目 次
「もう一回だけ最後に言う、来いよ。」その一押しで決心がつきました。
SHUNSUKE:
いくつかの経験を経て、実際に上京したのはこの2年くらいだよね?それまではどこで、どんな活動をしてたの?
NOGU:
上京するまでは、大学の進学先である愛媛のクラブや地元・香川を拠点に、週末だけDJをしていました。大学卒業後は就職して、平日は働きながら週末にDJをするという生活でしたね。
SHUNSUKE:
そっか、一度就職してたんだね。
NOGU:
はい。1年半から2年ほど働いていました。
SHUNSUKE:
仕事を辞めてまで東京に来たのは、何を求めてだったの?何かきっかけがあった?
NOGU:
東京のクラブシーンを見たときに、「ここでやりたい!」と思ったんですが、本当にやっていけるのかという不安もあり、悩んでいました。
でも、先に上京して活動していた仲間のT-STONEの一言に背中を押されましたね。「来いよ。」と誘われて、まだ迷っていたんですが、「もう一回だけ最後に言う、来いよ。」と。決心がつきました。「挑戦するなら今しかない」と思えましたね。
↑T-STONEとDJ NOGU
SHUNSUKE:
おお、決意を固める一言だったんだ。
NOGU:
はい。彼の一言で気合い入りましたね。後は、決意が固まった後にT-STONEのアルバムリリースツアーを回ってたんです。たまたま渋谷のLAURELでT-STONEのライブ前に15分くらいだけDJさせてもらえるチャンスを貰ったんですよ。そのタイミングでDJ HAZIMEさんに「良いじゃん、土曜日、HARLEMで一緒にやろうよ。」って声を掛けてもらって。それで確信に変わっていったというか、勝負できる、やれるって思いましたね。
松山で出会ったDJ GRAPEさんとの出会いが大きな転機に
SHUNSUKE:
途中で辞めてしまった仲間や業界から離れた人もいると思うんだけど、DJを10年以上続けてこられた理由や、本気になったターニングポイントはある?クラブミュージックにどっぷり浸かり続けられる原動力は?
NOGU:
今お話しした、上京するに当たっての出来事ももちろん一つのターニングポイントなんですけど、他に思い起こすのは、愛媛の松山に住んでるときに一緒に活動させてもらったDJのGRAPEさんとの出会いです。自分にとって本当に大切な出会いだったなと思います。GRAPEさんと一緒に立ち上げに携わらせていただいた、CLUB BIBROSで毎月第4土曜日に開催していた‟Blast”と言うパーティーは、色々な事で自分に変化をもたらしてくれました。当時、結構ノリというか勢いでやってた部分があったんですけど、それだけではいけないんだって事に気づかせてくれました。DJとして大切な事や音楽への理解度、パーティやDJへの取り組み方とか、それまでの考えから少しずつ自分が変わっていくのが分かったんですよね。音楽に対してより貪欲になったとも思います。何より、このパーティに出た事で自分が本気になったって自分自身が感じるんですよね。キッカケを下さったGRAPEさんには本当に感謝しています。
さまざまな現場で自分の幅を広げていきたい
SHUNSUKE:
直近の目標や未来のビジョンがあれば教えてください。
NOGU:
今、参加させてもらっている土曜日のHARLEMのメインタイムを回す、というのは一つの大きな目標ですね。
あとは、ありがたいことに上京してすぐに現場でのチャンスをたくさんいただいてきました。これまでは圧倒的にHIPHOPの現場が多かったんですけど、これからはもっと色々な現場で自分の幅を広げていきたいなって思っています。偏ることなく、クラブDJとしてのスキルをどんどん上げていきたいです。一つのジャンルを突き詰めるのも大切ですし、僕の場合はやっぱり一番好きなHIPHOPに自然と特化していったんですけど、最近はオープンフォーマットのスタイルのパーティでも声をかけてもらって。これまでの自分とはまた違う挑戦になるんですけど「凄く楽しいな」って感じるんですよね。東京には世界に名立たる箱もたくさんあるわけで、ワールドミュージックというか、HIPHOP以外にそういう選曲で盛り上がるお客さんに対しても、がっちりロック出来るようになるべく毎日勉強してます。
日本の曲も海外の曲も一緒に楽しめるようなシーンを作っていきたい
SHUNSUKE:
これからのシーンを作っていく世代だと思うけど、どんなシーンにしていきたい?
NOGU:
僕がDJし始めた時期と今を比べると、日本語ラップ、日本の中でのHIPHOPシーンの伸び率がすごいと思うんですよ。
ただ、日本語ラップが好きな子の中には、本当に日本語ラップしか聞かないっていう人が多いですよね。それが絶対悪いという訳ではないです。
だけど、日本語ラップと世界のラップやHIPHOPってそれぞれ個別で切り離して捉えて育っていくと日本国内のHIPHOPシーン、クラブシーンは大きくならないなって感じています。今ナイトクラブにおいては分断してるというか。目当てのアーティストのライブ前は最前列で陣取って全く踊らないお客さんもいるのが現状ですよね。だからこそ、そういう人達も歌ったり踊ったりできるようにジャンルレスにプレイして楽しんでもらって、日本の曲も、海外の曲も、分け隔てなくしっかり楽しめるお客さんを育てていきたいなと。クラブプレイする時って需要と供給のバランスが大事なので、全ての現場でそういうプレイをするわけではないかもしれないですけど、押しつけるのではなく、自然に耳に入って、自然に踊り出せるようなそんな空間を作れたら良いなと思ってます。