料理人であり、ブレイクダンサー。横尾秀樹のB-Boyイズムとは?

修行時代に勇気をもらったのは、あの日本語ラップの名曲!

ライター:TARO

ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人のキャリアや仕事について全4回に渡ってインタビューしていく「あの人も実はヒップホップ」。今月のゲストは神奈川県川崎市ですきやき屋「fabi」をオープンされている料理人、横尾秀樹(よこお・ひでき)さん。B-Boy・MACHIとしても活動する横尾さんのヒップホップキャリアについてお伺いしました。Vol.2の今回は静岡から東京に上京してからの修行時代、そして当時勇気をもらったラップソングについてお伺いしました。

前回の記事はこちら→ B-Boyすき焼き屋、横尾秀樹とは?

19歳で上京。踊る料理人が貫いたB-Boyイズム

レペゼン:
地元、静岡県の浜松で料理人として働きながら、B-Boyをされていた横尾さんですが、なぜ東京に?

横尾秀樹:
きっかけの一つは、ブレイクダンスの先輩で現在REAL AKIBA BOYZで活躍されている涼宮あつきさんが上京したことですね。そもそも上京する理由が欲しかったんです。
ただ僕の親は「ノリと勢いで」っていう感じじゃなく、上京に対して納得のいく理由を求めていたので、まず働き先を見つけてから、あつきさんが住んでいた相模原というところに引っ越しました。

レペゼン:
あつきさんがきっかけだったんですね!

横尾秀樹:
そうですね。
あつきさんは本当にお兄さんのような存在で。
実家にもよく行ってましたし。本当にお世話になりましたね。

レペゼン:
そうなんですね。
東京に来て、最初はどんな飲食店で働いていたんですか?

横尾秀樹:
最初は居酒屋でしたね。
そこからイタリアンで働き始めました。

レペゼン:
飲食業界は厳しいイメージがあるのですが。

横尾秀樹:
まぁ厳しかったですね笑
まだまだフライパンを投げられる時代だったので笑
朝出勤したら、同期が「お給料いらないので、もう辞めさせてください」という手紙を残して辞めてしまったりとか。1日16時間労働で、週1休みとかだったんで。彼女ができても、彼女と過ごす時間がないという生活でした。人間らしい生活ができなかったですね笑

レペゼン:
大変ですね…。
給料とかは?

横尾秀樹:
全然低かったですね。
手取り18万円くらいでした。

レペゼン:
なぜそんな過酷な環境でも頑張れたんですか?

16時間労働、3時間睡眠でも続けたブレイクダンス

横尾秀樹:
なんだろう、ブラジルから日本に来たばかりの時に、日本語が喋れなくて、いじめられていた経験も影響しているかもしれない。ハングリー精神というか、途中でやめられない自分がいますね。言葉にはしづらいんですけど、負けず嫌いというか。

レペゼン:
やっぱり根性というか。

横尾秀樹:
そうですね。人よりはあるのかもしれません。

レペゼン:
10代や20代の頃だと、遊びたい時期でもあったと思います。
周りには遊んでいる人も多かったと思いますが、羨ましいとか思うことはありましたか?

横尾秀樹:
いや、まったく思わなかったです笑

レペゼン:
そうなんですね!笑

横尾秀樹:
職人みたいな生活をしてると、周りと話が合わなくなってくるんですよね。
周りの友達は女の子と飲みに行ったり、カラオケに行ったりしてましたが、僕は全然羨ましくなくて。
ブレイクダンスや料理の勉強してる方が、むちゃくちゃ楽しかったですね。

レペゼン:
良いですね。
その頃もずっとダンスを続けていたんですか?

横尾秀樹:
続けていましたね。

レペゼン:
16時間働きながら、ダンスも続けるのは大変だったと思うのですが。

横尾秀樹:
基本的に3時間睡眠だったんですが、ダンスをやらないと、逆に頭がおかしくなりそうで笑
3日踊らないと体が落ちるのを感じるんですよね。
それが嫌でダンスを続けていました。ダンスをしている方が調子が良かったですね。

レペゼン:
かっこいいです。
そんなタフな時期に勇気をもらったラップソングはありますか?

タフな時期に勇気をもらったのはRHYMESTER「耳ヲ貸スベキ」

横尾秀樹:
RHYMESTER(ライムスター)さんの「耳ヲ貸スベキ」ですね。
めちゃくちゃ好きで、今でもよく聴いてます。

【 RHYMESTER「耳ヲ貸スベキ」 】

レペゼン:
間違いない名曲です。

横尾秀樹:
リリックが響くんですよね。

つまりゲームの脱落者 なりたくなきゃてめぇが何かしなくちゃ

の部分がめちゃくちゃ好きです。負けず嫌いな人にはグッとくると思いますね。

レペゼン:
僕もその箇所、大好きです。

横尾秀樹:
本当に勇気が出る、テンションが上がる曲ですね。
当時は特にいつか自分の店を持つという夢に向かって、しんどいことを耐えていた時期だったので。仕事で嫌なことがあっても、この曲を聴いて、いつかチャンスを掴む準備なのかなと思って腕を磨いてましたね。

 

ヒップホップに勇気をもらい、着実に料理人としての腕を磨いていった横尾さん。次回は料理人としてのキャリアの転機となったお仕事について聞いていくよ!お楽しみに!

 

プロフィール

  • 横尾秀樹(よこお・ひでき)

    横尾秀樹(よこお・ひでき)

    料理人。ブラジル・サンパウロで生まれ、10歳の時に静岡県浜松市へ。高校中退後、料理人としてのキャリアを開始。さまざまな飲食店で経験を積む。また16歳からブレイキンを始め、B-Boyクルー、SGM、NAT、THEONEZなどに所属、B-Boyバトルでは「Station vs Station」優勝、「UK B-Boy Championships 2017」 関東予選 準優勝などの結果を残す。 浜松から上京後は、天王洲アイルでの 特別企画「ブルーピリオド展×天王洲 ‐天王洲の青を探せ‐」の企画でシェフを担当。2023年7月には神奈川県川崎市ですきやき屋「fabi」をオープン。関西風のすき焼きを手頃な価格で楽しめる料理店として幅広い世代にファンを持つお店になっている。

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