レペゼン:
高山さんは時代の変化と、クラブ、ヒップホップシーンの酸いも甘いもを体で経験してきていると思うのですが、お店が下がった時にどうやって耐え抜いたんですか?
高山さん:
本当に数字は厳しかったけど、自分たちで赤字を埋めてでも、お店を残していきたいっていうメンタリティはあった。だから実費でお酒を振舞ったりして、現場に還元していくっていう気持ちは強かったかな。
レペゼン:
以前BULLさんにインタビューした時も同じことをおっしゃってました。やっぱり、かっこいい人は”還元”ができてる気がします。
でも、そこに耐えられずに辞めていった人もたくさんいましたか?
高山さん:
いっぱいいる。良いクリエイター、良いDJが辞めたりとか、音楽との向き合い方が変わって、スローダウンしたりフェイドアウトしたり。
レペゼン:
寂しいですね。
高山さん:
お店を長く続けていくには、ある世代がガッと盛り上げたバトンを繋げていくのが大事なんだけど、その時期は次の世代を見つける事が出来なくて、うまくバトン繋げなくなってたかな。
レペゼン:
バトンを繋ぐ。ですか。簡単そうで、とても難しいですよね。
高山さん:
昔、青山の地下に「MIX」っていうクラブがあって。
当時16〜17年続いている名店で、2005年に閉まっちゃってるんだけど、そこの運営をしていた白川さんと言う方に、お店がクローズするちょっと前からとても良くしてもらっていて、お店がクローズするタイミングの時に「高山君、店を本当に続けたいんだったら若い世代を大切にしないとダメだよ」って言われて。その言葉はいまでも自分の指針になってるかな。
レペゼン:
なるほど。
高山さん:
落ち込んでた時期も、熱意を持ってやり続けていた大人たちがいたんだよね。きつい時期でも、「FAMILYだからできるんです。」って言ってくれる人もいて。今はまた新しい世代が”今までとは違うFAMILYの顔”に憧れて来てくれる若者が増えてきた。その人たちに次のバトンを渡すことが俺らの仕事だって思って、今頑張ってるかな。
レペゼン:
かっこいいです。最近は上向きとおっしゃっていましたが、どんな変化があったんですか?
高山さん:
少し上向きになってきたのかな、って思ったのはきっかけは”アナログ”なんだよね。時代が便利になりすぎているおかげで、僕たちの時代の流れを知らずに、「アナログレコードかっこいい!」って思う若者が増えてきて。
レペゼン:
アナログレコードがまた流行ってきていますもんね!
高山さん:
「メインストリームとは違う価値観を生み出したい」っていう若者が増えてきたから。そこにFAMILYはマッチできる箱なんじゃないかと。
MCバトルが数多く開催される様になったのも、ウチじゃないと出せない空気感とかに魅力を感じてくれたからじゃないかな。
レペゼン:
FAMILYはそんな環境であり続けてきたんですもんね!
高山さん:
この空間、この瞬間だから聞ける刹那的な何かに魅力を感じる人が増えてきた。っていうか、気づく人が増えてきたんだろうね。
レペゼン:
時代が追いついてくるってそういうことなんですね!本当に感動します。
▼高山泰史(たかやま やすふみ)
Instagram:dj.tkym
▼Club Bar FAMILY
Instagram:family_1996
Interview:ABE HONOKA
Writer:中崎史菜
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