しい」と思えた
レペゼン :
次に、キャリアにおけるターニングポイントがあれば教えてください。
DJ S.U
それも前回お話した通り、スクラッチライブが導入されてデジタルのDJになった時だと思います。今の自分のスタイルがあるのは、いろんな音楽をかけられるPCのDJができたからこそだと思うので。
レペゼン :
なるほど。ちなみにPCでのDJが出だしたのは、S.Uさんが何歳の頃ですか?
DJ S.U :
21歳くらいです。レコードを使ったDJを始めたのが17〜18歳で、21歳くらいでスクラッチライブが出てきだして。はじめは「PCでDJができんの!?」って衝撃でしたし、「DJが楽しい」と より一層思うようになったきっかけでもあります。
レペゼン :
アナログからデジタルの転換期をリアルタイムで経験されたお話は興味深いですね。
その日のDJによる
“全員野球”が理想

レペゼン :
DJにおいて、重視しているところを教えていただけますか?
DJ S.U :
大事なのはグルーヴだと思っていて。若い頃はアーリー(パーティの序盤のDJ)を長くやっていたので、曲を残しながら良い形でメインタイムに繋いでいくということを意識していたし、ある程度良い時間を任せてもらうようになってからも、そこは意識して、自分の後に控えてる人のことを考えたりしています。「あのDJはこのあたり使うやろから、そこはかけずに置いといて、できるだけお客さんも残したいな」とか。そういう意味で、そのパーティを俯瞰して見た時の全体のグルーヴは大事にしています。
レペゼン :
奥深いですね。まずは自分のプレイを張り切ってやりたくなりそうですが。
DJ S.U :
もちろん自分の時間だけで完結することも可能なんですよ。例えば1時間あったら1時間の中で好きな曲をバンバン放り投げていって。でもそうじゃなく、早い時間から、メイン、そして終盤にかけての流れを作ることの方が大事じゃないかなと思います。だからこそ、参加してるDJみんなでその流れをうまいこと作れたら良いなと思います。
レペゼン :
まさにその日のDJ達による「全員野球」が求められると。全体のグルーヴを重視することで、お客さんの滞在率も変わったりするんですか?
DJ S.U :
めっちゃ変わります。今は時間別でデータが出ますからね。「何時から何時は何人滞在していて、そこからこの時間までに何人がアウト(退店)した」とか。
レペゼン :
え!そういうデータが出るんですか。DJにとってはかなりプレッシャーですね……笑
DJ S.U :
そうですね。「自分が回してる時間、ちょっと減ったな……」とか。だからずっとオープンで回させられてる子とかはかわいそうですよね。若いからいろいろ言われやすいやろし、とはいえ自分のプレイだけでは変えるのは難しいし。でも毎回数字は突きつけられるからどうしよう、みたいな葛藤もあるし。
レペゼン :
たしかに。でもよく捉えれば、それこそ緊張感を持って臨めますよね。そしてリアルな数字が出るからこそ、ちょっとずつ上向きになるのも分かるという。
必要とされるところで
必要とされるDJをしていく

レペゼン :
最後に、今後の展望や挑戦したいことについて教えてください。
DJ S.U :
これまでと変わらず、幅広い現場で回したいですね。自分が必要とされるところで、必要とされるDJをまだまだやっていきたいですね。現場に対してもっと突き詰めていきたいです。
レペゼン :
キャリアを重ねることって、年齢を経るにつれて、意外と難しいことも出てくると思うので、「変わらずにやる」ということはとても重要ですね!では最後に、読者の方に向けて一言お願いします。
DJ S.U :
DJ楽しいんで、みんなでやりましょう笑
デジタルが主流になっている今、僕の頃よりもDJを始めやすいと思います。大阪のクラブシーンも、若い子らにどんどんやって出てきてほしいですね。
プロフィール
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大阪生まれ、大阪育ち。2006年より地元・大阪を拠点にDJ活動をスタート。 キャリア初期はアンダーグラウンドミュージックを軸にプレイし、クラブカルチャーの土台を現場で培う。その後、数多くのクラブでのプレイを重ねる中で、メインストリームミュージックにも強い関心を持つようになり、20歳を過ぎてからは、アメリカ・ラスベガスで確立されたDJスタイル「オープンフォーマット」に影響を受け、ジャンルや年代の枠にとらわれない幅広い選曲でフロアをコントロールし、ヒップホップ、R&B、ダンスミュージックを軸に、シーンや空気感を読み取った柔軟なプレイを得意とする。 これまでに、全国各地のナイトクラブやイベントにゲストDJとして出演しながらも、3x3 S.League(バスケットボール)、AbemaMix Osakaなどとスポーツ、カルチャーイベントまで、「その場に最適な音」を届けるDJとして活動の幅を広げ続けている。

