目 次
SHUNSUKE:
まず自己紹介からお願いします。
ALISA:
DJ ALISAです。神奈川県出身です。
キッカケ自体は日本語ラップだったのかなってなんとなく思います
SHUNSUKE:
ヒップホップとの出会いはいつ、どんな感じだったの?
ALISA:
最初は恐らく学生時代の先輩に教えてもらった日本語ラップだと思います。出身地の神奈川県にゆかりのあるアーティストを中心に色々教えてもらったんですけど「なんだこのカッコイイ音楽は!!」って衝撃を受けたのを覚えています。同じ時期に洋楽としてのヒップホップやR&Bも聞きだしてたんですが、キッカケ自体は日本語ラップだったのかなってなんとなく思います。
最初に聞いたその時に、心が撃ち抜かれたのがLil’ Moの4Ever (feat. Fabolous)
SHUNSUKE:
衝撃を受けた楽曲とかってある?
ALISA:
ひとつはLil’ Mo4の4Ever (feat. Fabolous)です。好きです、本当に好きです。私のテーマのように思ってます。最初のイントロから全てカッコイイ。リリックも何もわからない、最初に聞いたその時に心が撃ち抜かれました。もうひとつはさっきも話した日本語ラップです。楽曲というより、神奈川のアーティストを中心に色々と聞いてました。特に印象に残ってるのはDJ FILLMOREさん、KOWICHIさんやMUROZOさん、ES-PLANTさんかな。本当にカッコイイと思いました。日本語ラップのリリックとかってやっぱりナチュラルに入ってくるし、その言葉にも救われた事があります。
SHUNSUKE:
日本語も沢山聞いたんだね、イメージとちょっと違うかも。
ALISA:
当時、USで掛かっているようなビートに似た曲も沢山リリースされてたし割と日本語の曲とUSの曲の違和感みたいなものはあまりなかったかなっていう気がしてますね。区別しないで聞いてたように思います。
ヒップホップやブラックミュージックが大好きなクラバーでした
SHUNSUKE:
DJを始めたキッカケって何だったの?
ALISA:
15歳から横浜のクラブに遊びに行ってました。最初は純粋なヒップホップやブラックミュージックが大好きなクラバーでしたね。DJになる事を念頭に考えて思ったわけではなくて、本当に楽しくてしょっちゅう遊びに行ってました。そのうち、DJの友達も増えてきて「DJ楽しそうだな、やってみようかな…」と思ったときには既に環境が割と整ってました。私はやりたい!と思ったら結構すぐ行動してしまう方で、PCとコントローラーをすぐ買い揃えました。買ったらもう後戻りできないし、そこからはもう、沢山行動しましたね。横浜の石川町のクリブで同世代がやってたパーティに遊びに行って、横のつながりを増やして。
SHUNSUKE:
じゃあクラブでのDJデビューみたいなのも割とスムーズだった?
ALISA:
そうですね!というかDJデビューに関していえばかなり早い段階で決めてました、なんなら機材を買い揃える前かも。自分を追い込んで、そこに合わせてスキルアップ出来るように準備をして練習して。それが8年前とか9年前になるのかな…あっという間の出来事で深くは覚えていない部分もあるんですけど大体そんな流れだったかなって思います。
自分とイベント全体を通して、イベントチームを通して自分を表現する事の楽しさ
SHUNSUKE:
もう気が付けば9年近くクラブのシーンでDJし続けてるよね。今は最前線で戦ってると言っても良いと思うんだけど、何かターニングポイントがあって戦い続ける選択をしてるの?
ALISA:
私にとって大きなポイントだったのは「自分のイベントを作った。」と言う事ですかね。自分で製作して自分のやりたい事を貫く事、表現する事が楽しいなって思うようになりました。DJは勿論単純に楽しいんですけど、DJを通して表現する自分とイベント全体を通して、イベントチームを通して自分を表現する事の楽しさも見つけたというか。イベントをやるって言うのはお金もかかるしリスクも抱えるので、お気楽にやれるものではないです。楽しいだけじゃないですけど、私なりに思う事があって。
SHUNSUKE:
思う事、とは??
ALISA:
私はまず、世界で当たり前に起きている事を当たり前にしっかり表現できてるパーティをやりたいんですよ。さらに言えば、当たり前を表現した上で特定の地域で爆発的に盛り上がっている楽曲とかも提示していきたい。これまでやってきたパーティでは、世界の今を表現した中に、さらに強くアトランタにある「マジックシティ」というクラブをイメージした選曲のパーティをやってきました。マジックシティはアトランタのヒップホップシーンにしっかりと根付いたクラブで、数々のアーティスト達が現在進行でパーティするアメリカ全体のシーンに対しても影響力のあるクラブです。だからブッキングしてきた先輩たちや仲間はそういうクラブや地域に対して強く意識がある人達にお願いしてきました。渋谷でやらせてもらっていたんですけど、自分の好きなアトランタをイメージするようなパーティやアトランタのヒップホップを好きな人が楽しめる場所が少ないなって考える中でそもそもはスタートさせたんですけどね。
続けていく中でもっとアトランタのヒップホップも多くの人に知ってもらいたいし、ヒップホップが好きなら知っておくべきだって考えるようになりました。
ターニングポイントとは少し違うかもしれないけど、イベント、パーティをやっているのにはもう一つ理由があって。私も年を重ねてきて、だんだん中堅になってきて一番年下だったのが、どんどん年下が増えてきてます。すごい慕ってくれる後輩もいるし、DJってこうだよ、クラブってこうだよ、パーティってこうだよ、本当にヒップホップが好きだったら、なんかこういう動き方すると人に伝わりやすいよ、とかそういうのを背中で見せてあげたいです。私が見てきたように、先輩たちが紡いできた想いをどんどん繋げていけたらいいなと思うんですね。
SHUNSUKE:
話して呉れたパーティは、今ちょっと休憩期間に入ってる「BALLER」という渋谷Harlemでやってるパーティだよね。
ALISA:
はい、「BALLER」はそういう大切な気持ちが詰まったパーティだし、面白い表現が出来てたなって思うんです。そういう表現をし続けられてる事が自分にとって何よりのターニングポイントなのかなって思います。こういう自分の気持ちに気が付けたのはBX CAFEで行われていた「BLACK HAZE」に出演させてもらってたことだと思います。あのパーティは自分にとって本当に大きかったです。やりたい事、人に伝えたい事が明確に開けたパーティだったなって思います。あとはVUENOS TOKYOで行われていた「LEGIT」ですね。平日から渋谷っていう概念を覆す選曲で海外で流行ってる曲を媚びずにプレイしてたのは凄く印象に残ってます。
SHUNSUKE:
自分の関わってたパーティ名が出てくると少しうれしいです笑
良い影響が少しでもあったのならやっていた意味があるなと思います。ありがとう。
ALISA:
「BALLER」はまた皆さんに楽しんでもらえるように作戦を考えてますのでどうぞご期待ください!
腹をくくらないとやりきれない世界にいると思ってます
SHUNSUKE:
男社会だと言われるクラブ業界だけど、女性DJだからっていう部分で苦労した部分とかってこれまであった?
ALISA:
勿論、多少はありました。ただ、自分には性格的にもまずは「舐められない為にしよう。」っていう強いマインドがあります。男性と同じように扱ってもらって全然良いんです。女だとか男だとか、そういうのじゃなくて「DJ ALISAだから。DJが出来るから呼んでいる。」ってならないと戦えない。一人のDJとしてフラットに戦う為にシャイな男性DJよりもパーティして盛り上げますし、DJの中身も絶対に負けないって思って取り組んでます。時にはきつい事言われたりする事もありますけど覚悟の上だし、精神力がモノを言うとも思ってます。どうしてもやりたいって思う事を男だとか女だとか、性別だけで判断されてたまるかよってところもありますしね。それに本当に勝ち上がろう、評価を得ようと思ったら男だろうが女だろうが、腹をくくらないとやりきれない世界にいると思ってます。覚悟を決めてクラブシーンにいるつもりです。
「日本のクラブ、超イケてる!」って海外の人に思ってほしい
SHUNSUKE:
この先の日本のクラブシーンに期待する事、思う事などあれば一言お願いします。
ALISA:
今インバウンドのお客さんが凄く増えてるわけで、その中でどれくらいの人が満足して帰ってるんだろうとか考える事があります。個人としてやってるパーティがどうとかも勿論大事なんですけど、日本で活動しているクラブに関わる人達の足並みが上手く揃ったら、そこでチームワークみたいなものが生まれたら凄い事になるなって思うんですよね。凄く難しい話かもしれないけど。でもきっとクラブシーンに関わる人達は私含め「日本のクラブ、超イケてる!」って海外の人に思ってほしいだろうし、現実的にそうしたいって思ってるはずなんですよ。そもそも何を基準に足並みっていうのかも色んな角度があるし、壮大な話かもしれないけど、それに向けて何か出来る事とかないかなって思案中です。
あとはやっぱり、私達DJが世界と同じ目線でしっかりとプレイし続ける事ですよね。インバウンドのお客さんがついてこれても日本人のお客さんが付いてこられない状況っていうのがなくなるようにしっかりと今の世界の音楽を提示し続けなきゃいけないなって思います。流れるべき音楽が流れない、というような事がないように、しっかりと意識を持って取り組まないと変化は起きないと思うし。努力し続けるしかないですが、みんなで頑張って行けたら良いなと思います。