ヒップホップに救われた普通のオカンが見出した”カルチャー”という居場所

COCORO RAP主催。今注目の”マイクラおかん”のヒップホップライフ

ライター:TARO

ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人のキャリアについてインタビューしていく「あの人も実はヒップホップ」。今月は神奈川県逗子市を拠点に、“心の声をラップにする”「COCORO RAP CONTEST」を主催されている「マイクラおかん」こと下崎真世(しもざき・まよ)さんに4回に渡って、お話をお伺いしました。Vol.3の今回は お子さんの子育て、そして転機となった「NIKKEI RAP LIVE VOICE」への出場について話して頂きました。

前回の記事はこちら→”男と女のラブゲーム”からヒップホップへ。COCORO RAP・マイクラおかんの半生

コロナ禍での小学校生活と息子の不登校

レペゼン:
前回はお子さんの誕生、そして逗子への移住についてお伺いしました。今回はその後のご家庭の様子などについてお話を聞かせてください。

下崎真世:
息子はその後小学校に進んだのですが、入学した年の頃がちょうどコロナ全盛期の頃で。
入学式が15分だけで、その後3ヶ月くらいお休みだったんですよ。入学前は息子も小学校を楽しみにしてたのですが、コロナでの休校が続く中で、いつ友達ができるんだろうという不安もあって、いつしか引きこもり気味になってしまったんです。

レペゼン:
あの時期は特にコロナによる社会不安、休校の中で、心や身体のバランスを崩したりして、不登校になる学生が多かったように思います…。今現在はお子さんは何年生なんですか?

下崎真世:
今小学校6年生で、もうすぐ12歳です。小学校はレストランがわりに行ってますね。献立を見ながら、食べたいものがあれば行くという。あと週に2回、フリースクールにも行っていて、それ以外は基本的には家にいます。ゲームの「マインクラフト」を12〜14時間くらいやっていますね。

レペゼン:
すごい集中力ですね。もしかして下崎さんが「マイクラおかん」と名乗っているのも、その息子さんの影響ですか?

下崎真世:
そうですね。「自然で子育て」という方針から元々家にはテレビを置いていなかったのですが、コロナ禍の時は外にも出れずやることもないので、初めてテレビを置いたんです。
すると息子がYoutubeとかを見るようになり。そこで「マインクラフト」の動画を見て興味を持ったのが始まりです。パソコンを買って自分でもやるようになったら、それまでの反動で1日10時間以上やるようになって。

レペゼン:
特に当時は本当になかなか家から出れなかったですからね…

下崎真世:
そうなんです。で、私はやってないからゲームのことが分からないし、変なタイミングで注意して止めても良くないのかなと思って。じゃあ私もやってみて、どこが楽しくて、どういう時だったらやめれるのかとか、そういうことを知りたくて一緒にやるようになりました。

レペゼン:
すごいですね。「マイクラおかん」として活動し始めたのはその頃からですか?

マインクラフト + おかん=
“ マイクラおかん ” 誕生!

下崎真世:
私がゲームを使った居場所作りを始めたことがきっかけですね。この辺は海と山があって自然のアクティビティが豊富なんですけど、逆にインドアな子にとってのアクティビティがなくて。じゃあ私がそれをやってみようということで、まずは“ゲーム好きのための居場所作り”を始めました。

レペゼン:
興味深いです!具体的にはどういったことを?

下崎真世:
私がYouTuberになって、子どもたちとマインクラフトをやる様子を配信するという活動です。2年前くらいには、それが学校の出前授業になって、小学校に息子と一緒に行って、息子が作った「ワールド」の中で遊ぶという授業をしたりもしました。

レペゼン:
素晴らしいですね。
その後日経新聞のラップコンテストにも出場され、ラッパー・マイクラおかんとしても活動を始めていくと思うのですが、その時期からヒップホップカルチャーについても知っていたのですか?

下崎真世:
その当時「生き方がヒップホップですね」って言われることが何度かあったんです。
あとラップについては、それこそ息子のフリースクールでフリースタイルラップでコミュニケーションを取るという時間があって。私もそれを見て「こんなコミュニケーションの取り方があるんだ」と少し興味が湧いて。

レペゼン:
なるほど。

下崎真世:
そこで本格的なフリースタイルのラップバトルを見たり、子どもと一緒にやってみたり。そこからの日経新聞のラップコンテストを知ったという流れですね。

NIKKEI RAP LIVE VOICEで出会った
新たなカルチャーの仲間たち



レペゼン:

下崎さんが「呂布カルマ賞」を受賞された「NIKKEI RAP LIVE VOICE|日経ラップコンテスト」ですが、改めて出場された際はどんなラップを歌われたのでしょうか?

下崎真世:
自分の子供について、自分の人生について歌いました。

【NIKKEI RAP LIVE VOICE 2023 決勝大会の様子。下崎さんは39:33〜】

毎月の子作り
期待を消して悲しみ隠した
月々流した涙は10年溜まった
待望の子供 自由が爆発
パトカーに3回  伝説になった
当たり前が違う あれ?なんか違う 
ハマらない育児書 棚にしまった
不登校になった 自由に育て!
住まいを変えて心機一転
育った息子はインドア 
やってきたのはコロナ   
ゲーム youtube 
終わる毎日 依存症?不安症? 
崩れる理想 もう知らんって
マジで匙投げたい 諦めないおかんの意地は異常

下崎真世:
私自身、ラップを通して自分の心の中の想いを言葉にすることですごく救われました。また周りの出場者のみんなが歌ってる歌にもすごく感動したんですよね。

レペゼン:
良いですね。特にインスパイアされた出場者の方はいらっしゃいますか?

下崎真世:
Damage Yakkun(ダメージヤックン)*ですかね。日経ラップコンテストでも堂々のパフォーマンスでした。彼はリハーサル前、とても緊張して落ち着かない様子だったのですが、声の張り上げ方やパフォーマンスの仕方などを周りのファイナリストからアドバイスをもらって本番に臨んでいました。そういったお互いに支え合っている姿も含めて、出場者の方からすごく勇気をもらいましたね。

【NIKKEI RAP LIVE VOICE 2023 決勝大会の様子。Damage Yakkunは33:04〜】


*ダメージやっくん・・・就労継続支援B型事業所に通う、身体と発達の障がい者ラッパー。 NIKKEI RAP LIVE VOICE 2023サンリオ賞受賞。 

レペゼン:
ありがとうございます。すごく心に響くラップですね。

下崎真世:
有名なアーティストの方ももちろん素敵だと思うんですが、私は自分に関わってくれる人からより強く影響を受けるタイプなので、関わってくれる人が推しなんですね。彼は特に私の推しですね。すごく力をもらえるラッパーです。

ラップミュージックとヒップホップカルチャーにどハマりしていった下崎さん。次回、Vol.4では主催されている大会「COCORO RAP」について、そして今後の目標について聞いていくよ!お楽しみに!

プロフィール

  • 下崎真世(しもざき・まよ)

    下崎真世(しもざき・まよ)

    大阪府出身。神奈川県逗子市在住。
「オカンの日替りキッチン」運営代表。「COCORO RAP CONTEST」主宰。ラッパー、イベント企画、講演活動なども行うマルチ・ヒップホップ・アクティヴィスト。 大学卒業後、保険会社やアンティークの買い付けの仕事などを経て、逗子へ。地域の“オカン”たちによる手作り料理の販売・配達を行う「オカンの日替りキッチン」を立ち上げ、特に子育て世帯や産前産後の家庭支援を中心に、コミュニティの食と心を支える活動を展開中。2023年、日経新聞主催の「NIKKEI RAP LIVE VOICE」に出場し、ラップ未経験ながら“呂布カルマ賞”を受賞。その後、社会の声なき声を代弁する場を自ら作るべく、「心の声をラップにする」ラップコンテスト「COCORO RAP CONTEST」を主宰。初回から7歳〜80歳、国内外から100件を超える応募を集めるなど、幅広い世代から支持を受ける。 「誰でも主役になれる」「下手でも伝わる」というヒップホップの本質を軸に、言葉を使った自己表現の可能性を広げる活動を続けている。

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