Biggieの「Hypnotize」に励まされ、たどり着いたお笑いで食っていく生活

お笑い芸人、インポッシブル・ひるちゃんの芸人魂とヒップホップ愛

ライター:TARO

ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人のキャリアや仕事について全4回に渡ってインタビューしていく「あの人も実はヒップホップ」。今月のゲストはお笑いコンビ、インポッシブルとして活動するお笑い芸人のひるちゃんさん。「有吉の壁」など多くのテレビ番組に出演する人気芸人のひるちゃんさんは、実は生粋のヒップホップ・ヘッズであり、ストリート上がりのスケートボーダー。今回はNSC卒業後から若手時代、そして売れない時代に励まされたラップソングについてお伺いしました。

前回の記事はこちら→ 川崎生まれ、ヒップホップ育ち。お笑い芸人・ひるちゃんの生い立ちとは?

若手時代はパチンコ中毒。売り払ったレアレコードとは?

レペゼン:
NSC卒業後はどういった生活だったのでしょうか?

ひるちゃん:
もうとにかく芸人としては全然食えなくて。
バイト生活でしたね。ただいきなり仕事入って、バイトをドタキャンしてクビになるとかしてました。単純に怠けて、行かなかったりとか。

レペゼン:

ひるちゃん:
あとやっぱりよくなかったのは、パチンコにハマっちゃって。それで今まで集めていたヴァイナルのレコードを全部売ったんですよ。一回それこそ渋谷で、パチンコして手持ちのお金も銀行の口座の金も全部使っちゃって。
当時、川崎の実家に住んでいたんですが、電車賃もなかったので、渋谷から川崎まで6時間ぐらいとぼとぼ歩いて帰りました。頭の中ではずっとThe Pharcyde(ザ・ファーサイド)の「Runnin’」が流れてました。Can’t keep running away〜って。

【 The Pharcyde「Runnin’」】

レペゼン:
現実逃避笑

ひるちゃん:
そうそう笑
でも本当にヴァイナルを全部売ってしまったのが、よくなかったなと..

レペゼン:
しかも今ヴァイナル値上がりしてますからね。

ひるちゃん:
マジすか!?
うわ、とっときゃ良かった!
EPMDの「Crossover」のオリジナルとか持ってたんすよ。

レペゼン:
もったいない…
パチンコすね…

ひるちゃん:
くそぉ…

同期はスーパー・スター、オリエンタルラジオ。悔しさをバネにたどり着いた「有吉の壁」

レペゼン:
若手芸人時代の悔しかったエピソードはありますか?

ひるちゃん:
同期なんですが、やっぱオリラジは人気がすごくて。当時無限大ホールで、レッドカーペットの影響とかもあって「キャー!」って感じで。出待ちも半端なかったです。僕らなんかはたまにラーメン屋でお兄ちゃんに、握手してください!って声かけられるぐらいで笑

レペゼン:

ひるちゃん:
もちろん声をかけてもらえるだけで、めっちゃ嬉しいんですけどね笑

レペゼン:
大体何歳くらいからお笑いだけで食べられるようになったんですか?

ひるちゃん:
ギリバイトしなくてよくなってきたのは、7〜8年ぐらい前、32歳くらいからですかね。
劇場と営業の仕事と、あと少しずつテレビに出られるようになってきた感じでした。
少しずつですがネタのことも評価してもらえるようになって。

レペゼン:
ネタのクオリティが上がってきたということなんでしょうか?

ひるちゃん:
んー、まぁ発見というか、テクニカルなことはできないということに気づいたんですよ。
それこそ、おぎやはぎさんみたいな。

レペゼン:

ひるちゃん:
元々ネタの作り方もよくわからなくて、死ねばオチると思ってて。

レペゼン:
死ねばオチる?

ひるちゃん:
コントで死んだらそれ以上ストーリー展開できないので。

レペゼン:

ある意味ちょっとスケーターっぽいですね。
SUICIDAL TENDENCIES (スイサイダルテンデンシーズ)的な。

ひるちゃん:

そうかもですね笑
ただ安定してお仕事頂けるようになった一番のきっかけは、やっぱり「有吉の壁」ですかね。

レペゼン:
「有吉の壁」に出演された経緯はどういった感じなんでしょうか?

ひるちゃん:
最初は普通にマネージャーさんから話もらって、一回出させてもらって。その後にコロナの欠員で入って、そのままみたいな感じですかね。後輩のチョコレートプラネットとかもめちゃくちゃ良くしてくれて。ありがたいです。

レペゼン:
いつも楽しく拝見させて頂いてます。
やっぱ有吉さんがいらっしゃる時は緊張しますか?

ひるちゃん:
そうですね。でも良い緊張感ですね。
やってウケるか、スベるかってところで。
楽しくやらせてもらってますね。

売れない時期に励まされたヒップホップはBiggieの「Hypnotize」

レペゼン:
売れない時期に励まされたヒップホップ・ソングはありますか?

ひるちゃん:
The Notorious B.I.G. 「Hypnotize ​​」ですかねぇ。
MVの冒頭で、ビギーがパフ・ダディとクルーザーに乗ってるシーンあるじゃないですか?
女の子たちを引き連れて。あれ見て、売れたらこうなろうって思ってましたね。

【The Notorious B.I.G. 「Hypnotize ​​」】

レペゼン:
なかなか芸人さんであれやる人はいなさそうですね笑
マジでやって欲しいです。

ひるちゃん:
やります。
相方をパフ・ダディ役にします。

レペゼン:

ひるちゃん:
あとはGang Starrの「Mass Apeal」とかですかね。気持ちを高めたい時に聴いてましたね。
あのグングンくる感じが好きで。とにかくヒップホップからは栄養をもらってますね。

【 Gang Starr「Mass Apeal」】

レペゼン:
沈んじゃっている時にも聴きます?

ひるちゃん:
ありますね。
嫌なことがあった日とかは、ゴリゴリのギャングスタラップを聴きます。N.W.Aの「Fuck Da Police」とか。

レペゼン:
わかります笑

ひるちゃん:
でもコーヒー飲んでいる時とかはジャジー・ヒップホップ聴くし。
ヒップホップってやっぱり自分の気分によっていろんなテイストがあるから良いですよね。

 

次回はスケーターとしての活動や、スケートボードをするときに合うラップソングについて聞いていくよ!お楽しみに!

プロフィール

  • ひるちゃん

    ひるちゃん

    お笑い芸人。NSC東京校10期生。NSCで知り合ったえいじさんとともに「インポッシブル」として活動。「でっかい昆虫と戦おう」のネタが話題を呼び、「アメトーーク!」や「やりすぎコージー」などのTV番組で紹介される。人気番組「有吉の壁」では「JKボンバーズ」などのキャラクターを生み出した。中学生からスケートボードを始め、現在はよしもとスケートボード部のメンバーとしても活動。また90年代のUSヒップホップをこよなく愛する生粋のヘッズでもある。

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