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ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人のキャリアや仕事について全4回に渡ってインタビューしていく「あの人も実はヒップホップ」。今月のゲストは福岡県朝倉市の食堂、「金屋食堂」の店主にして、ヒップホップを愛する生粋のヘッズ、矢野恭平(やの・きょうへい)さん。Vol.4は矢野さんの「金屋食堂」への思い、そして料理とヒップホップの共通点などについてお伺いしました。
前回の記事はこちら→まな板飛んできたけど、料理は辞めません。金屋食堂・矢野恭平が振り返る鬼の修行時代
田舎でも勝負できる。
金屋食堂が示す、地方飲食の未来
レペゼン:
今回は今後の金屋食堂の展開についてお伺いさせてください。
どんなお店にしていきたいと考えていますか?
矢野恭平:
金屋食堂に関しては、勝負するとかではなく、今の「食堂」としてのスタイルを崩さず、70年の歴史をしっかり守っていきたいなと思っています。
レペゼン:
良いですね。
矢野恭平:
あとは田舎って、どうしても人が都会に出て行きがちじゃないですか。
でも、やり方さえ分かっていれば、田舎でも勝負できる。実際、わざわざ県外からうちの店に来てくださるお客さんもいらっしゃいますし。金屋食堂を通して地方で飲食店をやることの可能性をちゃんと伝えていきたいですね。
【金屋食堂の料理】
レペゼン:
素晴らしいです。
矢野さん本人の目標や、チャレンジしたいことは何かありますか?
矢野恭平:
自分としては、カウンターだけの店をやりたいと思ってます。
お客さんと話しながら、料理を出せるようなお店ですね。
レペゼン:
それは、地元の朝倉市で?
矢野恭平:
そうですね。地元の山奥をイメージしてます。ほんとに“ど田舎”って感じの場所で、車でしか来れないような所が良いなと。お客さんが来てくれるか分かんないですけどね笑
レペゼン:
でも実際、金屋食堂さんもYouTubeやインスタの影響で、遠くからいらっしゃるお客さんも多いんですよね?でしたら矢野さんのそのお店にもお客さんは来そうです。
矢野恭平:
そうですね。
発信さえちゃんとすれば、辺鄙な場所でも人は来てくれるかなと思ってますね。
胸に刻んだ
“ Cooking is music you can taste ”
レペゼン:
胸に英語で“Cooking is music you can taste(料理は舌で味わう音楽)”というタトゥーを彫られていると伺ったのですが、その意味合いや、入れようと思った理由を教えてください。
矢野恭平:
元々この言葉はディズニー映画『レミーのおいしいレストラン』のセリフで知りました。最初に映画を観た時は何気なく聞いてたのですが、後から度々思い出すようになって。
レペゼン:
なるほど。
矢野恭平:
音楽って、耳から入って心や脳に残るじゃないですか?料理も同じで、口に入れて、味わって、それが記憶に残る。小学生の時に食べたカップラーメンとか、今でもふと思い出すことありますよね。あれって脳が覚えてるんですよ。そういう意味で料理と音楽ってすごく似てるなと。それでこの言葉を入れようと思ったんです。
レペゼン:
間違いないですね。
矢野恭平:
ただ入れた場所はAK-69さんのパクリです笑
AKさんが胸に文字のタトゥーを入れてて。カッコいいなと思って、パクらせてもらいました笑
「一発でバンッとは行けない」
料理とヒップホップの共通点
レペゼン:
ヒップホップと料理の共通点って、何だと思いますか?
矢野恭平:
「一発でバンッとは行けない」ところですね。どちらも下積みが必要。ラッパーも最初は小さなライブから始めて、少しずつステージが大きくなっていくじゃないですか。
料理人も同じで、積み重ねが大事。もちろん今の時代だったらSNSで一気にバズることもあるけど、そういう人ってすぐ消えるんですよね。だからこそしんどいことも含めていろんな経験を積むことがすごく大事だと思います。そこは料理とヒップホップに共通するところですね。
レペゼン:
本当にそうですね。
矢野恭平:
あとこれは何にでも言えることだと思いますが、やっぱり続けることが大事だなと。続けていれば、いつかチャンスが来る可能性がある。100%来るとは言えないけど、平等には来ると思うんですよ。そのチャンスをものにできるかどうかはその人次第ですが、その時に準備ができていれば、掴める可能性がある。だから、とにかく辞めないで、続けることが大事だと思ってます。
「逃げるならとうに逃げとるて」
AK-69から教えてもらった“覚悟”
レペゼン:
最後に、料理人としてインスパイアされるラップソングを一曲教えてください。
矢野恭平:
めちゃくちゃ悩んだんですけど、AK-69さんの「Lookin’ In My Eyez」ですかね。
AK-69「Lookin’ In My Eyez」
レペゼン:
印象に残っているリリックはありますか?
矢野恭平:
「逃げるならとうに逃げとるて 覚悟決めて歩くのが己の心情」っていう部分ですね。
レペゼン:
良いですね。
矢野恭平:
この言葉の通り、料理もやっぱり覚悟を持ってやらないと続かないんですよ。
「いつか見返してやる」とか、「絶対にやってやる」っていう強い気持ちがないと、難しい。
AKさんの曲って、そういう気持ちを呼び起こしてくれる感じで、聴いてると元気をもらえますね。
レペゼン:
間違いないです。矢野さんの料理、そしてヒップホップへの熱い思いを感じます。
そんな矢野さんですが、6月には東京でも活動されるとか?
矢野恭平:
そうなんです。6月後半に、東京で料理教室みたいなイベントをやる予定です。イベント自体は1日だけの開催になると思いますけど、3ヶ月に1回くらいのペースで定期的にやっていきたいなと考えています。
レペゼン:
また東京での活動も楽しみにしております。
改めてこの度はお時間頂き、誠にありがとうございました!
矢野恭平:
ありがとうございました!