目 次
パーティーを通して人の心を強く揺さぶり続ける人達がいる。
彼らは何故、今の仕事を選んだのか?
このコーナーではパーティーというカルチャーに関わり続ける演出家たちの過去から現在まで続くキャリアを紐解いていきます。
今回は東京クラブシーンでめきめきと頭角を表している若手筆頭格、DJ NOGUさんの前編です!
SHUNSUKE:
自己紹介をお願いします
NOGU:
DJ NOGUです。香川県高松市出身、26歳です。
音楽の原体験は母親が聞いていた70sや80sのディスコヒット
SHUNSUKE:
僕とNOGUは親子迄いかないけど、10個以上年が離れてるので凄く興味があるんだけど、記憶の中で、最も古い音楽体験、覚えている曲って何?
NOGU:
子供の頃、母親がディスコヒットのようなものを垂れ流してたんで、凄く覚えていると言われるとそれになるんですかね。Earth Wind & Fireとかもアーティスト名は当時知らなかったんですけど、思い返してみるとそんな感じかなって。音楽だって解釈したのはそういった曲だったように思います。
Anarchyの‟FATE”と出会った事で全てが動き出す
SHUNSUKE:
70sや80sで音楽っていうものを認識したんだ、素晴らしいね!ではヒップホップと出会ったのはいつ頃だった?
NOGU:
Anarchyさんの‟FATE”ですね。どうやって出会ったかというと、YouTubeで偶然巡り合いました。第一印象として今まで聞いてきたJ-Popのような音楽とは全く異質でカッコいい曲、でしたね。まだ中学生だったんですけど、強いインパクトを受けて。リリックから物凄く強いメッセージを感じました。
そもそもこの曲に出会わなかったらヒップホップにも出会わなかったかもしれないし、今のようにDJになっていたかという部分でさえ揺らぐくらいの大きな出会いでした。
SHUNSUKE:
「FATE」を聞いてヒップホップそのものにハマったわけだけど、その流れでDJを志したの?
NOGU:
DJの存在をしっかりと認識したのはもう少し後ですね。丁度、第一回の高校生ラップ選手権とかのころなのかな。リアルタイムで見てて。DJが曲を流してるのをみて「面白そうだな」と思ったのがキッカケです。ヒップホップは色々聞いてたんですけど、自分でラップするとかは中々イメージできなかったんですよね。お喋りもそんなに得意じゃなかったし。そういう中でDJの存在を知って、クールでカッコイイって思って。すぐ始めました。
初めてのDJは18時からのオープンアップ。DJが終わった後は朝まで残らず素直に帰った。
SHUNSUKE:
なるほど。YouTubeで曲を知ったり高校生ラップ選手権だったり僕とは情報の入手先が明らかに違う事に自分自身の年齢を噛みしめています笑
14歳くらいでDJのキャリアをスタートしてるって聞いたけど、いつ、どんなキッカケでクラブやバーでのキャリアをスタートしたの??
NOGU:
15歳の時、地元である香川県高松市のジャンゴというクラブでDJしたのがデビューになると思います。その1回だけで、それ以降そのお店でプレイした事は一度もないんですがBEVERLEY ROCKというお店の方が主催でパーティをされてて。いわゆる早い時間、オープンアップをさせていただきました。未成年っていう部分も考慮してくださって、18時からのプレイ時間を設定してくれました。
↑2013年8月、初めてクラブでDJをした日。持っているのはプロモーションミックスCD。
SHUNSUKE:
よくある話では朝まで潜り込んでた、とかだけど当時のNOGU少年はどうだったの?
NOGU:
当時の僕にはなんだか怖いっていう感覚もあって帰らせてもらいました。今振り返ってみると15歳の子供が真夜中から朝まで続くパーティに参加するってなるとまあ、それなりに怖さはあったのかな。
SHUNSUKE:
全然良いと思うよ、それが正しい判断だよ。初めてのDJはPCだった?既にSERATOとかは世の中に出回ってた頃だと思うけど。
NOGU:
いえ、僕はアナログレコードでした。初めて回したときは、家でセット全て組んでアナログ持って行って、それを披露した感じですね。言われてみれば、たしかにPCでDJが出来るようになってる時代ではあるので、世代的には珍しい方かもしれないですね。
どうしても雰囲気を味わいたくてDJ CAUJOONさんのツアーのリハーサルだけでも…とDMをする
SHUNSUKE:
若くして現場デビューを果たしたけど、デビュー当時に衝撃を受けた出来事や忘れられない出来事とかってあったりする?
NOGU:
それこそ、DJを始めるかどうかとかそんな時期だったと思うんですけど、1Fがレストランで2Fがクラブみたいなところがあって、そこで家族でご飯を食べてたんですよ。で、帰り際にレジのところに置いてあったフライヤーを見たら名古屋から「DJ CAUJOON」京都から「MC AMI」って書いてあったんです。なんだか気になって家に帰って色々調べてみたら凄い人が来るって事が分かって。当然遊びに行きたくなったんですけど、そのクラブは物凄くIDチェックの厳しいお店で、潜入するのは難しかったんです。
こんなチャンス滅多にないと思ったら諦められなくて、TwitterでCAUJOONさんに「僕14歳でクラブに入れないんですが、どうしても雰囲気を少しでも味わいです。リハーサルだけでも見せていただけないですか?」ってDMしたんです。そしたら面白がってくれて電話番号教えて下さって、お話して。「おいでよ」って言ってくださったんですよね。
SHUNSUKE:
凄い行動力だね!
NOGU:
当時はとりあえずでも行動しちゃうタイプでした、今考えても結構イカれてるなって思うんですけどね笑
でも、そうやってSNSでDJ CAUJOONさんと繋がって、当日自転車で現場行かせてもらったんです。ギリギリまでリハーサルを見せてもらって。「ヤベエな!カッコイイ!クラブDJ絶対やろう!!」ってもう凄いインパクトを受けたんですよね。で、CAUJOONさんも面白い少年が居たってInstagramに投稿してくれたんですよ。この出来事が最初の僕のDJデビューに繋がっていきます。
SHUNSUKE:
どういう風につながったの??
NOGU:
後日、高松のストリートでライブをしていた先輩がいて、それを見に行ったんですよ。ストリートライブなんで色んな人が見にきてたりしたんですけど、突然大人の人に声掛けられたんですよ。「お前CAUJOONさんのInstagramに映ってたな!俺洋服屋やってるんだよ、うちの店で話そう!」みたいなこと言われて。最初はなんか怖いなって思ってたんですけど、その方が今も深くつながっているBEVERLEY ROCKの菊地さんでした。そこからもうドップリ音楽に浸かっていった感じですね。そこからBEVERLEY ROCKのパーティ出演っていう流れに繋がっていきました。だから、あの時突発的にCAUJOONさんに連絡をして、お会い出来たことは今の自分を形作るくらい大きな出来事だったんだなって思います。
↑2012年11月、若き日のNOGU少年とDJ CAUJOON氏