ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人のキャリアについて全4回に渡ってインタビューしていく「あの人も実はヒップホップ」。今月は長野県長野市に拠点を置く株式会社Huuuu代表、編集者の徳谷柿次郎(とくたに・かきじろう)さんにお話をお伺いしました。Vol.1の今回はHuuuu、そして徳谷さんのお仕事について話して頂きました。
前回の記事はこちら→ ヒップホップに救われた普通のオカンが見出した”カルチャー”という居場所
株式会社Huuuu代表
ヒップホップ好き編集者・徳谷 柿次郎
レペゼン:
自己紹介をお願いします。
徳谷柿次郎:
株式会社Huuuu代表、編集者の徳谷柿次郎(とくたに・かきじろう)です。
大阪出身、1982年生まれの43歳です。ヒップホップミュージックは10代の頃に出会ってから大好きで、ずっと聴いてますね。
レペゼン:
ありがとうございます。ヒップホップ好きの編集者、そして会社代表ということでお話を伺うのを楽しみにしておりました。まずは経営されている会社、Huuuuについて教えて頂けますか?
徳谷柿次郎:
Huuuuは長野県長野市に拠点を置く編集プロダクションです。一言で言うなら、全国47都道府県を旅しながら、現地の取材をしていく編集チームですね。クライアントさんから依頼を受けて地方のお店・仕事・歴史を取材したり、環境問題や人権、またジェンダーなどの社会課題について記事を書いています。
【Huuuuのメンバーたちと】
レペゼン:
非常に興味深いです。そういった取材、記事制作のお仕事というのはどういったクライアントさんから依頼が来るものなのでしょうか?
徳谷柿次郎:
オウンドメディアを持っている企業、メーカーさんなどが多いです。
企業さんから相談を受けて、メディアの立ち上げから一緒に行うこともありますね。
レペゼン:
なるほど。これまでに徳谷さんやHuuuuが携わったメディアはどういったものがあるのでしょうか?
徳谷柿次郎:
僕が携わったものだと、10年前に求人会社のイーアイデムさんと一緒に「ジモコロ」という地方を取り上げるメディアを立ち上げました。今もHuuuuで取材や記事制作を行ってますね。最近だとヤマハ発動機さんと一緒に社会課題を考えるメディア「RePLAY!」を運営しています。
【「地元」と「仕事」をテーマにした WEBメディア「ジモコロ」】
レペゼン:
「ジモコロ」知ってます!めちゃ面白いです!
徳谷柿次郎:
ありがとうございます。会社業務のメインはそういったメディア用の記事制作や運営ですね。
あとは自社発信の事業として「スナック夜風」というバーや「PAKAAN COFFEE STAND」というカフェの立ち上げなどリアルな場づくりも行っています。最近だと自社の出版レーベル「風旅出版」を始めました。自分たちで作った本を自分たちで営業して販売まで行うという、THA BLUE HERBのBOSSさんスタイルでやらせもらってます笑
「面倒を面倒くさがらない」から
生まれるリアルな記事
レペゼン:
多岐に渡るメディアの企画制作に携わっているHuuuuですが、会社としての強みはどこにあると思いますか?
徳谷柿次郎:
やっぱり現地に行くことを面倒がらないことですね。そこに住む人のリアルを見て、難しい現実も含めて自分たちなりの言葉に変える。それを経済合理性を無視してでもやるのが僕らの強みというか、挑戦です笑
レペゼン:
間違い無いですね。
徳谷柿次郎:
いろんなメディアのお仕事で企画の段階でまず僕らに話が来るのも、その姿勢があるからかなと。僕らは常日頃から全国を巡りまくっているので笑
そういうこれまで行動の成果とか、築いてきた人間関係を評価してもらって、最近ではグローバル企業ともお仕事させてもらうようになりました。
レペゼン:
手間暇がかかるだけに、ひとつの記事にかける思い入れも強くなりそうですね。
徳谷柿次郎:
そうですね。あとは全国に仲間がいるからこそ、こちらから「だったらこの人に取材したら面白いよ。あの人にならこういう仕事できるよ」っていう提案ができるところも、うちの1つの武器だと思います。
KREVAに学ぶ生き方と“根性論”
レペゼン:
そんな徳谷さんが最近ハマっているラッパー、ラップソングを教えてください。
徳谷柿次郎:
KREVAですかね。2周くらい回って、今めっちゃ聴いてます。
彼は日本武道館でワンマンをやる力がある一方で、アングラな若手ラッパーをフックアップしたコンピレーションアルバムを作ったり、ZORNを引っ張ってきてメジャーでの振る舞いを教えたりもしてるんです。
そういうオーバーとアンダーを行ったり来たりするような生き方はすごくカッコいいし、僕も意識してる部分ですね。
レペゼン:
良いですね!
KREVAさんの曲の中でも、特に聴いている曲はありますか?
徳谷柿次郎:
ここ1年くらいの曲なんですけど『Expert』は特に好きですね。いまだにこんなにカッコいいんだっていう。周りや自分を鼓舞するようなメッセージで、若い子にも聞かせたいなってなります。
【KREVA 「Expert」】
レペゼン:
カッコいいですよね。
気に入ってるリリックはありますか?
徳谷柿次郎:
この令和の時代に合わないかもしれないのですが、
意気揚々としてたはずが
日々悶々としてる
なんか最後は根性ってのが
本当らしいぜ
の部分が好きですね。彼が自分の道を極めるために「根性」って言葉をあえて使ってる感じがして。僕も移動中の車の中で聴いたりするし、会社の子にも「これ、聴いとき!」って言って曲のリンクを送りつけるという「クレバハラスメント」をしてます笑
KREVAにパワーをもらいながら、リアルな記事を作り続ける徳谷さん。次回は地元・大阪での少年時代やヒップホップとの出会いについて聞いていくよ!お楽しみに!
プロフィール
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株式会社Huuuu代表取締役。大阪府出身。新聞配達と松屋のアルバイトでコツコツと積み上げる労働の原点を培う。二度目の上京で編集プロダクションに拾われて、社会人の喜びを知る。その後ウェブ系のコンテンツ制作会社の創業期に転職。企画、ディレクション、バックオフィス全体に携わった後に35歳で独立。株式会社Huuuuを立ち上げる。主な仕事に『ジモコロ』『Yahoo! JAPAN SDG`s』『SuuHaa』『OYAKI FARM』『DEATH.』など。 40歳の節目で『風旅出版』を立ち上げて自著『おまえの俺をおしえてくれ』を刊行。長野市では『シンカイ(休止中)』『MADO / 窓』『スナック 夜風』を営んでいる。座右の銘は「心配すな、でも安心すな」。