自分のDJの魅力は自分自身で伝えていくのが1番手っ取り早い

クラブDJ、ソフトバンクホークスのオフィシャルDJも務めるDJ G-LAIYAのキャリアとは?

ライター:DJ SHUNSUKE

パーティーを通して人の心を強く揺さぶり続ける人達がいる。
彼らは何故、この仕事を選んだのか?
このコーナーではパーティーというカルチャーに関わり続ける演出家たちの過去から現在まで続くキャリアを紐解いていきます。
今回は福岡で活躍するDJ G-LAIYAさんにお話を伺います!

SHUNSUKE:
まずは自己紹介をお願いします。

G-LAIYA:
出身地は宮崎県日南市。高校卒業後、福岡県に移り、現在に至るまで約20年ほどになります。DJ歴は20歳の誕生日に機材を購入してからで、現在17年になります。

小学校2年の時に行った矢沢永吉のコンサートが最も古い音楽の原体験

SHUNSUKE:
記憶の中で、最も古い音楽体験、覚えている曲はなんですか?

G-LAIYA:
最も古い音楽体験は、今でも大好きな矢沢永吉のコンサートに小2の時に行ったことです。その影響もあり小学校の頃はバンドブームでもあったのでギターを弾くことにずっと憧れていました。中学生になってからはアコースティックギターで路上ライブをしたり、バンドを組んでエレキギターをかき鳴らしてました。当時はGOING STEADY (現:銀杏BOYZ)やHi-STANDARDなどに影響を受けましたね。

↑日本の現役DJ達の音楽の原体験に出てくるアーティストの1人

SHUNSUKE:
結構バンド少年だったんですね、G-LAIYA少年がブラックミュージックに出会ったのはいつ頃ですか?

G-LAIYA:
高校生になってからです。HIPHOP、R&B、REGGAEを知り、DJ、ラップ、ダンスなど様々なことに興味を持ちました。色々手を出してはみたんですが、その中でも自分に合っているものはDJだと最初からなんとなく自覚はしていました。(ダンスセンスはゼロでした笑)
今ではコントローラーが安く手に入る時代になりましたが、当時はDJセットを買い揃えるにも20万以上掛かった時代です。機材が高くて買えなかったので、やっと買えたのが20歳。それまではなかなか思うようにDJを始めることができませんでした。DJ機材を購入できたのと同時にレコードを買い漁りましたね。レコ屋やオンラインショップ、モバオクも常にチェックしてました。

↑当時、このセットで20万くらいした。ミキサーはVESTAXの05というモデルがクラブスタンダード、自宅ではこのSH1200もしくはSH1200EXを使用していたDJも多いはず。

Dr.Dreが作るシンセ交じりの図太いビートに強い衝撃を受ける

SHUNSUKE:
原体験とは別に、強い衝撃を受けた楽曲とかってありますか?

G-LAIYA:
Dr.Dreの”2001”というアルバムの曲全てですね。Dr.Dreが作るシンセ交じりの図太いビートにものすごくやられました。理屈抜きでヤバいと思わせるアルバムなのだと思います。上手く表現できないんですが、とにかくすごいアルバムだなと今でも思います。
このアルバムの影響もあってWEST COASTのHIPHOPが好きになり、DJのスタイル、ファッション、車も西よりな感じになっていきましたね。派生してSOUTHのHIPHOPも好きになり、現在のスタイルを構築していったのかなと思います。

SHUNSUKE:
数々のDJやアーティストに影響を与えた一枚と言われてますけど、なるほど。G-LAIYA君にとっても今のスタイルの原型を生むようなアルバムだったんですね。

↑超特大ヒットアルバム。一世を風靡した。

‟自分の選曲”で盛り上げたいと思った

SHUNSUKE:
DJを始めるに当たってのきっかけは何だったんでしょうか?

G-LAIYA:
“自分の選曲”で盛り上げたいと思ったのがきっかけです。クラブに行く度に、“自分だったらこれ流す”とか“こんな曲で踊ってほしい”って常に思ってました。じゃあ自分がやってやろうかと。この思考は今でも変わらないかもしれません笑

SHUNSUKE:
クラブに遊びに行くたびに、そういうちょっとフラストレーションというか“こんな曲が掛かればいいのに…”みたいな感情はあったんですか?

G-LAIYA:
なかったといえばウソですね笑
当時のクラブになかったものを、自分が求めた部分はあったのかなと。不満って言ったら何ですが、まあ、なんとなくそんな感覚に近かったのかも。もともとDJをやりたいとは思ってましたが、具体的な決定打となったのは先述した通りです。

DJを続ける理由ばかり考えてます

SHUNSUKE:
17年という長い期間キャリアを重ねられてきましたが、これまでにDJを辞めようと思ったことはありますか?

G-LAIYA:
ありません。どうにか続けてやろうと常に考えてます。もちろん、続けることの難しさは理解しています。嫌なことも散々ありましたし今でもたくさんあります笑
辞める理由を考える人多いですが、自分は続ける理由ばかり考えてますね。

SHUNSUKE:
分かります。嫌な事は今でも沢山ありますよね笑
色々としんどいこともある中で、どうして今まで続けてこられたのでしょうか?

G-LAIYA:
新しいことを何かしらやって楽しんでるからですかね。楽しさを失ったら、もういいやとなってきっと辞めてると思います。ただ、無理に新しいことをやってるのではなく、大なり小なり“あれやりたい”となったら自然に行動してる感じです。それから、辞めたくなるような環境を徹底的に排除してきたというのもあります。続ける環境を自分自身で作ることが大事かもしれませんね。

今年も、今もターニングポイントのひとつ

SHUNSUKE:
DJキャリアにおいて、ご自身にとってのターニングポイントなどあれば教えてください。

G-LAIYA:
これまでを振り返ると、常にターニングポイントな気がします。全部のタイミング、瞬間が大切だと思ってきました。もし強いて言うならば、新しい環境でDJをするとき、始めるときです。今年からプロ野球チーム、ソフトバンクホークスの試合でDJをすることになったのですが、これまでと大きく違う環境です。これからの自分自身のビジョンに新たに見据えるものが増えました。今年もターニングポイントのひとつなのだと思っています。

父親にDJをしている姿をみせる事が出来た

SHUNSUKE:
これまでのキャリアの中で、最も印象深い出来事ってなんですか?

G-LAIYA:
2年前に亡くなった父親がDJを観に来たことです。地元宮崎で開催されたバスケットの世界大会でDJをした時のことでした。さすがに親をクラブには呼べませんので、こういった場所でDJを見せることができたのは良い機会でしたし、今後の目標が増えるきっかけともなりました。これを機に、もっといろんな場所で様々な人に自分のDJプレイを聞いてもらいたい、知ってもらいたいと思うようになりましたね。

SHUNSUKE:
今ご自身が力を入れている事、話せる範囲で将来のビジョンがあれば教えてください。

G-LAIYA:
DJ活動の幅を広げていくことに力を入れています。クラブ以外でのDJ現場を増やすことはもちろん、動画配信やDJ講師といったクラブの現場以外の活動も積極的に行っています。配信では、なかなか興味を持てなかったTikTokもやっと始めました笑

SHUNSUKE:
活動の幅を広げようと思ったきっかけってあったりしますか?

G-LAIYA:
プロ野球の試合でDJをやるようになって強く感じたことですが、DJというものをもっと世間に広げていきたいと思うようになりました。世間一般的にはDJって何をしてるの?って思われがちです。その中身が認識されていないなって。世間の人たちに、DJがやっている事をしっかりと伝えたい。選曲、演出、考え抜いてその場面を作ってたりとか。クラブでのDJはこれまでと変わらず勿論大切にしていきます。これからは広い視野でどんどん自分の活動を通してDJの魅力を世間に広げていきたいです。それが将来のビジョンでもあります。

SHUNSUKE:
活動をする福岡や地元宮崎、また九州でクラブシーンに入ってくるであろう、若い人達にアドバイスがあれば一言お願いします。

G-LAIYA:
常に何か新しいことを考えやり続けることが大事だと思います。現場での活動はもちろん、SNSを駆使した活動でも良いし、できることは山ほどあるはず。そして、DJはもっとDJであるべきかなと思います。SNSなどをパッと見てDJらしい投稿が少ないDJも目立つので…例えば動画投稿などで、自分はDJらしい動画のみをアップすることにこだわってます。飯食い行きました、みたいなことばっかアップしてても自分のDJの魅力を伝えることができませんしね笑

自分のDJの魅力は自分自身で伝えていくのが1番手っ取り早いです。その伝え方を工夫していくのも課題かもしれせんね。

プロフィール

  • DJ G-LAIYA

    DJ G-LAIYA

    HIP HOPを中心とした選曲のスタイルを最も得意とする。SCRATCH、2枚使いを随所で行い、更にはSERATOの機能を駆使したユニークで大胆なPLAYで、視覚的にも魅了できるトリッキーなパフォーマンスも行う。年間200本以上のレギュラーを10年以上こなした経験値で、あらゆる客層や状況での選曲に柔軟に対応できる。 ACTIVITY HIPHOPの老舗CLUBである福岡PHASE 3にてレジデントDJを務める。CLUBのみならず、スポーツ、野外イベントなどでのDJプレイも積極的にこなす。日本プロ野球チーム、福岡ソフトバンクホークスのオフィシャルDJに2025年より就任する。YouTubeやTikTokでPLAY動画やDJ SCHOOL動画を配信し、ソーシャルメディアでも積極的に活動中。

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