TKda黒ぶち × WINGZERO 【前編】|Cross Street

ヒップホップの最前線で戦ってきたラッパーとブレイクダンサーが語る「バトル論」とは?

ライター:TARO

「バトルは1度きりの、再現できないフィーチャリング作品」

TKda黒ぶち:
逆に僕はラップする時、基本真っ白っすね。

WINGZERO:
あっそうなんですか!?

TKda黒ぶち:
ですね。もう出たとこ勝負です。
フローとか歌唱法の面では、色々なパターンを自分の中で用意したいなとは思っていますけどね。基本は真っ白で挑んでます
ただ『フリースタイルダンジョン』とかTVショーの時はある程度なんですけど、何だろう、東西南北の方角を決めるだけみたいな事はしてます。

WINGZERO:
方角を決める?

TKda黒ぶち:
そのルート上で何するかまでは決めないというか。方角だけ決めてます。
で、そこからフリースタイルするみたいな。ただ普段のバトルだともうあからさま真っ白ですね。その全真っ白を楽しみます。おみくじみたいな感じですね。
大吉出る日もあれば、大凶も出ますし、フリースタイルはそこを楽しんでいる感じもあるかもしんないです。

WINGZERO:
なるほど。メディアに出る時はちょっと意識してるってことですね。

TKda黒ぶち:
そうですね。
『フリースタイルダンジョン』の3代目モンスターをやってた時は、チャレンジャーの受け手になるわけじゃないですか。敵といえどTVショー、ヒップホップラップのカルチャーとなった時は、お互い美味しい方が良い。そこでフリースタイルにしすぎちゃって噛み合わなくて変な感じになるぐらいなら、方角を定めて良いものにしたいよねっていう感じですね。もちろん基本は真っ白でやりたいってのはありますけどね。

WINGZERO:
やっぱりメディアに出る上での見せ方ってありますよね。僕もフジテレビの『新しいカギ』って番組に出演させて頂いた時はある程度やる事は決めてました。「この技見たいです」的な指定もあったんで。
自分の中でちょっと派手寄りで面白いのをチョイスしてやりましたね。

TKda黒ぶち:
バトルの場合だと、どうしたら2人の映り方が面白くなるのかなという構図みたいなところかもしれないですね。もし相手が熱量を求めるタイプとかだったら、じゃあ相手の音源とかこっちもリサーチしておいて、こういう話をしたら、相手が乗ってくるだろうみたいな。

WINGZERO:
相手に合わせて戦い方を考えるって感じですね?

TKda黒ぶち:
そうすね。もし相手がテクニカルなものを求めているなら、ちょっとフロー重視な方で行ってみようかなみたいな。そういう感じは意識してました。
結局、バトルって1度きりの、絶対再現できないフィーチャリング作品みたいなものだと思うんですよ。
なんで、時間内で2人のパフォーマンスで何が一番面白くなりそうかみたいなことはスゲー考えています。それは多分、自分が勝ちたいとかよりも重視していたかもしれないですね。

WINGZERO:
面白いですね。エンタメ、ショーとしての魅せ方ですよね。

プロフィール

  • TKda黒ぶち

    TKda黒ぶち

    春日部のダテじゃないメガネの異名を持つRapper、Timeless Edition Rec.代表。 フリースタイルダンジョン3代目モンスター。2005年からマイクを握り今日現在に至る。 2015年末に1stアルバム「LIFE IS ONE TIME,TODAY IS A GOOD DAY.」、2018年に2ndアルバム「Live in a dream!!」、2019年にはキャリア初のEP「Good Morning EP」をリリース、2020年5月には日本のHIPHOPシーンを代表するプロデューサー陣を招き3rdアルバム”Don’t Let the Dream Die”をリリース。 また、日本初のHIPHOP専門ラジオ局”WREP”にて毎週月曜20時から放送されている”Timelessチャンネル”のパーソナリティーを務める。

  • WINGZERO

    WINGZERO

    日本が世界に誇るトップ・B-Boy。ブレイクダンスチームFOUND NATION(ファウンド・ネーション) のコアメンバー。基礎力の高いフットワークに加え、コミカルかつスタイリッシュなダンススタイルはジャンルを超え多方面のダンサーに支持されている。 オランダで毎年行われているブレイクダンスの世界大会・IBEのフットワーク部門で2012年・2013年と二年連続で優勝。2016年にはFREESTYLESESSION WORLD FINALの3vs3部門にメンバーのRYO-FLOW,ISSEIと出場し、日本人CREW初優勝を成し遂げた。現在は株式会社FNMDの代表として、ダンサーのマネジメントやキャスティングを行う他、YouTubeチャンネル「FLAVAJAPAN - ブレイクダンス TV -」のプロデュースを行なっている。