2026年2月7日・8日の二日間、原宿「J’s Vendor」がニューヨークの人気ラーメン店「Kuu Ramen」と交差する。 かつて私、DJ SHUNSUKEが年に数回ニューヨークへ滞在していた頃、アメリカンフードに飽きた時の駆け込み寺はイーストビレッジの「ケンカ」や「萩」だった。当時からラーメンは日本を代表する世界的料理だったが、ことニューヨーク滞在に関しては、私はあえてラーメンという選択肢を外していた。当時の価格で一杯2000円以上という価格に見合う、納得のいく味に出会えなかったからだ。
そんな実情を知る私だからこそ、今回のコラボには驚かされた。J’s Vendorの店主であるDJ JUSTYは、私以上にニューヨークのリアルな食事情に精通している男だ。当然、現地ラーメンの難しさも熟知しているはずの彼が、なぜ今、ラーメンとのコラボを仕掛けるのか。その理由の一端を聞いて、腑に落ちた。相手は、巷にあふれるアジア系資本の「それっぽい店」ではない。日本人がゼロから現地の行列店にまで育て上げた真の実力派だという。しかも、そのオーナーシェフはDJとしてニューヨークの現場で強烈な実績を刻んできた男だというではないか。俄然興味が湧いた私は、今回のプロジェクトの経緯について、JUSTYに詳しく話を聞くことにした。

ニューヨークの数々のナイトクラブをロックした男が作るラーメン
J’s Vendorの店主、DJ JUSTYが「今回のコラボレーションの相手はマジで別格」と熱を込めて語るのが、ニューヨークの行列店「Kuu Ramen」のオーナーシェフ、DJ SMOOTHだ。
二人の出会いは2012~3年頃、インターネットラジオをきっかけに結成されたDJクルー「BKSD」まで遡る。当時からSMOOTHの活動は、同じDJの目から見ても群を抜いていたという。驚くべきはその実績で、マンハッタンの華やかなホテルでのプレイはもちろん、JAY-Zがオーナーを務める伝説のスポーツバー「40/40 CLUB」で一晩を一人で担当したり、JAY-Zの名作‟Reasonable Doubt”の20周年を記念したパーティをNYの重鎮DJ PREMIERと担当するなど、現地のカルチャーの深部にまでその名を刻んでいる。それだけではない。アジア人が一人もいないようなハードな現場でも、マイク一本で黒人の群れを煽り倒す。そんな本場のタフな現場でサバイブしてきたのがDJ SMOOTHという男だ。そんな彼が現在、ウォールストリートをはじめニューヨークで5店舗もの飲食店を成功させているというのだから、期待せずにはいられない。


文化の「逆輸入」が交差する、原宿の二日間
今回のコラボレーションの面白い点は、二人の活動がちょうど「鏡合わせ」のようになっていることだ。JUSTYはニューヨークのストリートで出会ったチキンオーバーライスの衝撃を東京へ持ち込み、SMOOTHは日本のラーメンという文化をニューヨーク流に解釈し、現地の感性にヒットさせている。この「日米の食文化の逆転現象」こそが、単なる飲食店同士のタイアップではない、ヒップホップ的なクロスオーバーの醍醐味だ。今回提供される「バターチキンラーメン」も、日本の伝統的なラーメンとは一線を画す。あえて「日本風」に寄せず、NYの最先端で評価されているエッジの効いた味をそのままドロップするという。SMOOTH本人が「現地の味を1ミリも変えずに届けたい」と、引っ越したばかりのJUSTYの新居で自らスープを現地と同じ味になるまで徹底的に仕込むという気合の入れようだ。

↑ニューヨークのKuu Ramen外観。行列が出来ている。

↑Kuu Ramenシグニチャーラーメンである「バターチキンラーメン」

↑こちらもKuu Ramenシグニチャーラーメンの「喰うチリラーメン」
これこそが「ヒップホップ」な生き方
今回の取材を通して、私が一番強く感じ、そして皆に伝えたいと思ったことがある。それは、これこそが「ヒップホップ」ということだ。もともとDJであり、音楽が繋いだ縁。DJとして現場を沸かせ、DJで食ってきた彼らが、そこで培ったコネクションやハングリー精神を武器に、もっとデカいビジネスに挑んでいる。そして、さらに上のステージで新しいことを成し遂げ、それを地元や自分たちの愛するカルチャーに還元しようとしている。私の知る限り、アメリカのヒップホップアーティスト達はそういう事を繰り返してきた。今、彼らがやろうとしている事はそれそのものである。「昔は言語化することなんてダサいと思ってたけど、この飯の背景にあるストーリーだけは伝えないともったいない」JUSTYの言葉からは、単なるビジネスではない、仲間へのリスペクトとカルチャーへの愛が溢れていた。BKSDのメンバーはそれぞれ仲は良いものの、それぞれが活躍の場所を世界中の様々なフィールドに広げた事から実は一度も全員で集まった事のないクルーだった。その「BKSD」のオリジナルメンバー6人が10数年の時を経て、原宿に集結するというのも、彼らが自分たちのルーツを大切にしている証拠だろう。

↑BKSDのメンバー。SMOOTH氏はニューヨークに居た為、日本でのツアー開催時も帰国出来ていなかった。

言語化できない「ニュアンス」を食らってほしい
2月7日・8日、原宿。 そこで提供されるのは、単なる一杯のラーメンではない。ニューヨークの冷たい風の中で勝ち上がってきた男のプライドと、原宿という現場でニューヨークの味と空気を発信し続ける男のフィルターが重なり合う、最高にクリエイティブな実験だ。
音楽で繋がった男たちが、食というフィルターを通して表現する新しい形。ニューヨークの「今」と、彼らの生き様を体験したいのなら、この二日間、原宿の現場へ足を運ばない手はないだろう。
J’s Vendor
東京都渋谷区神宮前2-19-2 J’s Vendor BLD
営業時間:
月~金曜日 / 11:00~20:00(最終オーダー:19:00)
土曜・日曜・祝日/ 11:00~18:00(最終オーダー:17:30)
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Kuu Ramen
HP:https://www.kuuramen.com
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