ラップ好き社長 田中時宗が創り出す新たなパラスポーツの可能性

車いすバスケの体験授業を行う会社・センターポールとは?

ライター:TARO

ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人のキャリアや仕事について全4回に渡ってインタビューしていく「あの人も実はヒップホップ」。今月のゲストは障がいのある方が行うスポーツ、パラスポーツの支援事業を手がける会社、センターポールの代表、田中時宗(たなか・ときのり)さんにお話をお伺いしました。Vol.3ではセンターポールの中心事業である、車いすバスケの体験授業、そして勇気をくれるラップソングについて話して頂きました。

前回の記事はこちら→ ヒップホップ好きパラスポーツ社長、田中時宗とは?

仕事ゼロから東京パラリンピックで大逆転。パラスポーツを広める会社・センターポールとは?

レペゼン:
2012年にご自身の会社センターポールを立ち上げ、パラスポーツの普及事業を始めた当初はまったく仕事がなかったということですが、いつ頃から状況が変わり始めたのですか?

前回までの記事はこちら→ スキー選手、サラリーマンを経て25歳で起業。ラップ好きパラスポーツ社長の異色の経歴とは?

田中時宗:
2015年頃ですね。東京でオリンピック・パラリンピックを行うことが決まってから、東京都がパラリンピックにも力を入れ始めたんです。東京都の予算で、都内の全学校がオリンピック・パラリンピックに関わる授業を導入するということが始まって。

レペゼン:
おぉ!!

田中時宗:
ようやく来たかという感じでした。ただ一つ問題があって。昔からパラスポーツの講演会を行っている選手はいたんですけども、講演会止まりなんです。つまり体験ができない。なぜかというと機材の調達や運搬が大変で。例えば車いすバスケの体験をするとなったら、体験をする生徒さん分の車いすやそれを運搬する車が必要ですが、そういった機材を自社で持って授業を実施できるような団体がなかったんですよ。でもパラスポーツに興味を持ってもらうには、やっぱり体験をしてもらう必要があって。

レペゼン:
確かに。もちろん講演会も良いですが、やっぱり体験した方がわかりやすいし、何より楽しいですよね。

田中時宗:
そうなんです。なのでこれは何とかしようと思って。その時にようやく銀行の融資もおりたので、まず車をリースで借りて、次に車いすバスケ用の車いすを調達して。それで車いすバスケの出張体験授業を始めたんです。それで、「センターポールでは車いすバスケの体験授業をやってくれる」ってことになって、ピークの時は年間100校ぐらい回ってましたね。

レペゼン:
すごい!!

田中時宗:
今は年間50〜60校ぐらいですが、それでも継続はできているかなと。

レペゼン:
素晴らしいです。
主に東京都内で出張授業をされているんですか?

田中時宗:
基本は東京や関東が中心なんですけれども、自分達のイベントで全国を回ることもありますね。あと一応東京ですが、三宅島とかでもやったりしましたね。

レペゼン:
すごいですね。
単純に素人考えですが、機材運搬がすごく大変そうです。

田中時宗:
大変です笑
特に学校さんは朝早くて。昨日も授業だったんですけど、朝8時にはもう学校に着かないといけないので。1時間目から体験をやって、給食を一緒に食べて、5時間目に選手のお話を聞くという流れです。でも生徒さんたちが楽しんで体験してくれているのを見ると、励みになりますね。

企業研修で車いすバスケ!?

レペゼン:
パラスポーツの体験事業は学校以外の団体でも行われているんですか?

田中時宗:
最近は企業さんにも行かせてもらっています。パラスポーツを使った企業研修ってすごく良いんですよ。例えば社内レクリエーションで普通のバスケをやりましょうって言ったら、絶対経験者がいるじゃないですか。できる人とできない人の差がそこで生まれるんですよね。パラスポーツに関してはそこは結構フラットで。



レペゼン:

確かに。車いすバスケとかだと、初めて行う方が多いわけですもんね。

田中時宗:
そうなんです。パラスポーツを企業研修に取り入れたいなと思ってらっしゃる企業さんって、まさしくその部分とかも大事にされていて。社員みんなが一緒に楽しくやるためには何をどうしたらいいのかって所ですよね。あと例えばですけれども、会社の中でも足が悪い方もいらっしゃれば、障害がある方もいらっしゃる。そういった方も一緒にできますから。なので、そういった体験や講演会を企業さんに、ダイバーシティ・インクルージョン研修の一つとして利用して頂いていて、すごく価値を感じて頂けてますね。

勇気をくれるヒップホップはRHYMESTER『The Choice Is Yours』

レペゼン:
会社を経営されていると大変なこともあるかと思いますが、勇気をくれるヒップホップソングはありますか?

田中時宗:
これもRHYMESTERさんなんですが、『The Choice Is Yours』ですね。起業当時もよく聴いてましたね。

【 RHYMESTER 『The Choice Is Yours』】

 

選ぶのはキミだ キミだ
決めるのはキミだ キミだ
考えるのはキミだ
他の誰でもないんだ さあ歌いな
Lalala… The Choice Is Yours

レペゼン:
大好きな曲です!

田中時宗:
結局、みんな社会とか周りとかに不平不満はあると思うんですけど、「決めるのは自分だからお前で何とかしろよ」っていうメッセージが自分自身にすごく当てはまりますね。君の人生なんだから、君が考えて、君が動かないと、世の中変わらないよって。自分にとってもそうだし、自分がいつも周りに言っていることを発信してくれているなと思います。聴いたら頑張らなきゃってなりますね。

苦しい時期を乗り越え、車いすバスケの事業で会社を成功に導いた田中さん。次回は田中さんが考えるパラスポーツの現在地とこれからについて聞いていくよ!お楽しみに!

プロフィール

  • 田中時宗(たなか・ときのり)

    田中時宗(たなか・ときのり)

    一般社団法人センターポール代表。パラリンピックアスリートのマネジメントや、就労支援事業所の運営を行う。学生時代はアルペンスキーの選手として活躍。大学卒業後、一般起業に就職するも、「スポーツに関連する仕事をしたい」という思いから株式会社センターポールを設立。マイナー競技のアスリートをサポートするために、企業とのマッチングサービスを始める。そんな中で車いすバスケットボールのことを知り、パラスポーツの普及活動にフォーカスした事業を開始。現在は全国の学校や企業に対して、パラスポーツの研修、体験事業を行う他、障害のある児童への運動支援など多岐に渡る活動を行っている。

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