自分の好きな音楽と料理の腕をひたすら追求していく。TOMYPのタフな下積み時代。

過酷な修行時代に聴いていた渾身の"勝負曲"とは!?

ライター:ほりさげ

ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人のキャリアについて全4回に渡ってインタビューしていく「あの人も実はヒップホップ」。今月のゲストは、完全会員制・の餃子店「冫(NISUI)」を営むTOMYP(トミーピー)さん。社会人になり、DJやレコードにのめり込む一方で、料理人としてもスキルを磨いていったそう。そんな二刀流の誕生に迫るよ!

前回の記事はこちら→  周りの不良たちがヒップホップに夢中になっていく!?TOMYPの漫画のような学生時代。

先輩とレコードをディグって
好きなラインを再確認した

レペゼン :
高校を卒業された後は、どういった道に進まれたんですか?

TOMYP :
卒業後は、兵庫県で1人暮らしをするようになります。その頃に、クラブで出会った人からDJの声がかかるようになっていきました。バイトして、レコード買いまくって、DJのセットを組んで…というのが楽しくて、ずっとやってましたね。

レペゼン :
本格的に活動ができるようになったわけですね。飲食の世界に進まれたのも同時期ですか?

TOMYP :
はい。飲食は、カフェバーみたいなところでバイトしだしたのが始まりです。でも最初はバーテンダー勤務が中心だったので、コーヒーやお酒を作るのを覚えました。それもDJとかレコードディグの片手間なので頻繁に働いてたわけでもないけど、割と長く続けていたこともあって少しずつ「一緒にお店をやらないか?」と誘われるようになっていったんです。

レペゼン :
音楽と飲食業を並行するTOMYPさんのスタイルは、この頃から既に始まっていたんですね。DJのジャンルについては、当時からずっとヒップホップやR&B、ソウルなどを軸としたスタイルだったんでしょうか?

TOMYP :
そうです。自分はアングラが好きで、当時は、大阪の「ROOTDOWN RECORD」のスタッフをしていたコブラ君っていう人と一緒に、レコードをディグしまくってたんですよ。「DMR」(*)のバイヤーをやってた方なんですけど、当時はその界隈の人たちと遊んでもらうようになってから、「ああ、自分の好きなヒップホップのラインってやっぱりこのへんやな」って思っていましたね。で、そのくらいの頃に飲食の世界にシフトしていったという感じです。

※ … 渋谷を拠点に国内外のダンスミュージック(アナログレコード・CD)を中心に販売していた老舗のレコードショップ。大阪店も1995年〜2010年頃にかけて、多くの音楽好きから愛された。

日本料理店での修行から
鉄板焼き店を経て…

レペゼン :
逆にそれまでは「DJとしてやっていきたい」という目標はあったんでしょうか?

TOMYP :
漠然としてたとは思うんですけどね。DJで食えてない現実を見るものの、その頃はあんまり危機感もなかったし、なんだかんだお金も回せちゃってたし。でも未来のことを考えるなかで、徐々に「地に足をつけなあかんな」って考えるようになって。カフェバーで正社員として働いてみる期間が1年くらいあったんです。それを経て、「料理を作る側に回りたい」と思うようになりました。

レペゼン :
そこから本格的に飲食業界に入っていくんですね。どういうところから始められたんですか?

TOMYP :
肥後橋(ひごばし)の方で和食屋をされている当時60歳くらいの親方のもとで日本料理を学ばせてもらいました。

レペゼン :
料理修行から始められたんですね。何年くらい在籍されていたんですか?

TOMYP :
5年ほどです。そこで料理の基礎をしっかり勉強させてもらったあと、先輩と2人で鉄板焼き屋さんを立ち上げました。そこでは、自分が作る和食と先輩が作る鉄板焼きという、いろんなメニューを出していたんですが、そこで餃子を始めてみたんですよ。

レペゼン :
おお!ここで餃子が出てくるんですね。

TOMYP :
はい。少しずつブラッシュアップしていったところ、だんだん「おいしい」って言ってもらえるようになって。その鉄板焼き屋を3年くらいやったところで、僕は独立して餃子屋を作ったという流れです。

レペゼン :
それが「冫(NISUI)」ですね!

17時間休憩なし!?
超タフな修行時代

レペゼン :
飲食の世界に入られてからも、様々な経験をされたと思うのですが、和食店での修行時代は、やはり大変なことも多かったんでしょうか?

TOMYP :
そうですね。親方は、あんまりものを言う方ではなく背中で見せる人だったんですけど、それよりも拘束時間が半端なく長かったのが大変でしたね。休みもほぼなかったですし。17時間くらい休憩なしでずっと忙しいし、常に立ちっぱなしで。最初の1週間を終えたあとは、両足が痛風みたいにパンパンに腫れていました笑

レペゼン :
それはすさまじい…。

TOMYP :
それまで飲食業もそれなりに長いことやってきたからいけるかなと思ったけど、腕も足もほんまにパンパンになって……。違う筋肉がつきましたね笑
最初はずっと雑用で、ひたすらエビの皮剥きをしたりとか、ずっと塩でぬめりを取ったりしていました。

レペゼン :
すごい。まさにそんな下積み時代あっての今ですね。

ファイティングモードに
入るための大事な1曲

レペゼン :
そんな修行時代に勇気をもらったヒップホップがあれば教えていただけますか?

TOMYP :
そうですね、自分は負けん気が強いこともあるので、アゲるヒップホップを聴いていましたね。ファイティングモードに入るような笑
そういう意味では、WU-TANG CLAN「The M.G.M. 」はすごく好きで、気合が入りましたね。

【WU-TANG CLAN – The M.G.M. 】

レペゼン :
どういうところが気に入ってましたか?

TOMYP :
RZAの太いビートの上でGhostface KillahとRaekwonが掛け合いするんですけど、曲のはじめが「カンカンカン」っていうゴングの音から入るんですよ。当時死ぬほど聴きましたね。車の中で爆音で流していました笑

レペゼン :
なるほど。この曲を聴くと「やったるぞ!」となるわけですね。

TOMYP :
戦闘モードに入るっすね。ゴングと一緒にスタートするっていう笑

次回はいよいよ最終回。TOMYPさんが手がけるイベントは、まさに五感で楽しむエンタメ空間だった!

プロフィール

  • TOMYP

    TOMYP

    大阪在住のDJ/料理人。生粋のレコードディガーとして知られ、幅広いジャンルへの知識を感じさせるニッチでグルーヴィなプレイは、各方面の音好きたちを唸らせてきた。一方で、大阪市内の会員制餃子店「冫(NISUI)」店主としての顔も持ち、古美術や骨董、工芸などに見られる伝統技術と、ヒップホップ、現代アートといったフレッシュな文化が同居する店作りで人気を博している。

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