Nasも通うB-Boy料理人・河野睦の焼き鳥店「KONO」とは?

ヒップホップ道を突き進む料理人とナズとの秘蔵エピソード

ライター:TARO

ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人のキャリアや仕事について全4回に渡ってインタビューしていく「あの人も実はヒップホップ」。今月のゲストはニューヨークで焼き鳥店「KONO」を営む河野睦(こうの・あつし)さん。ニューヨークのTOP5シェフに選ばれる凄腕の料理人でありながら、ブレイクダンサーとしても日本最大の大会「B-Boy Park」で優勝、またニューヨークを拠点にする伝説的ダンスクルー「Rock Steady Crew」に所属するなどトップB-Boyとしてのキャリアを歩んできた河野さんのヒップホップ・ライフスタイルについてお伺いしました。Vol.4の今回は、チャイナタウンにオープンされている焼き鳥店「KONO」と、常連であるラッパー、Nas(ナズ)との交流についてお伺いしました。

前回の記事はこちら→ ニューヨークで生きるB-Boy料理人、河野睦のヒップホップ・キャリアとは?

B-Boy料理人のヒップホップな焼き鳥店「KONO」とは?

レペゼン:
今回はニューヨークのチャイナタウンでオープンされている焼き鳥店「KONO」について教えて頂きたいです。なぜチャイナタウンでオープンしようと思ったんですか?

河野睦:
元々、高架下のような場所に自分の店をオープンしたいなと思って、いろいろと場所を探してたんです。日本の焼き鳥屋さんって高架下とか、トンネルの中とか、結構入り組んでいるところにあるじゃないですか?そういった隠れ家的な雰囲気をニューヨークで再現したいなと。

レペゼン:
めっちゃ良いですね!

河野睦:
それで、チャイナタウンに自分のイメージしていたロケーションが見つかって。ビル街の一角にあるアーケードの中で、少し穴場っぽい感じの場所なんです。その場所に決めて、2022年の4月にオープンしましたね。

レペゼン:
立地からもかなり日本的な雰囲気にこだわってらしたんですね。

河野睦:
そうですね。で、看板の出し方も日本流というか。
営業していない昼間は看板は出してなくて、営業が始まる夕方から店のロゴが入った暖簾を出してるんです。だから昼間はその場所にお店があることはわからない。夜から現れるって感じです。

レペゼン:
まさに河野さんが修行してらした日本の割烹のようなスタイルですね。
お店のテイストにヒップホップは影響を与えていますか?

河野睦:
与えてますね。むしろそこがアメリカのお客さんにうけたのかなと。僕がダンスをしているような料理の仕方で、お客さんの目の前で調理をするという。音楽もヒップホップを流してますし。日本料理とヒップホップの組み合わせですよね。でも出てくるのは本格的な焼き鳥と割烹で。こんな焼き鳥屋はアメリカでここしかないっていう感じでみんな来てくれますね。

レペゼン:
すばらしいです。
お店でもヒップホップを流されているということでしたが、「KONO」のテーマ曲として一曲選ぶとすると、何かありますでしょうか?

“Nasはぼんじりが好きですね”

河野睦:
やっぱりNas(ナズ)のアルバム『Magic 3』に入ってる「Fever」ですね。
ナズはうちの店にお客さんとして来てくれたりもしてて。

レペゼン:
なんと!!
やばすぎます!!

河野睦:
この前ナズが50歳の誕生日パーティーをうちの店でやってくれたんですけど、その時に『Magic 3』がリリースされたんです。「Fever」は完全に彼の50歳のバースデーを祝う曲で。

Nas「Fever(2023)」

Singin’ to Stevie Wonder Happy Birthday
Celebratin’ years of flows and crazy wordplay

スティーヴィー・ワンダーのハッピーバースデーに歌って
クレイジーなワードプレイとフローの年月を祝う

レペゼン:
確かに!!

河野睦:
あと『Magic 3』に「Japanese Soul Bar」っていう曲が入ってるんですが、その曲のリリックのイメージの一つで僕の店のことも取り入れてくれてたみたいで。

【Japanese Soul Bar】

河野睦:
なので『Magic 3』は特に思い入れがあるアルバムなんです。その中でもやっぱりバースデーをうちでやってくれたってことで、バースデーソングの「Fever」ですかね。

レペゼン:
間違いないですね。

河野睦:
僕もナズはずっと大好きで。彼の地元のクイーンズブリッジにも少し住んでいたこともありますし。彼のラップから学んだものは大きいですね。今やお客さんとして来てくれていて感慨深いです。

レペゼン:
じゃあ河野さんはナズと話したりもするわけですね?

河野睦:
そうですね。
緊張しますけど笑

レペゼン:
何を話すんですか?笑

河野睦:
もちろん料理の話もしますし、僕が所属しているダンスクルーの「Rock Steady Crew」のことは彼も知ってるので、そういうオールドスクールの人間ならではの話もしますね。まぁナズさんにはご贔屓して頂いてます。

レペゼン:
笑笑
「ナズさんにはご贔屓して頂いてます」って河野さんしか言えないセリフです笑

河野睦:

スーパーヒーローですけどね笑

レペゼン:
ちなみにナズは、焼き鳥は何が好きですか?笑

河野睦:
彼はぼんじりが好きですね。

レペゼン:

改めてヒップホップドリームです。
すごい話ですね。

目標に向けて頑張る人たちへ 

レペゼン:
河野さんの今後の目標、そして目標に向かって頑張る人に向けたメッセージをお願いします。

河野睦:
まず今後の目標としては、引き続きニューヨークで自分をレペゼンしていくのと、あとはお店をロサンゼルスに出すことですね。

レペゼン:
素晴らしいです。

河野睦:
目標に向けて頑張っている人たちへのメッセージとしては、好きなことを続けていくことが大事だと思います。うまくいかないことがあっても好きなことを長くやり続ければ、必ず光が見えてきます。
その道を歩んでいくことが、人生の幸せに繋がっていくんじゃないかなって思います。そのために少し遠回りしてもいいし、ゆっくりでもいいので、必ずそこに辿り着くように願うことが大事かなと思いますね。そしたら必ず願いは叶うと思います。

レペゼン:
本当に勇気をもらえるお言葉です。

河野睦:
ありがとうございます。
実は今度この僕の人生が映画になるんです。

レペゼン:
えー!!
すごいですね!!

河野睦:
もう撮影は完了してて、今後のサンダンス映画祭に出ます。NetflixとかHuluに配信されるようにしていきたいと思っています。店の売り込みじゃなくて、これはまさにレペゼンさんがやっているような目標に向かって頑張る人たちに向けたメッセージとしてって感じですね。

映画の最新情報はこちらからKONO Documentary

レペゼン:
公開楽しみにしております!
改めて今回はお忙しい中、ありがとうございました!

河野睦:
ありがとうございました!

 

プロフィール

  • 河野睦(こうの・あつし)

    河野睦(こうの・あつし)

    料理人。板前の息子として生まれ、専門学校を経て、和食の世界へ。東京・赤坂の割烹で約4年間修行後、渡米。ニューヨークの焼き鳥屋でチーフ・シェフとして勤務した後に、独立、チャイナタウンで焼き鳥店「KONO」をオープンする。また10代からブレイクダンサーとしても活動しており、地元埼玉のクルー「SIVA」ではB-Boy Park優勝、ヒップホップ史上最重要ダンスクルー「Rock Steady Crew」に所属するなど、B-Boyとしても世界トップクラスで戦ってきたダンサー。 今年、食のオスカーと呼ばれ、全米で最も権威のある「James Beard Awards」で日本人シェフとしては初めてニューヨークのTOP5シェフに選出される。

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