その帽子は人生にフィットする。熊本のハットメーカー・稲葉光亮が手がける世界に1つだけのハット

製作モードにシフトする時に聴くのは、札幌のレジェンド!

ライター:ほりさげ

ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人のキャリアについて全4回に渡ってインタビューしていく「あの人も実はヒップホップ」。今月のゲストはハットメーカーの稲葉 光亮(いなば こうすけ)さん。
地元・熊本でハットブランドを立ち上げ、“人生という壮大な旅にフィットする”をコンセプトに、長く愛用されるハットを生み出している稲葉さんには、実はヒップホップ好きという一面も。熊本、東京、そしてアメリカ…….。様々な街を渡り歩いて経験を重ねてきたクラフトマンの揺るぎない美学に迫る!

前回の記事はこちら → やるべきことを貫き、ついにB1の大舞台へ!琉球ゴールデンキングスに移籍を果たした平良彰吾のドラマ

オーダーメードハットの魅力を
熊本から全国へ

レペゼン :
まず、読者の方向けに自己紹介をお願いします。

稲葉光亮 :
稲葉光亮と言います。職業はハットメーカーです。熊本出身の39歳で、今も熊本に住んでいます。

レペゼン :
ありがとうございます。まずは、ハットメーカーの仕事内容について詳しく教えてください。

稲葉光亮 :
オーダーメイドのハットを作って、1人ひとりの頭の形に合わせたハットを作るという仕事ですね。熊本市内にショールームがあって、そこでいろんなオーダーをいただいたり、サンプルを被ってもらったりして、好みの型を聞いてオリジナルのハットを作っています。また、既製品の帽子の販売も行なっているので、今はオーダーメイドと既製品の二軸という感じです。

レペゼン :
ショールームでハットを作っているわけではないんですか?

稲葉光亮 :
はい。ここはお客さんに来ていただいて帽子を選んでいただいたり、好みのスタイルをお聞きしたりする場所ですね。なので工房はまた別のところにあります。そこも熊本市内なんですけど、街中から離れているところにあって、普段はそこで製作をしています。

レペゼン :
そうなんですね。ハットブランド「Kohsuke Inaba」は、シーズンごとにポップアップなどもされているということですが、どういった場所で行われているんですか?

稲葉光亮 :
今(取材は4月中旬)だったら、これから春・夏に向けたストローハットのポップアップがあって、百貨店から、セレクトショップ、ギャラリーまで、いろんな会場で行っています。行う街に関しても、「毎年ここ」と決まっているわけではなく、九州、四国、関西など、毎年いろんな場所を回らせてもらっていますね。

レペゼン :
素敵です。いろんな街を巡ってご自身の帽子を広めていらっしゃるんですね。

いつでもさらっと被って
出かけられるカジュアルさ

レペゼン :
稲葉さんが手がけられているハットのスタイルや特徴はどういったものですか?

稲葉光亮 :
例えば、今の時期に作っているのは、「ストローハット」と呼ばれる天然素材の帽子ですね。エクアドルのパナマハットを中心にマダガスカルのラフィア素材、グァテマラのパーム素材といったヤシ由来の天然素材を使ったハットを制作しています。秋から冬にかけては、また素材が変わってフェルト帽を取り扱っています。それも、フェルトの中で最高品質と言われているビーバーの毛を使っています。一般的なウールと比べてもクオリティが全然違っていて。うちでは、そういう高品質な素材を取り扱っています。

レペゼン :
素材からこだわっているんですね。ハットというと、アル・カポネ(*)が被っているようなものをイメージするんですが、ああいうギャングが被っていたハットはアメリカならではの文化なんですか?

※ … 1900年代初頭に台頭したアメリカ合衆国のギャング。高級ホテルを根城に密造酒販売・売春業・賭博業の犯罪組織を運営した。

稲葉光亮 :
歴史で言えば、ヨーロッパの方がハットの歴史は長く、例えばドレッシーでジェントルマンなハットはヨーロッパで親しまれていました。ただ、僕は個人的には、1950年代くらいのギャングが被っていそうなハットだったり、テキサスとかモンタナとかのカウボーイたちが被っていたハットのスタイルが好きですね。もちろんオーダーいただく時は、お客さんの好みや希望に合わせたスタイルを作っています。

レペゼン :
アメリカの歴史の中で様々なスタイルに枝分かれしていったハットに影響を受けているんですね。

稲葉光亮 :
そうなんです。当時のカウボーイたちが被っていたハットはファッションというより、道具としての側面が強かったんですが、その日常に溶け込むスタイルがやっぱり好きで。それにどんな洋服のスタイルにもマッチするから、いつでもさらっと被って出かけられる気軽さもあるんですよ。

レペゼン :
そうなんですね!その気軽さが、稲葉さんが掲げられている「人生にフィットするハット」に繋がっている感じがしますね。

組み合わせは無限!
実は自由なハットの世界

レペゼン :
オーダーメイドされる際はお客さんの希望を聞きながらということでしたが、「この素材とこの素材を合わせないとだめだ」みたいな、組み合わせのルールはあったりするんですか?

稲葉光亮 :
ビンテージハットは割とシンプルで、例えばボディとリボンの色が同じことが多いんですが、現代のハットメーカーのスタイルは本当に自由になっています。例えばベージュのボディにブルーのリボンを持ってきたりしても良いし、リボン1つとっても素材や太さなどのバリエーションが本当に幅広くて。なのでお客さんには、いろんな種類の組み合わせから選んでいただいています。

レペゼン :
奥が深そうです!ちなみにお客さんはどんな方が多いですか?

稲葉光亮 :
とにかく帽子が好きな人から、逆に「ずっとハットに憧れがあって」という方もいたりしますし、あとは「既製品だと自分に合うサイズがない」という方もいらっしゃいますね。年齢も、30代から60代くらいまでとかなり幅広いです。

レペゼン :
かなり幅広いですね。男女比でいうと、どちらが多いとかはありますか?

稲葉光亮 :
どちらかというと男性が多いですが、最近は女性も増えていますよ。少しつばが広くて顔が隠れるものとか、女性らしい雰囲気の素材もあって人気ですね。クラウン(頭の部分)の高さとつば幅のバランスも自由に作れるんですが、その人のスタイルや雰囲気、髪型、体型でベストなバランスが変わってくるんです。なのでオーダーメイドの時は、そのあたりもお聞きしながら方向性を決めていきます。

レペゼン :
しっかりカウンセリングをされるわけですね。

稲葉光亮 :
はい。ベストなハットに仕上げるためにも、カウンセリングはしっかり行いますね。例えば、その方の洋服のバリエーションなんかも聞きながら、似合う色をこちらから提案させてもらったり。

レペゼン :
面白いです!似合う帽子がいまいち分からないという場合も、安心してオーダーできそうですね。

THA BLUE HERBの尖った曲で
製作モード・ON!!

レペゼン :
稲葉さんはヒップホップもお好きと伺ったんですが、ハット作りの時に聴くラップソングを教えていただけますか?

稲葉光亮 :
特に製作を頑張らなくちゃいけない時は、THA BRUE HERBのファースト『STILLING,STILL DREAMING』とセカンド『SELL OUR SOUL』を必ずかけます。気持ちを奮い立たせてくれるので、めっちゃ繰り返し聴いていますね。

レペゼン :
おお!札幌の生ける伝説、THA BRUE HERBですね。なかでも特に気に入っている曲はありますか?

稲葉光亮 :
アルバム通してめちゃめちゃかっこいいんですけど、ファーストアルバムに収録されている「BOSSIZM」とか「ONCE UPON A LAIF IN SAPPORO」は特に好きですね。

【 THA BLUE HERB – BOSSIZM 】

 

【 THA BLUE HERB – ONCE UPON A LAIF IN SAPPORO 】

レペゼン :
「これぞTHA BLUE HERB!」というヒリヒリした世界観の曲ですよね!稲葉さんにとって、どういうところがグッとくるポイントですか?

稲葉光亮 :
全体的にトゲがあるところですね。THA BLUE HERBの曲にはどれもストイックさを感じるんですが、特に顕著に感じるのがこれらの曲なんですよ。なんかこう、ものづくりをしている人間に刺さるものがあるというか。

レペゼン :
なるほど。ハット作りに向き合うためのスイッチが入る曲というわけですね。

稲葉光亮 :
はい。でも、ハットを作り始めるずっと前の、高校生くらいから聴いている大好きなアーティストですね。

次回は、稲葉さんの少年〜青年時代の思い出をスローバック。高校時代に夢中で聴いていたのは、顔も知らない幻のフッドスター!? お楽しみに!

プロフィール

  • 稲葉 光亮(いなば こうすけ)

    稲葉 光亮(いなば こうすけ)

    ハットメーカー。単身アメリカに渡り、そこで得たヴィンテージツールや技術を
基に、2017年、熊本県を拠点にしたビスポークのハットメーカー「Kohsuke Inaba」を設立。
伝統的製法で古典的スタイルのハットをモダンに提案している。
アトリエにてオーダーメイドを請けながら、
アパレルブランドやショップからの受注生産も請け負う。

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