B-Boy MORIKO JAPAN| DIG!カバンの中身 Vol.41

目の病気である網膜色素変性症を持ちながら、 白杖を使用したパフォーマンスで世界を舞台に活躍するブレイクダンサー

ライター:TARO

普段中々見ることの出来ないDJやダンサーのバッグの中身に鋭く切り込む「DIG!かばんの中身」

今回は「ダンサー編」 。第41回のゲストは、目の内側を覆っている網膜という組織に異常をきたす進行性の病気、網膜色素変性症を持ちながら、 白杖を使用したブレイクダンスのパフォーマンスで多方面で活躍されている、白杖ダンサーのMORIKO JAPAN(モリコ・ジャパン)さん。

【B-Boy MORIKO JAPAN】

MORIKO JAPAN:
B-Boy、白杖ダンサーのMORIKO JAPANです。学生時代に網膜色素変性症という進行性の目の病気であることがわかり、現在は目がほとんど見えていない状態です。普段は薬剤師として働きながら、 白杖を使用したブレイクダンスのパフォーマンスを通して 視覚障がい者への理解を広げるため活動しています。

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白杖(はくじょう)

MORIKO JAPAN:
目がほとんど見えないので、日常生活では白杖(はくじょう)を使っています。普段の移動とダンスのときで白杖を使い分けてますね。普段歩くときは折りたたみできる130cmの白杖を使い、ダンスの時には折り畳み機能がない、回しやすい120cmの短めの直杖(ちょくじょう)を使用しています。白杖がなくても踊れるのですが、表現の一つとして白杖を取り入れてますね。

カラーコーン

MORIKO JAPAN:
目がほとんど見えないことから、狭いスペースで踊るときに位置感覚をつかむことが苦手なんです。そのためバトルやサイファーで前後がわからなくなってしまうことがあって。そんな時のためにカラーコーンを持ち歩いてます。自分の位置を確認するためですね。練習中もカラーコーンを置いて、その中で踊るようにしてますね。

ランヤード&ライト

MORIKO JAPAN:
ランヤードです。家の鍵や小型のライトをつけてます。
僕は夜盲(やもう)があって。暗い道などではライトを使って自分の歩く場所を照らして確認しますね。

*夜盲症・・・暗い場所での視力が低下する症状

AirPodsと音声操作

MORIKO JAPAN:
AirPodsは便利ですが、白色なので見づらいのが難点です。白いテーブルや床に落ちてしまうとわからなくなるんですよね。ただイヤフォンは必需品。自分はスマホの文字がなかなか見えないので、音声読み上げ機能を多く使っています。メールなども読み上げて、耳で確認してますね。

リストバンド

MORIKO JAPAN:
自分が運営しているNPO法人「LEAVE NO ONE BEHIND」のリストバンドです。街中で助けてくれた方々に配ります。

スピンニット

MORIKO JAPAN:
ヘッドスピン用のニットですね。私はあまりヘッドスピンやパワームーブをしないのですが、白杖を持ったままヘッドスピンをするとイケてるなと思って、最近はヘッドスピンの練習を頑張ってます。

目出し帽

MORIKO JAPAN:
目が見えないのに、目だけ出してたらおもしろくない?ってので。海外の方からは結構好評です笑

KANGOL HAT

MORIKO JAPAN:
KANGOLのハットはヒップホップを始めた中高生の頃からずっと好きで。結構集めてますね。Ken Swiftが好きで被り始めましたね。

ドゥーラグ

MORIKO JAPAN:
見えないので、髪型を整えるのが面倒くさいんですよね。いつも帽子をかぶっちゃえばいいかなって感じです。ダンスの時も髪の毛をまとめて、その上からバンダナをしたり、帽子をかぶったりすることが多い。汗をかくと、帽子がすぐに傷んでしまうことがありますが、ドゥーラグが汗を吸ってくれると、帽子やキャップも長持ちするので、よく使ってますね。

アパレル



MORIKO JAPAN:
「LEAVE NO ONE BEHIND」という私が運営してるNPO法人のブランドです。私はほとんど見えないので、イメージを仲間たちに伝えて、作ってもらっていますね。NPO法人のウェブサイトでグッズを購入できます。売り上げはNPO法人への寄付、活動資金として使われますので、ぜひチェックしてみてください。

MORIKO JAPANさんのWebサイトはこちら

手袋

MORIKO JAPAN:
冬になると、寒いからポケットに手を突っ込んで歩きたいですが、白杖を使っているとポケットに手を入れられない。なので手袋を使っています。タッチパネルにも反応するので便利です。

スニーカー

MORIKO JAPAN:
プロケッズです。晋平太さんのフリーマーケットで買いました。練習用で使ってますね。
一時期プロケッズが日本から一度無くなってしまったのですが、最近、復刻されて再び手に入れることができました。ただ復刻版は以前のソールからビブラムソールに変わって、自分的にはちょっと踊りにくいかなと。練習場所の地面と合わず、少し滑りやすいんですよね。だから、昔のスニーカーを大事に履こうかなと。あえてカラー違い、ガチャ履きで履いてます。

シューレース

MORIKO JAPAN:
ニット帽を留めるために使っています。ダンスを踊ってるとニット帽が飛んでっちゃうので。

サングラス

MORIKO JAPAN:
僕、白内障の影響で明るい場所にいるとすごく眩しく感じるんです。日光や白いテーブル、白基調の部屋では眩しくて。なので、明るい場所に出るときはよくサングラスをかけてます。特に暗い場所から明るい場所に行くとき、すぐに目が順応できないんです。なので最初にサングラスをかけておいてから明るい場所に入ることがありますね。

MORIKO JAPAN:
メガネ屋さんでお気に入りのお店は「白山眼鏡店 – HAKUSAN MEGANE」ですね。海外ブランドだとなかなか顔にフィットしないんですが、白山眼鏡さんのメガネはフィット感が非常に良いです。顔にぴったり合います。

名刺

MORIKO JAPAN:
この名刺は自分が代表しているNPO法人「LEAVE NO ONE BEHIND」のものです。「誰も取り残さない社会を作ること」を目指しています。ステッカーも合わせて入れています。
街で助けてくれた人にお配りすることが多いですね。

カバン

MORIKO JAPAN:
THE NORTH FACEのビッグショット。33リットルの大きさで、かなりの容量があるので、たくさん入れることができるし非常に便利です。ただ、これを使っている人が多いんです。クラブとかでも似たようなカバンが多いので、時々わからなくなりますね笑
普通のリュックは長時間使っていると背中が疲れてしまうのですが、その点ノースのリュックはかなり楽ですね。

白杖ダンサーとして。B-Boy MORIKO JAPAN

レペゼン:
ダンス用と移動用で白杖を使い分けているんですね。

MORIKO JAPAN:
普段歩くときは折りたたみできる130cmの白杖、ダンスの時には折り畳み機能がない、120cmの直杖というものですね。

レペゼン:
なぜ使い分けているんですか?

MORIKO JAPAN:
まず歩く時は長い方が安全なんです。人や物とぶつかる前に距離を取ることができるので。あと移動時に使う白杖が折れる仕様になっているのは、折れないと車や自転車に挟まれた時、そのまま巻き込まれちゃうんですよね。なので安全性を考慮してそのよう仕様になっています。逆にダンスの時に折れちゃうとパフォーマンスに支障が出るので、ダンスの時は折りたたみ機能がない、直状を使ってますね。

レペゼン:
そうなんですね!パフォーマンスで海外なども多く行かれていると思うのですが、実際点字ブロックとかって海外にもあるんですか?

MORIKO JAPAN:
海外はほとんどないですね。点字ブロックは日本発祥のもので。なので海外に行く際は、サポートが必要なことが多いですね。ただ逆にダンスの現場は海外の方が踊りやすかったりします。まず根本的に場所が広いんですよね笑
日本のクラブだと結構狭いので、サイファーなどだと空間がうまく認識できず、苦労することもあります。海外だと広いスペースが多いので、踊りやすいですね。


プロフィール

  • MORIKO JAPAN(Hitoshi Mori)

    MORIKO JAPAN(Hitoshi Mori)

    目の病気である網膜色素変性症と闘病中。普段は薬剤師として働きながら、 白杖を使用したブレイクダンスで多方面で活躍。パフォーマンスを通して 視覚障がい者への理解を広げるため活動中。 【経歴】neo NATION Zeebra Liveバックダンサー、Tokyo2020 パラリンピック 閉会式出演、第72回紅白歌合戦 2021 マツケンサンバⅡ 出演、True Colors Festival in アゼルバイジャン 出演

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