ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人のキャリアについてインタビューしていく「あの人も実はヒップホップ」。今月は岩手県奥州市を拠点にWEBデザイン、グラフィックデザインなどを行う株式会社 JAZZRIZE DESIGN (ジャズライズ デザイン)の代表であり、DJ、音楽プロデューサーとしても活動される梅田 浩司(うめだ・こうじ)さんに4回に渡って、お話をお伺いしました。Vol.4の今回は梅田さんが運営されているセレクトショップ兼カフェ「JAZZRIZE STORE」についてお話頂きました。
前回の記事はこちら→ 奥州ヒップホップシーンを支える「JAZZRIZE DESIGN」代表・梅田浩司 のキャリアとは?
カルチャーを交差させる場。
「JAZZRIZE STORE」が目指すもの
レペゼン:
今回はまず梅田さんが運営されているセレクトショップ兼カフェ「JAZZRIZE STORE」について教えてください。
梅田 浩司:
「JAZZRIZE STORE」は中古コンテナを改造したセレクトショップで、2016年に立ち上げました。カフェに加えて、雑貨やアパレルなどを販売しています。カフェメニューは自家製にこだわっていて、レモンシロップやコーヒージェラート、ケーキ類など全て手作りですね。洋服、雑貨、音楽という幅広い要素が組み合わさった場所ですね。
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レペゼン:
めちゃ良いですね!なぜ立ち上げようと?
梅田 浩司:
デザイン会社である「JAZZRIZE DESIGN」とは別で衣食住に寄り添いながら、街の中にカルチャーを作りたいという想いがずっとあったんです。それぞれを組み合わせることで、持続的にいろんな人がクロスオーバーできる場所にしていきたいと思っています。
レペゼン:
素敵ですね。店内でイベントなどもされているんでしょうか?
梅田 浩司:
音楽イベントをやってますね。ただ街中にあるので、近隣の方に迷惑をかけないように、気を配りながらやってます笑
奥州市の豊かな音楽の土壌
レペゼン:
梅田さんの幼少期からのお話を聞いていると、奥州市はかなり早い段階からスケートやバンド、そしてヒップホップなどのカルチャーが入ってきていたような印象を受けました。新しいカルチャーが受け入れられている一方で、地域の色であったり、伝統的な空気感もある。いろんなものがミックスされているのかなと。またそれが現在の梅田さんの活動にも繋がっている気がします。
梅田 浩司:
そうかもしれないですね。今はちょっと減っちゃったんですけど昔はジャズ喫茶も多かったし、ディスコもあったりと、何かと昔から音楽も根付いてる場所なんです。うちの母親も地元で46年ぐらい喫茶店をやっていたんですが、そこでもジャズが流れていて。僕がジャズを好きになったり、「JAZZRIZE STORE」でカフェをやろうと思ったのも母の影響が大きいですね。
良いものを次の世代へ
レペゼン:
梅田さんの活動はまさにカルチャーを通しての継続的な町おこしだと感じるのですが、その側面でやってみたいことはありますか?
梅田 浩司:
いろいろありますけど、年齢的にも次の世代に良いものをつないでいきたいなと。音楽やデザインはもちろん、例えばおいしいコーヒーだったり。あと会社としては今、オリジナルのプロダクトも作ろうとしていて。DJの仲間が地元でやっている「315 BEER」というクラフトビールがあるのですが、そことコラボしてビールを一緒に作っています。
【315 BEER】
レペゼン:
おぉ!「315 BEER」のデザインも梅田さんが?
梅田 浩司:
通常のラベルは秋田の画家・青山ときお君が描いているんですけど、うちと「315 BEER」でコラボするビールのラベルは僕がデザインさせてもらっています。
【梅田さんがデザインしたラベル】
レペゼン:
かっこいい!飲んでみたいです!様々な活動をされている梅田さんですが、ヒップホップカルチャーに触れてきた経験が、人生で活きていると感じることはありますか?
ヒップホップから学んだ
“強い気持ちの持ち方”
梅田 浩司:
ありますね。ブラックミュージックの力強さや、成り立ちの背景にもすごく力をもらっています。なにより “強い気持ちのあり方” は、ヒップホップから学んだものの中でとても大きいです。
レペゼン:
ありがとうございます。そういった“強い気持ち”や“前向きな気持ち”になれるヒップホップの曲を一曲挙げるとすると何かありますか?
梅田 浩司:
今だったら、STUTSの『Changes feat. JJJ』とかですかね。2025年4月にJJJさんが急逝されたこともあって、自分の中でもかなり響いている曲です。ちょうど自分も近頃母親を亡くしたのもあって、すごく聴いていました。結局、どんなに悲しくても、苦しくても、前を向いていかないと意味がない。そういう気持ちにさせてくれましたね。
【 STUTS – Changes feat. JJJ 】
梅田 浩司:
あとはGang Starrの『Family and Loyalty (feat. J. Cole)』。母親が亡くなった日に病院に迎う時に聞いた曲なんです。その日は息子たちと釣りに行っていたのですが、病院から亡くなったと連絡が来て。そこから病院へ向かう車の中で、息子が“泣けるプレイリスト”を車内で流してくれたんです。その中にこの曲と、あとはGAGLEの『屍を超えて』もあって。涙を堪えながら運転した忘れられない瞬間ですね。本当にヒップホップからはいつもいろんな感情をもらってます。悲しみもあるけど、強く生きないとという気持ちをもらえる。常に力を与えてくれる音楽ですね。
【 Gang Starr – Family and Loyalty (feat. J.Cole) 】
【GAGLE – 屍を超えて】
レペゼン:
間違いないです。改めてこの度はお忙しい中お時間を頂き、ありがとうございました!
梅田 浩司:
ありがとうございました!
プロフィール
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岩手県奥州市出身。学生時代にヒップホップカルチャーに魅了され、DJを始める。高校卒業後は大工、服飾、看板屋など約20か所の職場を経験。その後Webデザイン会社に入社、デザインスキルを磨き、2005年に独立、デザイン会社「JAZZRIZE DESIGN」を立ち上げる。地元企業のロゴ、Webサイトから国内外のヒップホップやジャズのアーティストのアートワークまで幅広いデザインを手がけ、2006年には地域コミュニティの拠点としてセレクトショップ兼カフェ「JAZZ RIZE STORE」をオープン。DJ Umeda a.k.a Jaymonkとしても活動し、ヒップホップやジャズを軸に多くのアーティストの楽曲プロデュースやデザインを担当。カルチャーと地域をつなぐクリエイターとして、地元・奥州市に根を張りながら活動を続けている。