会員制餃子店の店主は、生粋のヒップホップDJ!「冫(NISUI)」オーナー・TOMYPが生み出すグルーヴ。

「五感で楽しませる」店づくりの極意とは!!

ライター:ほりさげ

ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人のキャリアについて全4回に渡ってインタビューしていく「あの人も実はヒップホップ」。今月のゲストは、大阪で完全会員制・の餃子店「冫(NISUI)」を営むTOMYP(トミーピー)さん。

前回の記事はこちら→一度役目を終えたものも、視点を変えて見てみると…。ヒップホップ好きのアイデアマン・井川裕介のリブランディング術

一見さんお断り!
知る人ぞ知る大阪の餃子店

レペゼン :
まずは自己紹介からお願いします。

TOMYP :
大阪市内で会員制の餃子店「冫(NISUI)」を開いているTOMYPと申します。普段、DJもさせてもらっています。かけるのは、ヒップホップ、ソウル、ジャズ、ファンクなどのレコードが中心ですね。

レペゼン :
会員制とは興味深いですが、具体的にどんなお店なんですか?

TOMYP :
お店の場所は大阪市の博労町(ばくろうちょう)といって、心斎橋エリアから少し北にのぼったあたりですね。会員制の為、一見さんお断りのスタイルを取らせてもらっていて、さらに完全予約制で営業しています。

レペゼン :
会員になって、予約をすればお店に行けるというわけですね。

TOMYP :
そうです。遠方から大阪に遊びに来た方を、既に会員になっている方が「面白いお店があるよ」と連れてきてくださったりするんですが、そうやって誰かの紹介で来られた方も、次回からは会員様としてお迎えします。お店が始まってから、少しずつご縁に恵まれて、いろんな方に来ていただいています。

レペゼン :
人づてに広まっていくスタイルですね。また、料理以外の部分にも強くこだわられているとお聞きしました。

TOMYP :
そうですね。うちは「五感で楽しんでもらう」をテーマにしています。餃子や逸品をお出しするコース料理はもちろん、使用している器や内装、そして店内で流している音楽にもこだわることで、お店を総合的に楽しんでもらうというエンタメ性の高さを追求しています。

レペゼン :
すごい!ぜひ詳しくお聞きしたいです。

古き良き「和」を感じる空間で
彩り豊かな餃子を堪能

レペゼン :
たしかに写真からも店内の洗練された雰囲気が伝わってきます。どういった空間を目指しているんですか?

TOMYP :
もともと僕が仏教美術が好きなこともあって、お店の空間を通して自分がかっこいいと思う「和」な世界観を表現したいと考えています。といっても、堅苦しいお店というわけでもないし、「ドレスコードはこう」みたいな指定も特にないので、気軽に自由に楽しんでもらえればという感じですけどね。

レペゼン :
素敵です。そして最も重要な餃子ですが、どんな内容なんでしょう?

TOMYP :
餃子は常に5種類くらいを用意しています。白ネギとニラを使った定番のものから、マッシュルームやトリュフの香りを生かした「きのこ餃子」など。あと最近の変わり種で言うと、香りを楽しんでもらう「わさび餃子」「山椒餃子」もあります。コース制なので、餃子に加えて、季節ごとの逸品料理も提供しています。

レペゼン :
めっちゃおいしそうです!そしてお皿もかっこいい……。

TOMYP :
ありがとうございます。それから「お酒と相性の良い餃子を提供したい」というのも特徴の1つですね。お酒を飲んだ後に餃子を食べてもらったり、その逆で、一通り食事を楽しんでもらった後にゆっくりお酒を飲んでもらったり。その相性の良さを追求したいですね。「酒飲みの為の餃子づくり」と言ってしまうとざっくりしすぎてますけど、そういったところですね笑

レペゼン :
最高ですね。お酒はどんな種類があるんでしょうか?

TOMYP :
もちろん定番のビールも置いていますが、お客様におすすめしているのは、希少な焼酎だったりスピリッツ系、あとは、それこそわさびや山椒をジンに漬け込んだオリジナルのお酒も用意しています。レパートリー豊かですが、基本的にはどんな餃子、どんなお酒の組み合わせでも合うように、というのが一貫したテーマですね。

さながら割烹料理!
贅沢なおもてなし

レペゼン :
お店はTOMYPさん1人で回されているんですか?

TOMYP :
そうですね。決して大きいお店ではなく、お席もカウンター6席のみなので、基本的には一人でこなしています、たまにアルバイトも入れたりしますが。

レペゼン :
なるほど!だからこそ1組ずつへの説明や気配りがきちんとできるわけですね。お店に行ったら、どんな内容で進んでいくんですか?

TOMYP :
お客様が来られたら、まずは内装、器、コースについての説明を一通りさせていただいてから、カウンターにずらっと並んでいるお酒の中から好きなものを選んでいただきます。そうやって1,2杯ほどお酒を楽しんでもらったあと、餃子や逸品を順番にお出ししていくという進め方ですね。

レペゼン :
おお、割烹とかフレンチのコース料理にも似た感じですね。そして器も相当なこだわりがあると聞いたんですが、国内のものが多いですか?

TOMYP :
はい。店作りのベースが「和」なので、食器も日本のものが多いですね。江戸~明治時代にかけての作品が多いですが、あまり時代で考えず、僕が気に入った物を揃えていくというスタンスでいます。
あとは、作風やメッセージに共感した現代作家さんの作品も使わせてもらっていますね。あとは、僕自身も古物商の免許を持っているので、お店に来られた方には、お皿や浮世絵といった古物の販売も行っています

レペゼン :
購入もできるとは面白い!お客さんはどういう方が多いんですか?

TOMYP :
やっぱりこういうお店の空気感であったり、器やアートに興味を抱いてくださるような、感度の高い方が多いですね。美術館やギャラリーが好きな方とか、純粋にお皿とか古美術が好きで来てくださる方もいらっしゃいます。

レペゼン :
あくまで会員制餃子店でありながら、古物好きにとっては、ギャラリーを訪れた感覚になるのかもしれませんね!

洗練された空間に意外と合う!?
Kodak Blackのチルなサウンド

レペゼン :
この雰囲気に合う曲がとても気になるんですが、「冫(NISUI)」に合うヒップホップを教えていただけますか?

TOMYP :
いろいろ変わっていくんですが、最近だと、Kodak Black「I Wish」ですね。

【 Kodak Black – I Wish 】

レペゼン :
おお。「和」をコンセプトとした店内でKodak Blackとは新鮮な感じもしますが、どういった部分が合うと思いますか?

TOMYP :
トラックが、ハープっぽくてチルな雰囲気で気に入ってます。というのも、少し前からスピリチュアルジャズをお店で流していたんですが、その感覚で他の音楽を聴いていると、それに似たサウンドが自分の中でヒットしやすくなっていて笑
現行のヒップホップでもハープの音とかを含んでいるのを聞くと、ついついプレイリストに追加してしまっています。

レペゼン :
ヒップホップに限らず、幅広いジャンルを聞いているんですね。

TOMYP :
ちなみにこの曲は、RayJ「One Wish」という曲のネタが使われていますね。恐らく2000年代のR&Bって、こういうハープ的なトラックが多かったと思うんですよ。

【Ray J – One Wish】

レペゼン :
おお!本当ですね。よく聴かないと気づかないです。

TOMYP :
まあ、マニアックなオタクの遊びです笑
お店では良い意味で緊張感を演出したいので、店内の凛とした雰囲気に合う音楽をセレクトしています。そういう部分は、ある意味DJと一緒ですよね。その場、その空気に合う曲をセレクトして、ある種のグルーヴを作っていくというか。

レペゼン :
間違いないですね。五感で楽しむ「冫(NISUI)」、ますます気になってきました。

料理、古物、そしてヒップホップと、幅広いジャンルに精通するTOMYPさん。次回は、そんな彼の幼少期〜学生時代を深掘りしていくよ!ヒップホップとの出会いは、隣の中学の不良グループとの喧嘩がきっかけ!?お楽しみに。

プロフィール

  • TOMYP

    TOMYP

    大阪在住のDJ/料理人。生粋のレコードディガーとして知られ、幅広いジャンルへの知識を感じさせるニッチでグルーヴィなプレイは、各方面の音好きたちを唸らせてきた。一方で、大阪市内の会員制餃子店「冫(NISUI)」店主としての顔も持ち、古美術や骨董、工芸などに見られる伝統技術と、ヒップホップ、現代アートといったフレッシュな文化が同居する店づくりで人気を博している。2024年には、古民家をリノベーションしたトンテキ専門店「TONTEKI菊花」もオープン。その鋭い感性を、より広範囲に向けて表現している。

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