人生逆転の兆し/ラッパー焚巻③

ラッパーとしての活躍と転落

ライター:レペゼン君

焚巻:
で、それがエスカレートしすぎて16歳ぐらいの時にパクられちゃうんですけど。

レペゼン:
そうなんですね。ドラマだらけの青春時代ですね…

焚巻:
人様に迷惑かけました…

レペゼン:
その若くてやんちゃな頃聞いてた音楽はどんなものですか?

焚巻:
ちょうど2000年ごろだったんで、EMINEMエミネム)も聞いてましたし、50centフィフティ・セント)、ICE CUBEアイス・キューブ)、Snoop Doggスヌープ・ドッグ)、Dr. DREドクター・ドレ)とかですねー

同時進行で90sも掘り出して、A Tribe Called Questア・トライブ・コールド・クエスト)も聞きましたし、ブーキャンBoot Camp Clikブート・キャンプ・クリック)、ウータンWu-Tang Clanウータン・クラン)に、Freestyle Fellowshipフリースタイル・フェローシップ)もそうですね。

レペゼン:
そんな頃から、結構掘ってたんですねー!!かっこいい!!

焚巻:
好きだったんで!でも、僕なんか全然ですよ。やっぱりDAI(ダイ)もそうですけど、DJの人達は当時も今も格好いい曲いっぱい知ってるっす。
そうやって家でレコードや先輩に貰ったテープ聞いたり、CDの和訳読んだりしてました。今みたいに定額制の音楽ツールも無かったんで、手元にある音源を何度も何度も聴いてました。

レペゼン:
なるほど。昔のそのスタイル、思い出すなぁ。そしたら、捕まって、出てきて、音楽に目覚めたんですね。

焚巻:
16歳で捕まって出てからは、ちゃんとラップ出来るようになりたいって思いが出てきて、18歳のときUMB埼玉予選で優勝しました!
本戦ではZORN君に負けちゃったんですけど。この時はJACK POT ROCKERSジャック・ポット・ロッカーズ)というクルーをメインに活動してました。

レペゼン:
なぜフリースタイルをやろうと思ったんですか??

焚巻:
フリースタイル出来るラッパーが周りに居たのがきっかけでしたね。
その頃ずっとフリースタイルばかりやってました。ちょうどUMB自体も始まったばっかりの時で、たしかカルデラビスタさんが優勝してた時ですね。

レペゼン:
埼玉予選で優勝した後、トントン拍子に上がっていく人生にならなかったんですか?

焚巻:
いや。優勝したかと思ったら、まだ”中途半端な事”をしてて、19歳ぐらいの時にもう一度警察のお世話になりました。
10代からハードな遊びをずっとやってて、当然頭もおかしかったっすね。

レペゼン:
そうなんですね!波乱万丈!どうして捕まることになるんですか?

焚巻:
周りがどんどんパクられてくんですよ。自分も芋づる式に追い込まれて…

レペゼン:
ツケが回ってきてしまったんですね…
どんな心境でしたか?

焚巻:
常に誰かが塀の中にいて、みんなが揃うことが難しくなって。嘘つきが一人でもいると仲間どうしの話もかみ合わなくなってくるんですよ。有ること無いことさんざん言われまして、辛かったすね。

ただ、法律としても町のルールとしても自分がやっちゃけない事をしたのは変わらないんで、出てきてからはただただ歯を食いしばって反省の時期でした。

友達の中には再逮捕が何度も続いて、中々出てこられない奴もいたんですけど、逆に自立して職人を始める奴、奨学金で大学に通う奴もいたんで、この頃をきっかけに、僕も自分の道を歩み始めたんだと思うっす。ラップだけはやめなかったんで、10代からマイクをつかみに行ってた池袋により一層近づけた時期でしたね。

レペゼン:
なるほど。そこから、自分の道が始まるんですね。
池袋は焚巻さんを受け入れてくれたってことですか?

焚巻:
人間っていい時って、めちゃめちゃ人がくるじゃないですか。でも落ちた時にてのひら返される、そんな時にそばにいてくれた人って、信頼が置けると思うんです。
池袋にいたのはそんな人たちばかりで。当たり前の事なんでしょうけど、自分には落ちるまで気付くことが出来なかったんですよ。

レペゼン:
ほんとその通りですよね!!でもいい仲間に出会えたんですね!

焚巻:
昔から池袋にはライブしに行ってたんですけど、音楽だけじゃなくて、池袋の人達やリアルな部分に触れる事ができました。
今いる人達には、そういう前に進むパワーを貰いました。

レペゼン:
なるほど。一人じゃなかったんですね。

焚巻:
はい。そこで初めて、人を見る目が少しですけどできた気がして。ドライな大人が大半の中で、そうじゃない人もいっぱいいて、それが今一緒に活動してるHUMANMUSIC(ヒューマン・ミュージック)の人たちですね。
RAIZENライゼン)くんだったり、みんなメチャクチャアツいっす。

レペゼン:
どん底を知ってから、そこを支えてくれた人たち。本当にアツい人たちなんでしょうね。

焚巻:
おこがましいっすけど、その人たちを見て、自分も人として格好良く生きようって思ったっすね。家族や人に迷惑かけるのは良くないことなので。
あとは、数少ない地元の友達と先輩にも感謝してます。

レペゼン:
そこから、更生したっていうか、音楽にのめり込んだんですね?

焚巻:
そこから180度変わっていきましたね。もとから喧嘩も弱かったし、お金を稼ぐ能力もなかったっす。で、自業自得で捕まって。なんも無くなったっす。でも、ラップはあった。
このラップだけでは負けたくない。だから、やってこなかった努力ってやつを味方に付けようとしたのが、ようやくなんすけど20歳超えたぐらいですね。

レペゼン:
お、ついに人生好転ですか!!!

焚巻:
僕もそう思ったんすけどねー…

…続く。

焚巻 Instagram:takumaki_mc
Interview By ABE HONOKA

場所:OASiS

 

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