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ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人のキャリアや仕事について全4回に渡ってインタビューしていく「あの人も実はヒップホップ」。今月のゲストは宮城県名取市でジャズ喫茶「PABLO」を経営されている村上辰大(むらかみ・たつひろ)さん。“ DJ辰 ”名義でヒップホップイベントやダンスバトルなどでもDJをされている村上さんのヒップホップキャリアについてお伺いしました。Vol.1はジャズ喫茶「PABLO」について。
前回の記事はこちら→ 東京調布市の絶品ハンバーガー屋「ILL FROGS」店長、筋金入りのヒップホップヘッズ、SHIN1RAWとは?
宮城県名取市のジャズ喫茶「PABLO」二代目マスター、村上辰大 a.k.a. DJ辰とは?
レペゼン:
自己紹介をお願いします。
PABLO 村上辰大:
宮城県名取市のジャズ喫茶「「COFFEE&SESSION PABLO」を経営しております、村上辰大(むらかみ・たつひろ)と申します。「PABLO」は1984年に創業されたのですが、2011年の東日本大震災でマスターが亡くなり、一時は閉店していました。8年前に私が引き継いで現在に至ります。
また、“DJ辰”という名前でDJ活動をしていたり、映像デザイン制作会社「ユジクラフト」の代表を務めています。なのでジャズ喫茶の経営、DJ、映像デザイン制作会社の代表という3つの活動を並行して行っています。
レペゼン:
ありがとうございます。インタビューさせて頂くのを楽しみにしておりました。
さまざまな顔をお持ちということで、一つ一つお伺いしていきたいのですが、今回はまず経営されている喫茶店「PABLO」について詳しく教えて頂きたいです。
PABLO 村上辰大:
やっぱり特徴はジャズ喫茶というところですね。選曲は基本的にジャズを流しています。初代マスターがこだわり抜いた音響設備で、 壁一面に JBL のスピーカーがあります。お客さんにより良い音質で音楽を楽しんで欲しいと思っています。
PABLO 村上辰大:
また機材についてですが、ヒップホップだと一般的にテクニクスやパイオニアのターンテーブルが主流ですが、うちは「 GARRARD(ガラード)」というタンテを使っています。こちらも初代マスターが遺してくれたものです。その辺りは前の店主がこだわって作り上げたシステムをそのまま活かしてますね。
レペゼン:
とても興味深いです。
コーヒーやお菓子などのメニューについてはどんなこだわりがありますか?
PABLO 村上辰大:
コーヒーに関しては、店長の半澤がメインで担当をしてくれていて。
彼女はコーヒーと向き合うべく、コーヒーの原点があると言われるアフリカのエチオピアまで旅をしました。私自身もハワイのコナ地方の農家さんと繋がって、そこから直接コーヒー豆を輸入することもあります。最近は為替の影響で値段が高騰していて大変です笑
ただなんとかクオリティを落とさず提供することを心がけています。
【店長の半澤さん(中央)】
レペゼン:
現地まで行かれるなんてすごいですね!!素晴らしいです。
デザートなどはどんな感じなんですか?
海外からのお客さんも!日本発祥の文化・ジャズ喫茶
PABLO 村上辰大:
デザートは私の母が昔よく作ってくれていたレアチーズケーキを出しています。
ババロア風のレアチーズケーキで、昔ながらの味ですね。デザートは全部手作りで。ティラミスやプリンも人気です。
【人気のレアチーズケーキ】
レペゼン:
食べたいです…。
お客さんはどういった方が多いのでしょうか?
PABLO 村上辰大:
幅広い世代の方が来てくださっていますね。若い方では20代の方々、SNSを見て来店されることが多いです。また、私と同世代の30~40代の方々や、70代以上の方々もいらっしゃいます。年配の方は、前の店主を知っている常連さんですね。昔からのお店のファンの方も多くて。
あとは新聞の記事などを見て新たに来てくださる方もいます。ありがたいですね。
レペゼン:
良いですね。
PABLO 村上辰大:
ジャズ喫茶の本に掲載されたお陰で海外からいらっしゃるお客さんもいます。ジャズ喫茶は日本特有の文化なので、珍しいみたいですね。
レペゼン:
そうなんですね!
お店はジャズ喫茶ということで、もちろんジャズが流れていると思うのですが、ヒップホップもかけることはありますか?
偶然Hip Hopの元ネタを発見してしまう。膨大なレコード・コレクション
PABLO 村上辰大:
ゴリゴリのブーンバップとなると難しいですね笑
やっぱりジャズ喫茶なので、基本的にはジャズが中心です。ただヒップホップのサンプリングネタは流すことがありますね。ヒップホップ界隈からすると、耳馴染みのある曲というか。あとはジャジーなRobert Glasper (ロバート・グラスパー)なんかを流したりすることはありますね。
レペゼン:
なるほど。確かにグラスパーなんかはジャズ喫茶にも合いそうですね。
PABLO 村上辰大:
そうなんです。70代のお客様なんかはゴリゴリのブーンバップとか流れたら、びっくりしてしまうと思うので笑
あとは例えば The Sound Providers(サウンド・プロヴァイダーズ)。とかFunky DL(ファンキー・DL)。そういったジャズとヒップホップをうまく融合させたようないわゆるジャジーヒップホップは流すこともありますね。
【The Sound Providers – For Old Time’s Sake】
【Funky DL – Fukuoka Flügel】
【上記の曲の元ネタ:Milt Jackson Quintet – Opus de Funk】
レペゼン:
良いですね。日本だとNujabesとか?
PABLO 村上辰大:
そうですね。実は自分がDJを始めた頃、Nujabesの全盛期で。とても影響を受けましたね。
それこそ面白いのは、先代のマスターが残したレコードを何となく手にとってかけてみたら、偶然Nujabesの元ネタだったりするんです。
レペゼン:
素敵ですね!
PABLO 村上辰大:
結構それが何度もあって。私も初代マスターのレコードの曲全てを聴けているわけではないので、未だに発見が多いですね。
プロフィール
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宮城県名取市のジャズ喫茶「PABLO」の二代目マスター。平日は株式会社ユジクラフトの映像クリエーターとして活動し、週末はDJ辰としてDJ活動を行う。海外および国内のダンスイベントでDJを務める、「音楽×映像」のハイブリッドクリエーター。 「COFFEE & SESSION PABLO」は、震災で主を失ったジャズ喫茶「Jazz in パブロ」を現在の店主、村上さんと半澤 さんが2017年12月に引き継ぎ、新たに誕生したジャズ喫茶。震災当時のまま時間が止まった店内に再び灯をともす場所として再生された。壁一面に配置されたスピーカーからはJazz、Jazzy Hip Hopなど多彩な音楽が流れ、コーヒーカップの黒い水面を揺らしている。古くからの常連客と新たな若い世代が集い、音と人とのセッションが生まれる空間となっている。