ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人のキャリアや仕事について全4回に渡ってインタビューしていく「あの人も実はヒップホップ」。今月のゲストは神奈川県川崎市ですきやき屋「fabi」をオープンされている料理人、横尾秀樹(よこお・ひでき)さん。B-Boy・MACHIとしても活動する横尾さんのヒップホップキャリアについてお伺いしました。Vol.3の今回は独立の経緯、そして当時自分を奮い立たせてくれたラップソングについてお伺いしました。
前回の記事はこちら→ 料理人であり、ブレイクダンサー。横尾秀樹のB-Boyイズムとは?
大人気漫画のコラボメニューを企画!B-Boy料理人、横尾秀樹のキャリアとは?
レペゼン:
現在のお店「すき焼きfabi 」をオープンするに至った経緯についてお伺いしたいです。
ずっと独立したいという気持ちはあったということですが、どういう流れでお店をオープンされたのですか?
横尾秀樹:
独立しようと思って、まず取り組んだのは間借り営業ですね。
東京へ出てきてから、虎ノ門の飲食店で働いていた時期があったんですが、その時は土日が休みで。その土日を自分の独立の準備に使おうと思って、間借りで使わせてくれる飲食店に声を掛けて、間借り営業をやっていました。
レペゼン:
すごい!
休みなしってことですよね。
横尾秀樹:
そうですね。やっぱり独立したかったので、頑張っていました。
そこで間借り営業をしていたら、知り合いから天王洲アイルの「寺田倉庫」という大きな会社でのコンペのお話を頂いたんです。
レペゼン:
どういったお仕事だったんですか?
横尾秀樹:
寺田倉庫で行っていた特別企画「ブルーピリオド展×天王洲 ‐天王洲の青を探せ‐」です。漫画「ブルーピリオド」と、ウェス・アンダーソンというフランスの映画監督とのコラボメニューを作ってほしいというものでした。そのコンペで選んで頂いて、業務委託としてカフェと船のビアガーデンの運営を任せてもらったんです。
レペゼン:
すごいですね!
その仕事ってキャリア的にかなり大きかったんじゃないですか?
横尾秀樹:
だいぶ大きかったですね。貴重な経験をさせてもらいました。
カフェではパスタやカレーを出したり、コラボメニューでは「ブルーピリオド」のストーリーを意識したアートっぽい盛り付けを出したり、あとは船のビアガーデンでは十二カ国ぐらいの料理を出したり、自分の料理の幅がかなり広がったと思います。
レペゼン:
素晴らしいです。
ちなみにどういった方からのご紹介だったんですか?
横尾秀樹:
お世話になっているB-Boyの方で『地球の刺さり方』というプロジェクトで世界100ヵ国以上に行っているkozeeさんと言う人がいて。その方がチャンスをくれたんです。本当に感謝してますね。
kozeeさんのアカウントはこちら
レペゼン:
そこもB-Boy繋がりなんですね!
横尾秀樹:
そうですね。本当にいつもB-Boyの方に助けられています。
それでその企画展の契約が満了して、新しい店を立ち上げようと決心した形ですね。
「すき焼きfabi 」オープンへ
レペゼン:
そこから、どういう経緯ですき焼き屋に行き着いたんですか?
横尾秀樹:
元々、和牛を使った専門店を作りたいと考えていたんです。和牛は他の肉と比べて奥深く、非常に興味深い食材で。何の料理をしようと考えていた時に、関西出身の妻との関わりで、関西風のすき焼きに触れたのがきっかけですね。関東のすき焼きって最初に肉を割り下でしっかり煮込むんですが、関西風すき焼きは最初に焼いて、そのあとで砂糖や醤油を入れるんです。それが面白いなと思って、すき焼き屋を始めようと決めました。
レペゼン:
なるほど。確かに関西風って関東ではあまり見ないかもしれないです。
しかも「fabi」の場合、一人でも食べられるってのが良いですよね。
横尾秀樹:
そうなんです。やっぱりおひとり様からでも和牛の奥深さを楽しんでもらいたいと思っています。
レペゼン:
良いですね!
お客さんはどういった方が多いんですか?
横尾秀樹:
本当に大学生から年配の方まで幅広いですね。
昔のダンス仲間やDJの先輩たちも店に来てくれています。
そういう部分でもB-Boy仲間に助けてもらってますね。
自分を奮い立たせてくれるヒップホップ
レペゼン:
昨年お店をオープンされたばかりで、大変なことも多いと思うのですが、自分を奮い立たせてくれるヒップホップの曲はありますか?
横尾秀樹:
OZROSAURUS「2years」ですね。
【 OZROSAURUS「2years」 】
レペゼン:
MACCHOさんが2歳の娘さんに向けて書かれた曲ですよね。
横尾秀樹:
そうなんです。去年店をオープンしたんですけど、同時期に子供も生まれて。
子供ができると、より覚悟ができたというか。特に
お前の親父はラッパー
言葉と生き様
自分以上に自分の一部一分の一分
の部分が好きですね。
深すぎます。
レペゼン:
良いリリックですね。
横尾秀樹:
お店ってお客さんが来ないと、売り上げゼロじゃないですか。その意味でも頑張らないといけないなってと思いますし。この曲は本当に泣けるぐらい心に沁みますね。
OZROSAURUSに奮い立たせてもらいながら、お店をオープンした横尾さん。次回は「すき焼き fabi」についてさらに詳しく聞いていくよ!お楽しみに!
プロフィール
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料理人。ブラジル・サンパウロで生まれ、10歳の時に静岡県浜松市へ。高校中退後、料理人としてのキャリアを開始。さまざまな飲食店で経験を積む。また16歳からブレイキンを始め、B-Boyクルー、SGM、NAT、THEONEZなどに所属、B-Boyバトルでは「Station vs Station」優勝、「UK B-Boy Championships 2017」 関東予選 準優勝などの結果を残す。 浜松から上京後は、天王洲アイルでの 特別企画「ブルーピリオド展×天王洲 ‐天王洲の青を探せ‐」の企画でシェフを担当。2023年7月には神奈川県川崎市ですきやき屋「fabi」をオープン。関西風のすき焼きを手頃な価格で楽しめる料理店として幅広い世代にファンを持つお店になっている。