MSCならぬNSCへ!ヒップホップ好きのヤーレンズ出井隼之介がお笑いの道を選んだワケ

テンションを上げたい時に聴いているのは、NSC時代に知った大阪のアーティスト!

ライター:ほりさげ

ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人のキャリアについて全4回に渡ってインタビューしていく「あの人も実はヒップホップ」。今月のゲストは、漫才コンビ・ヤーレンズの出井隼之介さん。中学時代に聴いていたラジオをきっかけにお笑いとヒップホップにはまった出井さんが、吉本興業のお笑い養成所「NSC」の門を叩いたきっかけとは?

前回の記事はこちら→ 実は根っからのディガー!ヤーレンズ・出井隼之介の知られざるヒップホップヘッズ遍歴

大学でフランス帰りの
ラッパーの友達ができる

レペゼン :
前回はお笑いとヒップホップを掘っていた高校時代のお話をお聞きしましたが、芸人になりたいと思いだしたのもその頃ですか?

出井 :
そうですね。ラジオの影響もあって、高校の途中から「お笑いをやりたいな」っていうのがうっすらあったんです。また、同級生の中に、ヒップホップの話もお笑いの話もできて、めっちゃフィーリングが合う奴がいたんですけど、そいつがある時、「俺、芸人になる」って言って、高校を辞めたんですよ。

レペゼン :
おお!周りにも芸人を目指す方がいたとは。

出井 :
そうなんです。彼を見て「俺も芸人やりたいけど、大学には行く流れか…?でも俺がやりたいのは大学生じゃないしな…」って思いながら。全然勉強もしてなくて、とはいえモテる訳でもないから恋愛にうつつを抜かすこともなく、ただただぼーっとしてたら神戸の大学に進学することになりました。

レペゼン :
なるほど。いったん進学をしてみた訳ですね。

出井 :
そこでラップをやってる友達に会うんですよ。そいつは学年は一緒なんですけど、歳は3つくらい上で。聞くところによると、8年くらいフランスに留学してたらしく、こっちに戻ってきてから地元の仲間とヒップホップクルーを組んで活動していたんです。それも、3MCと1シンセサイザーっていう笑

レペゼン :
斬新ですね。「3MC・1DJ」とかではなくですか笑

出井 :
「ヒップホップ好きなんだったらライブ観に来いよ!」って誘われて観に行きました。そのクルーには、すごく韻を踏む人とかラップが上手い人もいたんですけど、そいつのバースになったら、まさかの全部フランス語だったんですよ笑

レペゼン :
日本語じゃなかったんですね笑

出井 :
本人から感想を聞かれた時は「かっこよかった」って言わざるを得なかったですけど、内心「わかんないな」って思ってました笑
でも、主にその友達とヒップホップの話をしていましたね。

芸人になりたいという気持ちが
強かったことに気づいた

レペゼン :
大学の時はどんなアーティストが好きでしたか?

出井 :
当時はOZROSAURUS、MSCあたりを聴いていましたね。でも、大学も1年で辞めちゃったんですよ。

レペゼン :
そうだったんですか!何が理由だったんですか?

出井 :
合わなかったですね〜笑
そのラッパーの子くらいはノリも変で面白かったですけど、大多数は当然ザ・大学生で……。「もうこれは無理だな」と思い、大学を辞めてNSC(*)に入ろうと思いました。

※ … 吉本興業が運営する、新人タレントや芸人を育成するお笑い養成所。

レペゼン :
じゃあ芸人になりたいという気持ちはずっと強かったんですね。

出井 :
そうですね。その気持ちが強かったことに大学に入ってから気づきましたね。それにヒップホップと同じく、お笑いもめっちゃディグってたんですよ。2001年から始まったM-1も夢中で見ていて、友達と「今年のM-1は、あのコンビが来る」とか話したりするくらい好きでした。

レペゼン :
お笑い養成所だと、松竹やワタナベといった他の会社もあるなか、NSCを選ばれたんですね。

出井 :
当時、大阪だったらやっぱりNSC一択でしたね。やっぱり音も「MSC」に近いですし笑

レペゼン :
たしかにそうですね笑
当時、特に憧れていた芸人さんはいらっしゃいますか?

レペゼン :
ケンドーコバヤシさんです。当時、Eメールアドレスって自由に変更できたじゃないですか。僕はケンドーコバヤシさんのことが好きすぎて、自分のアドレスに「kendo-kobayashi…」みたいに名前を入れてました笑

レペゼン :
めっちゃ好きですね!笑

エリート街道まっしぐら!
と思いきや…

レペゼン :
ちなみに、養成所時代はヤーレンズはまだ結成されていないと思うのですが、コンビ結成までの経緯はどういう流れだったんですか?

出井 :
養成所では相方が1個先輩で、組むのも4年くらい経ってからなんです。養成所時代は、僕は別のコンビを組んでいたんですけど、養成所内ではかなり評判が良くて。「この学年で一番じゃないか?」みたいな。

レペゼン :
すごいですね。もはや首席になる勢いだったと。

出井 :
でも野に放たれたら全然で。面白いネタが1本しかできなかったんですよ。その1本も消費しちゃったら何も生み出せず、そのまま解散って感じで。

レペゼン :
養成所内と外の空気感は違うものなんですね。シビアな世界だ……。

出井 :
ちなみに当時の相方は今、にっしゃんという名前で東京でピン芸人をやってるんですけど、Youtubeで「にっしゃんのパチンコボロ負けこの世の終わりチャンネル」っていうのをやっているので、ぜひ見てみてください笑
僕のおすすめの動画は「0.2円パチンコという異世界」です。

レペゼン :
興味深い!笑
チェックさせていただきます。

ヤーレンズ結成のキーは
サザンオールスターズ愛

レペゼン :
にっしゃんさんとのコンビが解散したあとは、どういった流れで楢原さんとコンビを組まれたんですか?

出井 :
他の人とやったりしてたんですけど、なかなかうまくいかず、「もう辞めようかな」ってなってる時期に相方から声をかけられて、結成しました。

レペゼン :
うおお。絶妙なタイミングですね!楢原さんとは、もともと仲が良かったんですか?

出井 :
お互いサザンオールスターズさんが好きで。サザンをカラオケで歌おう、みたいなノリの会で知り合って仲良くなったんです。

レペゼン :
そこも音楽の趣味で繋がったんですね。ちなみに「ヤーレンズ」というコンビ名の由来は?

出井 :
サザンオールスターズの『さくら』っていうアルバムに入っている「YARLEN SHUFFLE~子羊達へのレクイエム~」っていう曲から取ったんです。コンビ名にするために、サザンの曲に片っ端から「ズ」をつけていったんです。「いとしのエリーズ」とか「愛の言霊ズ」とか笑
それをつけていくなかで「ヤーレンズ」がしっくり来て、その名前にしました。

【YARLEN SHUFFLE~子羊達へのレクイエム~】

今でもリピートしている
Terry The Aki-06

レペゼン :
NSC時代によく聴いていたヒップホップはありますか?

出井 :
一番はOZROSAURUSと、THA BLUE HERB、MSC、降神とか、その辺をめっちゃ聴いていましたね。あと、NSC時代は西成に住んでいたんですが、町にSHINGO★西成さんのでっかい看板があって笑

レペゼン :
すごい!さすがフッドスターですね。

出井 :
その影響でSHINGO★西成さんも聴くようになりましたね。アメ村とかで遊んだりしていたこともあって大阪のアーティストを聴いていたんですが、当時、420Family(*)に所属していたTerry The Aki-06っていうラッパーはめっちゃかっこよくて、リピートしていました。ちょっとレゲエっぽいサウンドで。

※…大阪、神戸、奈良、岡山などのアーティストが所属するクルー。代表的なアーティストは、韻踏合組合、SHINGO★西成、LARGE PROPHITS、HI-KINGなど。

レペゼン :
かっこいいですよね!

出井 :
たしか山本KIDさんもTerry The Aki-06の曲を入場曲に使っていたんですが、格闘技も好きな僕にとっては「全部かっこいいじゃん!」ってなりました。いまだに聴いていますね。

レペゼン :
特におすすめの曲はありますか?

出井 :
テンション上げたい時は、「速攻ROCK ON」とか。あとは大事な時に聴くのは「正念場」っていう曲ですね。

マルかバツやろ1つや答えは
「はい」か「いいえ」ではっきり答えな
お前はドギーかドブ猫か

っていうリリックが特に好きです。

【TERRY THE AKI-06 – 速攻ROCK ON】

 

【TERRY THE AKI-06 – 正念場】

レペゼン :
ありがとうございます。まさに漫才の本番前などに奮い立たせてくれるような楽曲ですね。

次回は、コンビ結成後、苦悩しながらも徐々に結果を残してきたヤーレンズのエピソードに迫ります!M-1という大舞台に挑む日々の中、出井さんを奮い立たせたラップソングとは?

プロフィール

  • 出井隼之介(でい じゅんのすけ)

    出井隼之介(でい じゅんのすけ)

    神奈川県出身、ケイダッシュステージ所属のお笑い芸人。漫才コンビ「ヤーレンズ」のツッコミ担当。 中学時代から聴き始めたラジオをきっかけとしてお笑いの道を志すように。吉本興業のお笑い養成所・「NSC」を卒業後、楢原と漫才コンビ「パープーズ」を結成。2014年の上京を機に現在のコンビ名に改めた。以降、毎年挑戦を続けてきた漫才師の頂点を決める「M-1グランプリ」では、2023年に初の決勝進出を果たしただけでなく、その後2024年、2025年と連続で決勝に駒を進め、多くのお笑いファンからのプロップスを獲得。現在は、ラジオのレギュラー番組や、コンビでのYoutubeチャンネル、そして全国ツアーなど、あの手この手で日本全土に笑いを届けている。格闘技、コーヒー、メイク/美容、そしてヒップホップと、幅広い分野の趣味を持つほか、優れた書き手としても知られ、お笑い要素も多分に含みつつ、独自の視点で世の中の出来事に向き合うコラムは、多くの気づきを与えてくれる。