Interview

2019.12.12 Thu

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レペゼンインタビュー:DJ K.DA.B 「メディアで活躍するDJへ」

クラブだけがDJの居場所じゃない、彼の考える「DJの在り方」とは

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前編では、ヒップホップとの出合いやニューヨークでの刺激的な生活について教えてくれたDJ K.DA.B(ケー・ダ・ビー)。困難な環境でも決して努力を忘れない、そんな彼のポリシーを感じ取ることができた。

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後編は、日本に帰国してからの出来事にフォーカス。どのようにして現在の活動スタイルに至ったのか、現在のシーンについて思うこと、今後の野望など、正直な想いを語ってもらう。

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人生グラフ④ ニューヨークから日本に帰国

レペゼン:
5年間のニューヨーク生活を経て、27歳の時に日本に帰ってきたんですよね。久しぶりの日本はどう感じましたか?

DJ K.DA.B:
帰ってきてすぐは、日本の選曲に合わせるのに時間がかかってしまいました。当時の国内のシーンに対する違和感もあったし。それでも、しばらくすると地元の神奈川県を中心に月に20~25本くらいレギュラーをもらえるようになりました。

レペゼン:
おお!!けっこう順調だったということでしょうか??

DJ K.DA.B:
ただ、その数年後に横須賀の米兵の門限が厳しくなったり、神奈川エリアのクラブが相次いで閉店してしまう時期に入ってしまい…当時はまだ東京にあまり出てきてなかったから、神奈川のクラブが減ると自然と俺の出演数自体も減ってしまって……。

レペゼン:
そうなんですか…
ニューヨークの時のナイトメアがよぎりますね…

DJ K.DA.B:
でも逆にニューヨークでリーマンショックを経験していたおかげか、そんなに落ち込むこともなかったです。もともとマイナスの所から切り開いていくのが得意なタイプではあるので。

レペゼン:
そのメンタル半端ないです!!
その後はどうなったんですか??

DJ K.DA.B:
東京のイベントにも積極的に顔を出すようにして行ったので、レギュラーも増えていきました。やっぱり自分で足を運ばないことには始まらないですね!!

人生グラフ⑤ ラジオDJやライターとしても活動を開始

レペゼン:
現在は活動の幅をラジオやウェブメディアにも広げられていますが、それにはどのような経緯があったんですか?

DJ K.DA.B:
34歳の時に、m-flo(エムフロー)の☆Taku Takahashiさんがやってる「block.fm」というウェブメディアでライターに挑戦する機会がありまして。今でもヒップホップ関係のニュース記事をメインで書いています。

レペゼン:
かっこいいです!!
WREP(レップ)のラジオのオファーはどうやって来たんですか?

DJ K.DA.B:
3年くらい前からヒップホップ関連のニュース記事に翻訳をつけた動画を「#BsideNews」としてInstagramやSNSにアップしていたんです。それがDJ界隈の人たちにけっこう好評で、番組をやらないかとDJ YANATAKE(ヤナタケ)さんから誘ってもらいました。今年10月からは毎週木曜日の18時から、時間も1時間延長して看板番組の仲間入りをさせてもらえることになったので、より一層楽しみですね!

レペゼン:
いやー本当にすごい!!ご自身で道を切り開くと、そういうフックアップも付いてくるんですね!!ラジオDJもクラブDJもできちゃうっていうのは新しいですよね。

DJ K.DA.B:
俺はニューヨークにいた頃からラジオの大切さをずっと感じていて、クラブとラジオは共にあるべきだと思っていたから、わりと自然な流れですね。

レペゼン:
なるほど。

DJ K.DA.B:
ラジオ番組やライターをやっていると、クラブのDJとしても今までとは違う方面から誘ってもらえることが増えたりして。色々な仕事をしてるけど根本はクラブで本気のDJをできるぞっていうのが、自分の自信や余裕にも繋がってると思います。

思い出の楽曲、好きなアーティストについて

レペゼン:
次は音楽について話を聞いていきたいんですけど、ズバリ、DJ K.DA.Bさんの好きなアーティストは?

DJ K.DA.B:
一番はBiggie(ビギー、The Notorious B.I.G)かなあ。

レペゼン:
やっぱりいいですよねー!
最近お気に入りの曲ってありますか。

DJ K.DA.B:
最近はなんだろう……。チャートにある曲も好きだし、SNSで偶然見つけた無名アーティストの曲も好きだから、わりと何でも聴きますよ。家にいる時や移動中は、クラブではかけないような音楽を聴いてることが多いですね。

レペゼン:
ちなみに今日は何を聴いていましたか?

DJ K.DA.B:
今日は、Jim Jones(ジム・ジョーンズ)の「El Capo(エルカポ)」を聴いてました。2000年代初期に流行った人たちがブームが落ち着いた頃に出す、あぁいうヒップホップが好きで。チャートにはランクインしないけど渋いなあって。たまたま今日はそんな気分でしたね。

レペゼン:
DJを始めた10代、ニューヨークで過ごした20代、日本で活動する30代、それぞれ思い出の曲ってありますか?

DJ K.DA.B:
めちゃくちゃいっぱいありますよ!!10代はLost Boyz(ロスト・ボーイズ)の「Ghetto Jiggy」ですかね。あれは初めて聴いた時に衝撃を受けました。

レペゼン:
懐かしい!渋いですねー!!

DJ K.DA.B:
20代は、当時ニューヨークでよくかかってたJamie Foxx(ジェイミー・フォックス)の「Blame It」。男目線でクラブの楽しみ方を歌っている曲なんですけど、今でもたまにDJで使ったりします。

レペゼン:
いいですねー!!MVもすごく印象に残っています!!

DJ K.DA.B:
30代は……悩ましいなあ。リリースから今までずっと好きなのはDrake(ドレイク)の「Nice For What」ですね。去年の曲なんですけど、サンプリング元のLauryn Hill(ローリン・ヒル)がもともと大好きで。それで一気に心を掴まれてしまいました。曲の展開も良いからDJとしては使いやすいんです。

レペゼン:
難しい質問でしたよね…でも、各年代の思い出の曲、K.DA.Bさんの人生グラフと照らし合わせるとすごくイメージが湧いてきます!!
プライベートで仲の良いアーティストは誰かいらっしゃいますか?

DJ K.DA.B:
アメリカにも仲良い人いっぱいいるんですけど、日本に何度か呼んでいるDJ First Choice(ファースト・チョイス)とか。年齢や感性も近いし、音楽の話をするのが好きな奴なんで、会うたびに発見があるんですよね。いつもアイデアをもらえます。

レペゼン:
高め合える友達は最高ですよね!地元の人たちとも交流はありますか?

DJ K.DA.B:
藤沢のみんなは近くにいるから普通に街中でよく会いますね。湘南はレゲエ文化も根強いし、音楽関係の人たちはみんな仲良いですよ。

レペゼン:
確かに藤沢ってみなさん絆が深そうなイメージです!!音楽関係に限らず、尊敬する人を教えてください。

DJ K.DA.B:
Chance The Rapper(チャンス・ザ・ラッパー)とBeyonce(ビヨンセ)、French Montana(フレンチ・モンタナ)このあたりですかねー。彼らは慈善事業に力を入れているんです。

レペゼン:
そうなんですか!!

DJ K.DA.B:
Beyonceはユニセフと組んでアフリカの水源問題に関わっていて、Chance The Rapperは地元シカゴの学校を支援していたり。そういう、成功したからこそコミュニティへの還元をしているアーティストに憧れます。売れた後にちゃんと還元しないと、ストリートでやってきたことが結局ゼロになっちゃうと思うので。

レペゼン:
ストリートへの還元…そういうことですね!!では、今注目しているアーティストは誰ですか? 

DJ K.DA.B:
大坂なおみ選手のおかげで日本でも認知されてきていますけど、YBN Cordae(ワイビーエヌ・コーデー)ですね。インタビューとか見てても、受け答えがしっかりしているんです。

レペゼン:
何かと話題ですよね!

DJ K.DA.B:
今の若い世代って2000年代や2010年代の音楽で育ってるから、1990年代の2PacやBiggieを知らない人も多いんですよ。でも、YBN Cordaeはちゃんと1990年代のカルチャーを知ってるから心強いなあって。すでに注目されていますが、今後もっと人気になったらいいなと思います。

現在のワークスタイルについて

レペゼン:
K.DA.BさんはクラブDJやラジオDJ、ライターなど様々な場で活動をされていますが、切り替えって難しくないですか?

DJ K.DA.B:
日本ってDJ=クラブっていうイメージが強いんですけど、俺は音楽の先のカルチャーを伝えることもDJの仕事だと思うんです。そういう意味では、記事を書いたりラジオ番組をしたりするのもDJの延長線にあると考えています。

レペゼン:
なるほど!!広い意味で「DJ」をしているってことなんですね。

DJ K.DA.B:
そういった感覚です。これからの時代は、そういう人がもっと増えてほしいなとも思うし。酒が飲めないとかなんとなくあの雰囲気が苦手だとか、音楽やDJが好きなのにクラブに向いてない人っているじゃないですか。だったらスポーツ系のDJやエンタメ系のDJがいてもいいと思うんです。

レペゼン:
確かに、その通りかもしれないです!!

DJ K.DA.B:
DJのフィールドは決してクラブだけじゃないから。ライターやラジオをやりたいなら、今の時代は東京に限らず地方でもできちゃうと思うし。

レペゼン:
そうですよね!!K.DA.Bさんのようなお手本があると、これからの若い世代もいろんなジャンルにチャレンジしやすくなると思います!!
仕事をしていて楽しいなって思うのはどんな時ですか?

DJ K.DA.B:
ラジオだと、リスナーさんとコミュニケーションを取れる時。クラブでDJしてる時もお客さんの反応を見られるのが一番嬉しいですね。ライターとしては、Google検索で自分の記事がトップに出るとやっぱりテンション上がりますね。笑

レペゼン:
仕事をする上で、自分の武器って何だと思いますか?

DJ K.DA.B:
やっぱりニューヨークでの経験ですかね。しかも大不況を経験したからこそ、DJとしても人間としても強くなったと思います。ライターやラジオDJとしては英語を話せるのも強みかなと。海外のニュースもスピーディーに理解しやすいので。

最近のストリートに対して思うこと

レペゼン:
最近のヒップホップシーンを見ていてどう感じますか?

DJ K.DA.B:
SpotifyやApple Musicなどの定額制サービスのおかげでみんなが好きな曲を好きなだけ聴けるようになって、ヒップホップの幅も広がったし、音楽としてのヒップホップは面白くなってるなと感じます。

レペゼン:
そうですよね!!

DJ K.DA.B:
ただ、それがストリートに根付いているかというとまた別の話で。流行りのアーティストを追って流行りの格好をしたからってその人がストリートの代表だとは言えないじゃないですか。

レペゼン:
なるほど。

DJ K.DA.B:
今は、音楽としてのヒップホップとカルチャーとしてのヒップホップが少し離れている気がするんです。さっきのChance The RapperやBeyonceの話じゃないけど、コミュニティとの関わり方が大事になってくるんじゃないかな。

レペゼン:
音源だけじゃなく、そのまわりの活動や広がり方まで含めてカルチャーだと。

DJ K.DA.B:
そういうことです。

レペゼン:
そんな中で、DJ K.DA.Bさんの思うストリートの定義とは。

DJ K.DA.B:
何かが生まれる場所。音楽に限らず、女子高生の流行りとかもみんなストリートから生まれるじゃないですか。今の時代、家で何かを作って発信することもできるけど、それは想像力の範疇でしかないと思うんです。自分の世界でしかないというか。でも、ストリートなら人と人との組み合わせで無限の想像力がある。そしてそこで生まれたものが根付いていくとカルチャーになると思うし。

レペゼン:
これからの時代を担う、若いプレイヤーに期待することは?

DJ K.DA.B:
DJのスタイルとして、みんな適材適所があると思うんです。だから、若い世代には短所を直すより長所を伸ばしてほしいかな。クラシックのヒップホップを好きな奴が無理して最先端のパーティーに出る必要はないと思うし。音楽を嫌いになってほしくないから、ストレスを抱えずに好きにやってもらいたいです。

レペゼン:
ストリートで生きていくために必要なことって何でしょう。

DJ K.DA.B:
長所を伸ばすことと、最初から金目当てにならないこと。アメリカでも”Don’t chase the money.”って言うんですけど、お金ばかり追うなって。稼げないかもしれないけど、修行だと思って頑張る。そうしたら後から実績がついてくるから。自分の長所を突き詰めて継続することが大事だと思います。

今後、叶えていきたい野望

レペゼン:
今後、叶えていきたい夢があれば教えてください。

DJ K.DA.B:
目先の目標としては、世界中どこに行っても仕事できるような人間になれたらいいなと。ナイトクラブのDJも大好きだけど、タイミングは違うもののどこかで世代交代は起きるべきじゃないですか。だからこそクラブDJ以外の仕事にも挑戦して、こういうやり方もあるよって若い子にも見せていけたらなと思います。

レペゼン:
自分自身のことだけでなくシーンの未来を見据えているからこその目標ですね。

DJ K.DA.B:
あとは、これは野望なのですが、さっきも話したようにコミュニティへの還元を目指したカルチャーイベントを開催したいです。日本もヒップホップカルチャーがここまで成熟したんだったら、次はそういうアクションを起こす時代なんじゃないのかなと。俺が一番やりたいのは、アメリカで言うところの「Back to School Drive」的なイベント。

レペゼン:
Back to School Drive?

DJ K.DA.B:
例えば新学期を迎える子どもたちに文房具を配ったり、バスケのコーチを呼んで練習会をしたり。DJを呼んでパーティーしてもいいし、戦争を体験した人やいじめを乗り越えた人の話を学校じゃなくて友達や親子で聞く機会があってもいい。まずは、コミュニティイベントに参加することで地域のコミュニケーションが活発になったらなあって。

レペゼン:
そういうイベントがあると、例えば学校に居場所がない子どもたちにとってもいい機会になりそうです。

DJ K.DA.B:
最近は手話のダンスチームをやってる先輩に相談してみたり、自分の中でインプットとアウトプットを繰り返して頭の中でイメージを作り上げてます。

レペゼン:
素晴らしいチャレンジだと思います。
最後に、DJ K.DA.Bさんの座右の銘を教えてください。

DJ K.DA.B:
昔からずっと変わらず、”Everyday struggle”です。Biggieの曲のタイトルなんですけど、毎日がstruggle(戦い)って。とにかくやることやらないと始まらないぞと。

レペゼン:
色々と話を聞いた後だから、とても説得力がありますね。

DJ K.DA.B:
生きていれば嫌なこともあるだろうけど、そういうこともstruggleしていかないと。ニューヨークに住んでた頃、早朝に届け物をしてくれた配達人と立ち話をしていて「朝から忙しいね」って言ったら「食わなきゃいけないから」って言われたんです。要は、みんなサバイブしていかなきゃならないんです。そんな経験も含めて”Everyday struggle”かな。

レペゼン:
なるほど……。身に沁みます。
最後に読者に向けて、何か告知はありますか?

DJ K.DA.B:
毎週木曜の18時からWREPで「WREP 6」という番組でパーソナリティをつとめています。さらにblock.fmで担当している記事やSNSで「#BsideNews」のチェックもお願いします。あとは皆さん、クラブで会いましょう!

レペゼン:
どれも楽しみにしています! 本日は、DJ K.DA.Bさんのおかげで今後の人生の参考になるような大切なメッセージがたくさん見つかりました。お話を聞かせていただきありがとうございました!

DJ K.DA.B:
ありがとうございました!

ニューヨーク仕込みのDJで国内外のヒップホップファンから愛され、クラブからメディアへと活躍の場を広げているDJ K.DA.B。どんな苦境にも負けない彼のポジティブな姿勢には、クリエイターとして、人として、見習うべきところがたくさんあった。日々変わりゆくストリートシーンの未来を見据える先輩として、DJ K.DA.Bはこれからの若い世代の鑑となっていくことだろう。

前編を読む→

DJ K.DA.B Instagram:djkdab

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