レペゼン:
最近のヒップホップシーンを見ていてどう感じますか?
DJ K.DA.B:
SpotifyやApple Musicなどの定額制サービスのおかげでみんなが好きな曲を好きなだけ聴けるようになって、ヒップホップの幅も広がったし、音楽としてのヒップホップは面白くなってるなと感じます。
レペゼン:
そうですよね!!
DJ K.DA.B:
ただ、それがストリートに根付いているかというとまた別の話で。流行りのアーティストを追って流行りの格好をしたからってその人がストリートの代表だとは言えないじゃないですか。
レペゼン:
なるほど。
DJ K.DA.B:
今は、音楽としてのヒップホップとカルチャーとしてのヒップホップが少し離れている気がするんです。さっきのChance The RapperやBeyonceの話じゃないけど、コミュニティとの関わり方が大事になってくるんじゃないかな。
レペゼン:
音源だけじゃなく、そのまわりの活動や広がり方まで含めてカルチャーだと。
DJ K.DA.B:
そういうことです。
レペゼン:
そんな中で、DJ K.DA.Bさんの思うストリートの定義とは。
DJ K.DA.B:
何かが生まれる場所。音楽に限らず、女子高生の流行りとかもみんなストリートから生まれるじゃないですか。今の時代、家で何かを作って発信することもできるけど、それは想像力の範疇でしかないと思うんです。自分の世界でしかないというか。でも、ストリートなら人と人との組み合わせで無限の想像力がある。そしてそこで生まれたものが根付いていくとカルチャーになると思うし。
レペゼン:
これからの時代を担う、若いプレイヤーに期待することは?
DJ K.DA.B:
DJのスタイルとして、みんな適材適所があると思うんです。だから、若い世代には短所を直すより長所を伸ばしてほしいかな。クラシックのヒップホップを好きな奴が無理して最先端のパーティーに出る必要はないと思うし。音楽を嫌いになってほしくないから、ストレスを抱えずに好きにやってもらいたいです。
レペゼン:
ストリートで生きていくために必要なことって何でしょう。
DJ K.DA.B:
長所を伸ばすことと、最初から金目当てにならないこと。アメリカでも”Don’t chase the money.”って言うんですけど、お金ばかり追うなって。稼げないかもしれないけど、修行だと思って頑張る。そうしたら後から実績がついてくるから。自分の長所を突き詰めて継続することが大事だと思います。
レペゼン:
今後、叶えていきたい夢があれば教えてください。
DJ K.DA.B:
目先の目標としては、世界中どこに行っても仕事できるような人間になれたらいいなと。ナイトクラブのDJも大好きだけど、タイミングは違うもののどこかで世代交代は起きるべきじゃないですか。だからこそクラブDJ以外の仕事にも挑戦して、こういうやり方もあるよって若い子にも見せていけたらなと思います。
レペゼン:
自分自身のことだけでなくシーンの未来を見据えているからこその目標ですね。
DJ K.DA.B:
あとは、これは野望なのですが、さっきも話したようにコミュニティへの還元を目指したカルチャーイベントを開催したいです。日本もヒップホップカルチャーがここまで成熟したんだったら、次はそういうアクションを起こす時代なんじゃないのかなと。俺が一番やりたいのは、アメリカで言うところの「Back to School Drive」的なイベント。
レペゼン:
Back to School Drive?
DJ K.DA.B:
例えば新学期を迎える子どもたちに文房具を配ったり、バスケのコーチを呼んで練習会をしたり。DJを呼んでパーティーしてもいいし、戦争を体験した人やいじめを乗り越えた人の話を学校じゃなくて友達や親子で聞く機会があってもいい。まずは、コミュニティイベントに参加することで地域のコミュニケーションが活発になったらなあって。
レペゼン:
そういうイベントがあると、例えば学校に居場所がない子どもたちにとってもいい機会になりそうです。
DJ K.DA.B:
最近は手話のダンスチームをやってる先輩に相談してみたり、自分の中でインプットとアウトプットを繰り返して頭の中でイメージを作り上げてます。
レペゼン:
素晴らしいチャレンジだと思います。
最後に、DJ K.DA.Bさんの座右の銘を教えてください。
DJ K.DA.B:
昔からずっと変わらず、”Everyday struggle”です。Biggieの曲のタイトルなんですけど、毎日がstruggle(戦い)って。とにかくやることやらないと始まらないぞと。
レペゼン:
色々と話を聞いた後だから、とても説得力がありますね。
DJ K.DA.B:
生きていれば嫌なこともあるだろうけど、そういうこともstruggleしていかないと。ニューヨークに住んでた頃、早朝に届け物をしてくれた配達人と立ち話をしていて「朝から忙しいね」って言ったら「食わなきゃいけないから」って言われたんです。要は、みんなサバイブしていかなきゃならないんです。そんな経験も含めて”Everyday struggle”かな。
レペゼン:
なるほど……。身に沁みます。
最後に読者に向けて、何か告知はありますか?
DJ K.DA.B:
毎週木曜の18時からWREPで「WREP 6」という番組でパーソナリティをつとめています。さらにblock.fmで担当している記事やSNSで「#BsideNews」のチェックもお願いします。あとは皆さん、クラブで会いましょう!
レペゼン:
どれも楽しみにしています! 本日は、DJ K.DA.Bさんのおかげで今後の人生の参考になるような大切なメッセージがたくさん見つかりました。お話を聞かせていただきありがとうございました!
DJ K.DA.B:
ありがとうございました!
ニューヨーク仕込みのDJで国内外のヒップホップファンから愛され、クラブからメディアへと活躍の場を広げているDJ K.DA.B。どんな苦境にも負けない彼のポジティブな姿勢には、クリエイターとして、人として、見習うべきところがたくさんあった。日々変わりゆくストリートシーンの未来を見据える先輩として、DJ K.DA.Bはこれからの若い世代の鑑となっていくことだろう。
DJ K.DA.B Instagram:djkdab
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