Interview

2019.8.8 Thu

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レペゼンインタビュー:KIKUMARU ”ブラックな感覚”

何がストリートで、ストリートをどう生き抜くか。

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前編で語られた、KANDYTOWNの絆。そして単身ニューヨークに渡り、多くを考えたというKIKUMARUの生き方。
ストリートではやはり「つながり」というキーワードが、大きな成果に直結するのだろうか。

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後編はさらに、楽曲制作やフリースタイルなどの彼の”ライフワーク”、そしてそこに身を置いた者しかわからない”ストリートの定義”について語ってもらった。

楽曲制作について

レペゼン:
ご自身の楽曲のトラックはどうしてるんですか?

KIKUMARU:
その時々で変えてますね。ニューヨークにいる人に頼んだり、KANDYのトラックメーカーに頼んだり。あとはカッコいいなって思ったビートメーカーに頼んだり、ストックから選んだり、バラバラですね。

レペゼン:
なるほど。周りに才能溢れる人がたくさんいるんでしょうね。羨ましいです。
リリックのインスピレーションはどういう時に受けるんですか?

KIKUMARU:
これもその時々ですね。
ニューヨークに行ってる時だったら、ニューヨークの風景とかは東京にはない物なので、そういう物がリリックになったりしました。あとは観た映画とか、日常的に目に見えない物だったり、見える物だったり、色んなとこからインスピレーションを受けますね。

レペゼン:
常にアンテナ張ってる感じなんですね。

KIKUMARU:
普通に遊んでるだけでもそれはインスピレーションになるし、ただ単に何もしてない日々っていうのも全てがインスピレーションになりますね。

レペゼン:
思いついたリリックはメモしたりするんですか?

KIKUMARU:
そうですね。あとは頭の中に何となく入ってて、リリック書く時にそう言えばって思い出したりする事もありますね。

レペゼン:
なるほど。

KIKUMARU:
でも基本的に曲を作る時は、まずビート聴いて、雰囲気をつかんで、最近思った事を照らし合わせたりする感じが多いですね。

レペゼン:
即興でって言うか、書こうって思った時に出てくることが多い、みたいな感じですか?

KIKUMARU:
そうですね。前回のEPでは、客演で入ってもらう人を呼んで、一緒にビートを選ぶとこから始めて、選んでからコンセプトを決めて、その場で書いて出来上がった感じです。

レペゼン:
お~!!

KIKUMARU:
ソロのアルバムだったらビートを決めて、この曲に対してはこれを書こうって決めて、一人で書いてくみたいな感じでしたね。

レペゼン:
そうだったんですね。ヤバかったというか、喰らったなーっていうコラボ相手は誰ですか?

KIKUMARU:
1番喰らったのは、AL-DOE(アルドー)っていうニューヨークのブロンクスのラッパーですね。Dave East(デイブ・イースト)とかCurren$y(カレンシー)と一緒に曲作ったことある人で。そういう人と一緒に曲を作れたっていうのが、1番衝撃的でしたね。

レペゼン:
AL-DOEさんのすごいところはどんなところですか?

KIKUMARU:
まず曲を作ろうってディールから違いましたね。しかも場所がブロンクスで、デカいスタジオだったし、黒人しかいない場所に入って作ってっていう感覚も今まで経験したことなかったですね。

レペゼン:
すごそう!!

KIKUMARU:
向こうの人の録り方も新鮮でしたね。
スタジオのブースにこもって、4小節分のリリックが書けたら録って、それを繰り返して。ちょっとずつ丁寧にやっていくみたいな感じでしたね。

レペゼン:
へぇ~!そんな感じでやるんですね。AL-DOEさんとはどうやって繋がったんですか?

KIKUMARU:
紹介ですね。
AL-DOEと曲をやりたいっていう日本人のプロデューサーがいて、最初、自分はその人と彼の通訳に入ってたんですよ。

レペゼン:
そうなんですか!

KIKUMARU:
それが終わった後に、「もし自分と曲をやるならやってくれるか?」って話をしたら、「全然やるよ!」ってなったんですよ。

レペゼン:
そんな感じで決まったんですね!

KIKUMARU:
そのプロデューサーがいたから繋がったし、そっからAL-DOEと仲良くなれたのも、ホントに繋がりですね。

レペゼン:
ヒップホップってそういう人の縁でできているところありますよね。

KIKUMARU:
そうですね。でもヒップホップだけじゃないですよ。どの仕事も人の縁が大事だと思います。

レペゼン:
その通りですね!

フリースタイルについて

レペゼン:
フリースタイルはまだやってるんですか?

KIKUMARU:
やってるって言う程やってないですね。バトルとかも出てないですし、バトルにはあんまり興味が湧かなくなっちゃって。

レペゼン:
今は曲作りに集中してるって感じですか?

KIKUMARU:
そっちの方が楽しいですね。
昔はどうすれば有名になれるかなって考えた時に、単純に「MCバトルに出て勝てば良いんじゃないか」って思って出てたんです。
しかも周りがやってなかったんで、自分がそこに出て有名になろうってノリでやってましたね。

レペゼン:
そういう経緯だったんですね。

KIKUMARU:
それに昔は、MCバトルに出て”CDとか出してる有名な人に挑みに行く”感じがあったんですよ。でも段々とそういう人も出なくなって、知らない相手に言う事もないのに、何を見せるんだと思うようになって、ちょっと飽きちゃいましたね。

レペゼン:
KIKUMARUさん強かったんですけどね…ちょっと残念なヘッズもいると思います。

KIKUMARU:
まあ、単にフリースタイルは面白いですけどね。戦って賞金や名声を得るみたいなのはもう良いかなって。

レペゼン:
なるほど。その道は通ったけど、別に行き着く先ではないって事ですね。

KIKUMARU:
元々そう思ってやってましたね。逆に自分がまだ若かった時にB-BOY PARKで初めて優勝した時に、こんなんで良いのかなって。

レペゼン:
こんなんで良いのかなって言うのは?

KIKUMARU:
当時まだCDも出してなかったし、自分で自分を認めていない段階で優勝して、周りに優勝したからコイツはすごいみたいに思われて…

レペゼン:
あーなるほど。そういう事ですね。

KIKUMARU:
それがあったんで、次のステップでは音楽に集中しようって。でもCDを出すと、ギャランティが発生することで、遊びだったものが仕事に変わって、これが自分の仕事だなって思えるようになりましたね。

レペゼン:
じゃあフリースタイルはすごく良いきっかけではあったんですね。

KIKUMARU:
それで認知してもらえるようにはなったので、そうですね。でも本当に見てもらいたいところは、あくまでライブだったり音源です。

ヒップホップシーンについて

レペゼン:
今のヒップホップやストリートシーンについてどう思いますか?

KIKUMARU:
よくも悪くも流行ってますよね。
テレビでMCバトルをやるようになって、ヒップホップの認知が広がったりとかクラブでも踊る人が増えて、良い部分もいっぱいあると思います。
ただ日本のテレビだけでヒップホップを判断するのはやっぱり違うなって思います。

レペゼン:
テレビだけの判断は良くないですよね。

KIKUMARU:
入口が広くなる分には良いと思うんですよ。それで自分たちの認知度が上がっている部分もあると思うので。
ただ、結果よりも過程が大事だと思うんですよ。その過程が良いものは良いし悪いものは悪い。

レペゼン:
「過程」ですか?

KIKUMARU:
良し悪しの基準って、「リスナー」と「作る側」とで違うと思うんですけど、「作る側」が「リスナー」に寄せて妥協しちゃうのは良くないですね。その制作の過程のことです。

レペゼン:
なるほど。

KIKUMARU:
自分たちは若い頃から先輩たちのラップを聞いてインスピレーションを受けて、それに海外のヒップホップも好きでいっぱい聞いて今の形があると思うんですよ。

レペゼン:
確かにそうですよね。

KIKUMARU:
例えばMTVの映像で、Puff Daddy(パフ・ダディ)がニューヨークのマディソンスクエアの上に乗ってラップしてて、これはヤバイだろって。「こんな事出来るんだ!」って衝撃は今の日本では見られないですね。

レペゼン:
それは確かにそうですね。

KIKUMARU:
自分の見てきたヒップホップは、そういう”Puff Daddy的な物”だったので、テレビの中は全てじゃないって言いたいですね。

レペゼン:
そうですね。基準は下げてはダメですよね。

KIKUMARU:
音楽って常に変わっていくものだと思うし、だから10年前に自分たちが聴いてた音楽と今の音楽は全然違うと思うし。”10年経っても良いって言われる本物を作る”ってことを考えると、そう思いますね。

ストリートの定義

レペゼン:
KIKUMARUさんが思うストリートの定義は何だと思いますか?

KIKUMARU:
そうですね…色々あるんですけど、「服」がかっこいいやつってストリートだなって思いますね。

レペゼン:
なるほど!!

KIKUMARU:
ヒップホップって、そういう奴多いと思うんですけど、自分は当時の50 cent(フィフティ・セント)やEMINEM(エミネム)みたいに”大きい服”から入った部分もあるんですよね。

レペゼン:
そういう人多いと思います!!

KIKUMARU:
自分たちは中学校の時から私服だったんですけど、毎日同じ服をきてる奴はフレッシュじゃないとも思ってたし。ブランドで言うとSean John(ショーン・ジョン)とかRocawear(ロカウェアー)とか大きい服を着てる奴がかっこよかったし。
あとは、「渋谷のあの店を知ってる!」とか、「ここは赤でも渡ってOKな信号」みたいな感じで、その街をどれだけ知ってるかとか、そういう奴ってストリートじゃないですか?

レペゼン:
その通りですね!!

KIKUMARU:
小さいかもしれないですけど、そういう事に対してこだわりを持てる人って、その人の周りへの影響力にも繋がってくる部分だと思うんですよ。

レペゼン:
うわーなるほど!

KIKUMARU:
あとは、家やネットじゃなくて、現場でしか感じられない物をどれだけ知ってて、通ってきたかってのが、ストリートの基準じゃないですかね?

ストリートシーンで稼ぐには

レペゼン:
では、そのストリートで稼いでいくために必要だと思う要素は何かありますか?

KIKUMARU:
KANDYのMIKI(ミキ)のアルバムに入ってる曲「Problems」のMUD(マッド)のリリックで、「間違いないのはクリーン、だけどブラックもリアル」っていう部分があるんですけど、まさにそういう事だと思います。

レペゼン:
と、言いますと??

KIKUMARU:
まずはクリーンにやる事。でも「ブラックもリアル」。この”ブラックの感覚”を知ってる事ですかね。そこが何かってのはストリートで生きてきた奴しか分からない事だと思いますけど。

レペゼン:
うおー!!その”ブラック”を理解して行動をするって事ですね。

KIKUMARU:
そうですね。
本当に刺さるバースで、その一言で何がストリートで、ストリートをどう生き抜くかってのを表してると思います。

レペゼン:
KANDYTOWNにはすごい仲間がいっぱいいますね。

KIKUMARU:
そうですね。その仲間も大事な要素ですね。

レペゼン:
良い仲間に恵まれるっていう事ですか?

KIKUMARU:
俺らの場合、仲間が”間違いない奴ら”なんで、仲間に認められたら世間にも認められるんですよ。だからリリックも世間に対して何が言いたいとかよりも、フッドを目がけて書いています。そうすると自然にいいものになるんで。

レペゼン:
その信頼と自信、KANDYTOWNの強さがにじみ出ています。

座右の銘

レペゼン:
ここまでアツい話が続いていますが、インタビューも残りわずかです!
座右の銘はありますか?

KIKUMARU:
「敵は我なり。」です。

レペゼン:
なるほど。

KIKUMARU:
人に嘘ついても、結局自分が嫌な思いをするっていうか。自分に素直じゃなきゃいけないし、結局自分が決めた事を出来ないんだったら、それ以上の物は周りからは得られないと思ってるんですよね。

レペゼン:
間違いないと思います。

KIKUMARU:
例えば、作ったアルバムが「自分の中ではベストじゃない」と思う物を出したところで、世間の評判が良くても自分では認められないし。自分が満足できる物が出来て、それが評価されてやっと自分の物になるのかなって。

レペゼン:
なるほど。まずは自分に素直であること、ですね。

KIKUMARU:
あとは「大器晩成」って言葉もよく考えますね。

レペゼン:
大器晩成。

KIKUMARU:
自分ってKANDYTOWNの中でもラップ始めたのが遅かったんですよ。でもそこからなんとかしたいと思って、MCバトルに出てB-BOY PARKで優勝して。KANDYの中では初めて世間に名が売れたのが自分だったりするんですよね。

レペゼン:
なるほど。必ずしも始めた早さだけではないですもんね。

KIKUMARU:
ですね。アルバムでも1st、2nd、3rdってリリースして、もちろん全てに、その時思ってた事や捉えた物を詰めて良い物は出来たけど、全体的に音楽として見るとやっぱり3rdが1番良いなって思うんで。前回よりも次って感じで、どんどん良くなって行ってると自分でも思います。

レペゼン:
まさに大器晩成ですね。そう考えると次はもっと楽しみになりますし、良いモチベーションになりますよね!

今後の活動

レペゼン:
今後はどういう活動をしていく予定ですか?

KIKUMARU:
まずKANDYではZeppのワンマンがあります。
個人としては去年ぐらいからなんですけど、渋谷のASIA(エイジア)でイベントをやっていて、それを引き続き盛り上げていきたいですね。
ちなみに次は8月9日(金)にKANDYの大黒柱のB.S.Cのファーストアルバムのリリースパーティーをやります。

レペゼン:
楽曲制作以外でも色々と動きがあるという事ですね。

KIKUMARU:
イベントだったり、あと地方にも周って行った事のないところにも行きたいですね。
あとはやっぱりニューヨークが好きなのでニューヨークと東京を繋ぎたいなって思ってます。どういう形にしろ。

レペゼン:
なるほど。それが音楽なのかイベントなのかって事ですね。

KIKUMARU:
結局自分の好きな事って音楽だったり、イベントだったり、服だったり色々あるんですけど、その全部やれたら良いなって思います。

レペゼン:
良いですね!
今後の活動も楽しみにしています!!
インタビューは以上です。本日はありがとうございました!

 

音楽の作り手としての品格、ストリートを生き抜く心意気、そして常に何かを仕掛けようとする向上心。KIKUMARUにはその全てがそろっている。

それを持ち合わせた上で、行動し続ける彼には、才能あるアーティストたちが自然と集まる。KANDYTOWNメンバー全員がそんな存在だとすると、彼らのこれからがますます楽しみになる。

”ブラックな感覚”。それは、人それぞれ感じ方が違うだろうが、間違いなく言えることは、”ストリートに出ないと得られない”感覚であるということ。
これを読んだあなた。まず今日からストリートに出る選択肢を取ってみて欲しい。

 

KIKUMARU Instagram:kikumaru_kandytown

日本のストリートをレペゼンしよう。

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