ヒップホップ文化を愛する料理人、SHIN1RAWのイルすぎるサバイバル

ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人のキャリアや仕事について全4回に渡ってインタビューしていく「あの人も実はヒップホップ」。今月のゲストは東京都調布市でハンバーガー店「ILL FROGS」をオープンされている、SHIN1RAW（シンイチロウ）さん。Vol.3はトラック運転手時代のお話、そしてハンバーガー店での修行、その時代によく聴いていたラップソングについてお伺いしました。

前回の記事はこちら→ 東京調布市の絶品ハンバーガー屋「ILL FROGS」店長、筋金入りのヒップホップヘッズ、SHIN1RAWとは？

ダイニングバーからトラック運転手に転職。怒涛の10時間ぶっ続け運転も

レペゼン：
高校卒業後、鳶職をされて、その後ダイニングバーで勤務されたとのことでしたが、そこからすぐに「ILL FROGS」をオープンされたんですか？

SHIN1RAW：
いえ、実はその後、一度トラック運転手として働くんです。きっかけは結婚で。その頃はダイニングバーで働いていたのですが、当時は夜中の3時、4時まで働いているのが当たり前の生活で。妻はそれが嫌で、仕事を変えてほしいと言われまして。悩んだのですが、そんな時に友人から「トラック運転手なら給料も良い」と誘われて、運送業に転職しました。

レペゼン：
実際に仕事はどうでした？

【人気のアボガドを使ったハンバーガー】

SHIN1RAW：
正直、かなりきつかったですね。深夜や長距離運転も多くて。
例えば栃木に行って、夜8時に調布に戻り、その日の深夜12時に「今から広島へ行け」なんて言われたこともありました。広島への運転なんて片道10時間以上かかりますし。

レペゼン：
きつすぎる…
休憩はどうしてたんですか？

SHIN1RAW：
当時はほとんど取ってなかったと思います。5〜6時間ぶっ通しで運転するのは普通でしたね。ただやっぱり疲れてると眠くなるんですよね。疲れすぎて、車庫でバックしてる最中に居眠りしちゃって、同僚の車にぶつけたこともありました。

レペゼン：
改めてSHIN1RAWさんが無事で良かったです..
トラックの運転手はどれくらい続けたんですか？

SHIN1RAW：
6年ほどですね。
結局勤めていた会社が倒産して、そこでトラック運転手を辞めました。

レペゼン：
その後の生活や結婚生活はどんな感じだったんですか？

離婚を機に、自分が本当にやりたかった飲食の世界に

SHIN1RAW：
その頃にちょうど離婚したんです。結婚していた方はインドア派で、アウトドア好きな僕とは合わなくなって。で、それを機に、自分が本当にやりたいことをやろうと考えて、再び飲食業に戻ることを決意したんです。

レペゼン：
そうだったんですね。

SHIN1RAW：
で、飲食に戻るってなった時に何をやろうかなってなったら、ハンバーガーかなと。
実は鳶職をやっていた20歳ぐらいの頃からハンバーガーの食べ歩きが好きで。当時はまだグルメバーガーという概念がほとんどなかったので、「こんな美味しいハンバーガーがあるんだ」と衝撃を受けたんです。それで、自分の好きなものを仕事にしようと思い、ハンバーガー屋さんで働き始めました。

レペゼン：
そうなんですね！
最初に働いたハンバーガー店はどこですか？

SHIN1RAW：
麻布十番の『ホームワークス』です。日本で一番古いグルメバーガー店とも言われる老舗で、40年以上の歴史があるお店ですね。

レペゼン：
そこでの経験はいかがでしたか？

SHIN1RAW：
本当に基礎となることを多く学べましたね。そこで修行後に他のお店も経験したくて、駒沢と六本木にある『エーエスクラッシクスダイナー』や『sun2diner』でも働いて。全部で５年ぐらいは修行しました。

レペゼン：
建築業界、鳶職、トラック運転手、そして飲食業界を経験されて、今のお仕事に活きていることはありますか？

SHIN1RAW：
仕事全般に言えることだと思うんですけど、やっぱり整理整頓の大事さですかね。例えば鳶職も雑に物を置いたりはしないし。トラックもそうだと思うんで。どう整理して、どう効率良くやっていくかは全ての仕事に共通するところかなと思うので、そこは活きているのかなと思いますね。

トラック運転手時代や飲食店修行時代に聴いていたラップソング

レペゼン：
当時よく聴いていたラップソングはありますか？

SHIN1RAW：
トラック運転手の時は、Wu-Tang Clan（ウータン・クラン）かもしれないですね。
「Ice Cream」とか。それで眠気を飛ばしてたかも。ただ眠気が限界の時はRage Against the Machine（レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン）を聴いてました笑

【Raekwon – Ice Cream (Official HD Video) ft. Ghostface Killah, Method Man, Cappadonna】

レペゼン：
良いですね。

SHIN1RAW：
あとはやっぱりTHA BLUE HERBさんはよく聴いてましたね。

レペゼン：
耐える時期に特に支えになる曲ですよね。

SHIN1RAW：
そうですね。ダイニングバー時代も料理長がめっちゃ厳しかったので、THA BLUE HERBの楽曲は支えになったと思います。