Interview

2018.11.15 Thu

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レペゼンインタビュー:Club Bar FAMILY店長 高山泰史 未来へのバトン

一人の男にドラマあり。一つのハコにドラマあり。クラブはこれだから面白い。

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渋谷FAMILYの店長、高山泰史。インタビューの前編で語られたのは、このハコにかけてきた彼の人生だった。
辛い時代もあったが、それでも”続けてきた”男の背中は大きく、数々のビッグネームアーティストも、彼の名をその歴史に刻んでいることは間違いない。
後編では、ヒップホップやクラブを取り巻く時代変化と未来へのバトンのつなぎ方など、現場の核心に迫った。華やかなパーティの裏に隠れた、泥臭い人間ドラマを見逃すな。

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シーンを取り巻く時代の変化

レペゼン:
高山さんは時代の変化と、クラブ、ヒップホップシーンの酸いも甘いもを体で経験してきていると思うのですが、お店が下がった時にどうやって耐え抜いたんですか?

高山さん:
本当に数字は厳しかったけど、自分たちで赤字を埋めてでも、お店を残していきたいっていうメンタリティはあった。だから実費でお酒を振舞ったりして、現場に還元していくっていう気持ちは強かったかな。

レペゼン:
以前BULLさんにインタビューした時も同じことをおっしゃってました。やっぱり、かっこいい人は”還元”ができてる気がします。
でも、そこに耐えられずに辞めていった人もたくさんいましたか?

高山さん:
いっぱいいる。良いクリエイター、良いDJが辞めたりとか、音楽との向き合い方が変わって、スローダウンしたりフェイドアウトしたり。

レペゼン:
寂しいですね。

高山さん:
お店を長く続けていくには、ある世代がガッと盛り上げたバトンを繋げていくのが大事なんだけど、その時期は次の世代を見つける事が出来なくて、うまくバトン繋げなくなってたかな。

レペゼン:
バトンを繋ぐ。ですか。簡単そうで、とても難しいですよね。

高山さん:
昔、青山の地下に「MIX」っていうクラブがあって。
当時16〜17年続いている名店で、2005年に閉まっちゃってるんだけど、そこの運営をしていた白川さんと言う方に、お店がクローズするちょっと前からとても良くしてもらっていて、お店がクローズするタイミングの時に「高山君、店を本当に続けたいんだったら若い世代を大切にしないとダメだよ」って言われて。その言葉はいまでも自分の指針になってるかな。

レペゼン:
なるほど。

高山さん:
落ち込んでた時期も、熱意を持ってやり続けていた大人たちがいたんだよね。きつい時期でも、「FAMILYだからできるんです。」って言ってくれる人もいて。今はまた新しい世代が”今までとは違うFAMILYの顔”に憧れて来てくれる若者が増えてきた。その人たちに次のバトンを渡すことが俺らの仕事だって思って、今頑張ってるかな。

レペゼン:
かっこいいです。最近は上向きとおっしゃっていましたが、どんな変化があったんですか?

高山さん:
少し上向きになってきたのかな、って思ったのはきっかけは”アナログ”なんだよね。時代が便利になりすぎているおかげで、僕たちの時代の流れを知らずに、「アナログレコードかっこいい!」って思う若者が増えてきて。

レペゼン:
アナログレコードがまた流行ってきていますもんね!

高山さん:
「メインストリームとは違う価値観を生み出したい」っていう若者が増えてきたから。そこにFAMILYはマッチできる箱なんじゃないかと。
MCバトルが数多く開催される様になったのも、ウチじゃないと出せない空気感とかに魅力を感じてくれたからじゃないかな。

レペゼン:
FAMILYはそんな環境であり続けてきたんですもんね!

高山さん:
この空間、この瞬間だから聞ける刹那的な何かに魅力を感じる人が増えてきた。っていうか、気づく人が増えてきたんだろうね。

レペゼン:
時代が追いついてくるってそういうことなんですね!本当に感動します。

FAMILYとは

レペゼン:
渋谷には他にもたくさんのクラブがある中で、FAMILYのオリジナリティというか、レペゼンするものはどんなものですか?

高山さん:
クラブの要素って、「人とお酒と音」。この三大要素にはこだわってます。音響設備やお酒もこの規模の店にしてはこだわりを持って作ってます。あとは、FAMILYらしいコミュニケーションが取れるようにスタッフに伝えていってます。

レペゼン:
FAMILYらしいコミュニケーション?

高山さん:
スタッフには、ツンケンしてる、愛想のない接客にはしないよう心がけてもらっています。
何か気がつく事があったら、こちら側から一声かけてあげらられる様な、「FAMILYらしいウェルカムを心がけようね」って言ってるのが、FAMILYらしさに繋がってるかな。

レペゼン:
なるほど。人と音楽と音。基本的だけど一番大事なことですもんね!

高山さん:
あとは、前の店長のRYOWさんのおかげで、FAMILYに”コアなHIPHOPをやっている場所”ってカラーが根付いたって言えるね。

レペゼン:
なるほど。DJ RYOWさんが根付かせたカラーも生きてるんですね。

高山さん:
ストリートとかメジャーシーンにどう影響力を出していくのかっていうテーマとは別に、例えば、MITSU THE BEATSくんとかgrooveman Spotとか、Nujabesとかの「世界と日本人クリエイターが集う店・FAMILY」としての顔もあります。

レペゼン:
日本発、世界と渡り合えるビートメイカーたち・クリエイターさんたちですね。

高山さん:
うん。2000年代中盤くらいだと思うんだけど、RYOWさんもメンバーとして参加していて、Shin-Skiって言う日本人ビートメーカー、ボストンのInsightっていうラッパーとのユニット、ShinSight Trio(シンサイト・トリオ)とかもうちの店のきっかけの一つで、当時とても話題になったりして。そんな流れもFAMILYのカラーになってるね。

レペゼン:
すごいですね。高山さんにとってRYOWさん大切な人なんですね。

高山さん:
俺の中では本当に大きい存在だね。お店に入る前からの付き合いで、20年以上一緒にいる先輩だから。
今でも「FAMILYに育ててもらった」って言ってくれるアーティストがいるし、RYOWさんがやってくれたことって本当に大きいと感じてます。
今度は自分たちがそんな存在になれる様、いろんな事を伝えていきたいと思ってます。

レペゼン:
今後のFAMILYはどうなっていくんですか?

高山さん:
今まで続けてきたFAMILYのカラーは、お店の基軸としてブレずにやる事が大前提なんだけど、最近自分で取り組んでいるパーティは、ターンテーブルとマイクだけじゃないものをコンセプトにやってることが多くて。今までのFAMILYには無かったところにも挑戦できるお店を目指してます。

レペゼン:
具体的にはどんなものですか?

高山さん:
バンドセットでのライブや、ミュージシャン、MC、シンガー、ダンサー達が集うセッションライブなども積極的に取り組んで行けたらと思っていて、そんな気持ちで挑戦しているパーティが今年の春に12周年を迎えました。
今までは、COMA-CHIのバンドセットライブとか、SWING-Oさん率いる45trio(フォーティファイブ・トリオ)、bohemianvoodoo(ボヘミアンブードゥー)など、多方面のシーンで活躍しているアーティスト達にも出演してもらってます。

レペゼン:
おーCOMA-CHIさん!以前インタビューさせて頂きました!

高山さん:
COMA-CHIはヒップホップ、R&B出身だけど、いろんなシーンのクリエーターと触れ合うことで、違う表現したい!バンドでやってみたい!って思うようになったんじゃないかな。あいつも感度高いからさ。

レペゼン:
なるほどーすごいですね!!挑戦する気持ち、まじリスペクトです!

高山さん:
単純に「もっとこの場所でいろんなことができるようになりたいな。」っていう思いでやってる。
そうすると、自然といろんな場所で活躍している人たちが乗っかってきてくれるようになってきて、最近では、タケウチカズタケさん(A Hundred BirdsやSuika、ぼくのりりっくのぼうよみバンドでのキーボーディスト)や、韻シストまわりの人たちも定期的に絡んでくれるようになったんだよね。

レペゼン:
バンドセットで絡めると、ヒップホップをより多くの人に聞いてもらうきっかけになるかもしれませんね!

高山さん:
今メインストリームの人たちがいいなって思う曲やライブにも、バンドでの作品やミュージシャンが参加している作品が沢山あるっていうのはそういう部分もあると思うし。

レペゼン:
確かに!みんな生音で羨ましいと思ってるかもしれないですね。今後もっとそういう人が増えてくるかも!

高山さん:
例えば、FAMILYに関わってくれていたアーティストだと、最近STUTSが星野源さんと一緒にやってたりしてるよね。そういうヒップホップがルーツにあるって人達がどんどん世の中に出てくると思うよ!

レペゼン:
STUTSさん!

高山さん:
STUTSは、ほんとドープでアンダーグラウンドなパーティにレギュラーに出てたりしてて。
パフォーマンスのスキルや音楽センスなんかは、当たり前だけど当時からすごく進化はしてて、でも、アプローチのベースは今もブレてないなって思う。それで星野源さんとやってるっていうのは、時代が追いついて来たと言えるし、”この時流に乗れるモノ”をあいつが磨いてきたとも言えるよね!

レペゼン:
本当にかっこいいものには追いついてくるんですね。

高山さん:
そうだね。自分を信じてやり続けられるかってすごく大事だよね。

今後のシーンへの期待

レペゼン:
次の世代に期待することはありますか?

高山さん:
同世代の横のつながりのシンパシーって絶対あるから、大事にして欲しいってことかなー。「俺らの世代が一番イケてる!」っていう思いは間違いないから。「自分たちで何かやろう!」って思ってほしいね。

レペゼン:
その思い大事ですよね!そして自分から発信するってことですね?

高山さん:
自分たちが自分たちの感覚で、自信を持って「これが面白いでしょ!」ってちゃんと言う。そういうものがちゃんと出せる人が出てくると面白い。若い子たちにはそうなってほしいと思います。

レペゼン:
本当にそうですね!表現できるツールは増えてますもんね!

高山さん:
僕たちの世代はクラブやライブスペースに来ないと自分たちをアピールすることができなかったけど、今はデジタルツールが発達したおかげで、色んなアプローチができるからね。

レペゼン:
そうですね!チャンスが転がってます!

高山さん:
うん。誰かが作ってくれた場でもチャンスはつかめるかもしれないけど、自分たちで作ったカルチャーを流行にして、チャンスを生み出すコミュニティを作って欲しい。

レペゼン:
それが本当のヒップホップですね!

最後に

レペゼン:
最後に、「座右の銘」ってありますか?

高山さん:
座右の銘か・・・考えたことなかったなあ。笑
色々思うところはあるけど「続けることが成功の秘訣」とはいつも思っているかな。

レペゼン:
22年の歴史。まさにそういうことですね。

高山さん:
いろんな状況で離れて行ってしまった人たちの気持ちを背負ってる。残れる人しか残れないからね。この環境を与えられている自分がやれることは「続けること」なのかなっていつも思ってます。

レペゼン:
なるほど。心に沁みます。

高山さん:
あとは「自分の仕事に常に真摯でいること」かな。
少なからず支持してくれてる人たちのおかげでこれだけお店が続いているから、そう言う人たちを裏切らないお店でありたい。

レペゼン:
インタビューは以上です。本当に感動するお話ばかりでした。ありがとうございました!

告知〜お店の情報〜

WEB:http://club-bar-family.com/

1996年の創業以来から、HiphopとBlackmusicを基軸としたスタンスを貫き、新進気鋭の若手アーティストからシーンの第一線で活躍する国内外のアーティストまでもがPlayする渋谷の老舗。

Open当初より、美味しいお酒、こだわりぬいた高品質な音響設備、そして、これぞ「FAMILY」と言える様な温かく開放的な雰囲気と、小箱ならではの気取らず誰もが極上の笑顔で楽しめる空気感を大切にしながら営業を続け、バンド設備も完備しているデイタイム、ラウンジスタイル中心のイブニングタイム、クラブイベント中心のナイトタイムと、様々な時間帯とシチュエーションに対応したスタイルを確立。

現在では音楽とカルチャーをこよなく愛する様々なシーンの方々から常に熱い支持を受けています。

当店でしか味わう事の出来ない独特な一体感を是非感じにいらして下さい。

 

この20年、アーティスト、ヘッズ、スタッフ、シーン、現場と真摯に向き合い続けてきた男が見据えるシーンの未来は明るい。”昔のいい時代”も知っているのに、若い世代に期待しているという包容力、彼は「俺がFAMILYに人生を捧げてきた」と言ったが、彼のような包容力のある人間がいて、シーンはようやく成り立つことを我々は忘れてはいけない。
ヒップホップ、クラブシーンをブームでは終わらせてはいけない。これから広がり続けるものとして行くためにも、我々ができることは、少しでも現場に出ることだろう。渋谷FAMILYはどんなあなたも迎え入れてくれる。

前編を読む→

 

▼高山泰史(たかやま やすふみ)
Instagram:dj.tkym
▼Club Bar FAMILY
Instagram:family_1996

Interview:ABE HONOKA
Writer:中崎史菜

 

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