DJ SOOMA| DIG!カバンの中身 Vol.46

生粋のバイナルラヴァー!大阪のOG、DJ SOOMAのカバンの中身とは?

ライター:ほりさげ

非日常であるクラブパーティ。その演出には多くの人が関わっています。クラブ、そしてエンターテインメントの現場に立ち続ける人間のカバンには、いったいどんなモノが入っているのだろう?この企画では、なかなか見ることのできないDJのバッグの中身を鋭く切り込みます。
今回お呼びしたのは、“オリジナル赤い目フクロウ”こと故DJ KENSAW氏が掲げた「梟観光」の意思を受け継ぐプレイヤーの1人であり、90年代から大阪を拠点に活動を続けてきた大ベテラン、DJ SOOMAさん。同じく大阪レペゼンのレジェンドMC・茂千代さんのバックDJとしても知られる彼ですが、DJプレイは特殊な場合を除いてほぼレコードのみ。巧みなレコード捌きでフロアを沸かせる職人気質なDJ SOOMAさんのカバンの中身とは!?

DJ用ヘッドフォン 「Pioneer – HDJ-X7」

DJ SOOMA :
フィット感とある程度の重さがあるのが使いやすくて、ずっとPioneerを使ってます。数年前までは、「HDJ-2000」を愛用していたんですが、今使ってるものはその後継機になります。

レペゼン :
ちなみにヘッドフォンの寿命ってどれくらいなんですか?

DJ SOOMA :
聞こえなくなるとかはほとんどないけど、ヘッドバンドのプラスチックの部分が折れたりすることはあって。これは、その部分が金属になってるから折れにくそうですけどね。

Bluetoothイヤホン
「Beats – Powerbeats pro」

DJ SOOMA :
移動中に使うイヤホンで、たしか4~5年くらい使ってます。

レペゼン :
スポーティなタイプですね。

DJ SOOMA :
耳栓型のBluetoothイヤホンは外れそうで落ち着かないんで、耳に引っ掛けるタイプのものを使ってます。

レペゼン :
ちなみに、移動中はどんな音楽を聴くことが多いですか?

DJ SOOMA :
日によってバラバラやけど、最近の新譜をチェックしたり、イベント前やったら、その日持っていくレコードの曲をストリーミングでちょっと聴いてイメージしたりすることもあります。でもあんまり決まってないですね。

レコードスタビライザー

レペゼン :
レコードの上から載せる、いわば“重し”ですよね。これはどちらのものですか?

DJ SOOMA :
今使ってるのは「UNION PRODUCTS」っていうメーカーから最近、出たやつです。金色の方は350gで、シルバーの方は550gあります。

レペゼン :
あ、本当ですね。見かけよりもずっしりしています。

DJ SOOMA :
レコードの反りがひどいやつは針がすぐ飛んでしまうんですけど、これを載せるとおさまってくれます。あとこのずっしりとした重さがあることでレコードをかけた時にローの音が締まる気がします。あくまで感覚なんすけどね笑
ただ重たい方のスタビライザーはスクラッチがしにくくなるので、12インチのレコードを回す時は350gの方を使うようにしています。

イベントフライヤー

※写真のものは、2025年11月のイベントにつき既に終了。

DJ SOOMA :
自分が出るイベントでフライヤーがあるものは、基本的にカバンに入れて渡せるようにしてます。このフライヤーは、自分がレギュラーで入ってるパーティ、「RETURN OF THE 90’s」のものです。
名刺くらいのサイズ感で手渡ししやすくて気に入ってます。大きいフライヤーもインパクトあってかっこいいけど、目の前で二つ折りにされたりするとちょっと悲しいですよね笑

レペゼン :
紙のフライヤー文化は減っている印象なんですが、実際いかがですか?

DJ SOOMA :
一時期よりは増えてきた気もしますけどね。時代が回って、逆に「紙フライヤー作りたい」ってなる人が多いのか、クラブとかショップとかでもよく見かける気がします。

レペゼン :
「RETURN OF THE 90’s」は、名前の通り”90年代”がテーマなんですか?

DJ SOOMA :
そうです。DJは90’sのバイナルオンリーでプレイして、ゲストライブとかダンスショーも、その時代の音楽やカルチャーが好きな人を呼んでいます。意外と今、20歳前後の世代で90年代のレコード好きなDJが少しずつ増えているんで、そこも時代は回ってるのかなと感じます。

レコード針

DJ SOOMA :
カートリッジ(レコードに触れる針)とヘッドシェル(タンテのトーンアームに接続するパーツ)が一体型になってる、通称「コンコルド」を使ってる時期もあったけど、今は2つをネジで止める仕様のものに戻りました。
ちなみに針がダメになっても大丈夫なように、念の為2セット入れてます。大阪やったらまだしも、地方に呼んでもらった時に壊れたら終わりですからね笑

レペゼン :
現場数が多いからこそ、針の消耗も激しそうですね。ちなみに針がダメになると、どうなるんでしょう?

DJ SOOMA :
消耗してくると音がこもったりノイズが入ったりするようになって、完全にダメになったらレコードに置いても「サー」と針が滑っていくようになります。でも、いきなり壊れるというより少しずつ消耗していく感じなんで、音の鳴りに違和感を感じてきたら交換するようにしています。

ISANDLA×RAJABROOKEの
スリップマット

※RAJABROOKE(ラジャブルック) … 東南アジアの模様にインスピレーションを受けたデザインの洋服を作っている大阪のブランド。当スリップマットは、インドネシアの伝統的な染色技法で作られた布「バティック」のデザインを落とし込んだもの。

DJ SOOMA :
大阪・心斎橋にあるレコード店[ISANDLA]で購入したスリップマットです。

レペゼン :
かっこいい柄ですね!使いやすさはどうですか?

DJ SOOMA :
このスリップマットのベースとなる部分は、「Dr. Suzuki」っていう自分がずっと使ってる大手メーカーのものなので、やりやすいです。クラブによっては既存のスリップマットをタンテに置いてくれてるんですが、ものによって滑りが違うので、できるだけ自分が慣れてるものを使いたいですね。

7インチバイナル

DJ SOOMA :
最近、7インチでの音源リリースが多いんで、自分も7インチを買うことが自然と増えてきました。ほぼ毎週DJするなかで、やっぱりフレッシュな曲もかけていきたいので、12インチメインで回す時もこの7インチはカバンにしのばせて、タイミングでかけます。

レペゼン :
バッグもかわいいですね!どこのものですか?

DJ SOOMA :
これは那覇市にある[BAR OVER RAP]のオリジナルバッグです。沖縄のラッパーとかDJにとってもお馴染みのお店ですね。これはサイズ的に、たぶん7インチバイナルの為に作った物かなと。

SOOMAプロデュースのバイナル作品

インストビート主体のアルバム『SNIPER ATTACK』(上段)

JUMBO feat. JUMANG, ELOQ & YAMANE『ILL JOINT』(下段右)

『BANG BANG / CRIMINAL』(下段左)

DJ SOOMA :
自分が手がけた音源をレコードでリリースする場として、2020年に自主レーベル「M-13 RECORDS」を始めました。基本的にオンラインで販売しているんですが、現場で「レコードゲットできますか?」って言われることも出てきたので、リリース後の作品は持ち歩くようにしています。

レペゼン :
12インチの『SNIPER ATTACK』は、ジャケのグラフィティもめちゃくちゃかっこいいですね!

DJ SOOMA :
このグラフィティは、大阪のレジェンドライター・ZENONE(ゼンワン)さんに描いてもらいました。KENSAWさんの作品も多く描いていた人なんですが、自分も若い頃からお世話になってて、ミックスCDのジャケットを描いてもらったりもしました。

LIXTICK 「ALLDAY BACKPACK」

DJ SOOMA :
12インチのレコードも入るので、7インチメインで回す時に12インチも少量持っていきたい時にはここに入れます。[LIXTICK(リックスティック)]は大阪のブランドなんですが、それこそ自分の音源とかミックステープをリリースさせてもらったりしています。

レペゼン :
ありがとうございます。全体を振り返ると、カバンの中身としては比較的すっきりめですね。

DJ SOOMA :
PCで回さない分、細かい機材とかケーブルはないんでね。でも、ここに加えてパンパンにレコードが詰まったレコ箱も持っていくから、荷物自体はめっちゃ多いですよ!笑

レペゼン :
たしかに、移動だけでも相当大変ですね!笑

プロフィール

  • DJ SOOMA

    DJ SOOMA

    90年代から大阪を拠点に活動し続けるDJ・ビートメイカー。大阪の伝説、“オリジナル赤い目フクロウ”ことDJ KENSAWの薫陶を受けた “梟チルドレン”筆頭格としてのDJプレイはもちろん、大阪が誇る天才MC・茂千代とのタッグにおけるLIVE実演等、数々の伝説的な一夜を彩ってきた。DOPEな色気を漂わすセンス、保ち続けるグルーヴ、そして細部まで洗練されたスキルを武器にダンスフロアを席巻し、ひとたびブースに立てばそのプレイに陶酔するヘッズが後をたたない。その求心力は現場のプレイに収まらず、LOWでブレないミックスCD・ミックステープ、さらには「SAMPLING SNIPER」の真骨頂とも言える粋で味わい深いビートワークを通して、自身の音楽性を発信してきた。近年は関西を中心に、日本各地ひいてはアジア各国のイベントで圧倒的なプレイスタイルを見せるだけでなく、2020年には自主レーベル「M-13 RECORDS」を立ち上げ、音源やオリジナルアイテムを定期的にリリース。キャリア30年を目前に、その勢いはとどまるところを知らない。

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