調布のバーガー職人、SHIN1RAW氏のヒップホップ・キャリアとは?

高校卒業後は建設業界やダイニングバーを経験、90年代東京のヒップホップシーンも紹介!

ライター:TARO

ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人のキャリアや仕事について全4回に渡ってインタビューしていく「あの人も実はヒップホップ」。今月のゲストは東京都調布市でハンバーガー店「ILL FROGS」をオープンされている、SHIN1RAW(シンイチロウ)さん。Vol.2は「ILL FROGS」の店名の由来や、SHIN1RAWさんのキャリアについてお伺いしました。

前回の記事はこちら→ 東京調布市の絶品ハンバーガー屋「ILL FROGS」店長、筋金入りのヒップホップヘッズ、SHIN1RAWとは?

調布の人気ヒップホップ・バーガーショップ『ILL FROGS』。名前の由来は?



レペゼン:
東京都調布市にお店を構える人気のハンバーガー店『ILL FROGS』さんですが、店名の由来は?

SHIN1RAW:
まず「ILL」はやっぱりNas(ナズ)のファースト『Illmatic』(NY、クイーンズブリッジのスラングで “ヤバすぎる” という意味)からですよね。僕、ナズがめっちゃ好きで。好きすぎて、子供の名前「ナズ」なんですよ。

レペゼン:

えぇ!?嘘でしょ!?

SHIN1RAW:
いや、本当です笑
成功の「成」に樹木の「樹」で「成樹(ナズ)」です。

レペゼン:
ヤバすぎる笑
それが一番イルマティックです笑

SHIN1RAW:
あとは奥さんのお父さんが絵本作家でカエルをテーマにした絵本を描いてたり、単純に僕がカエルの置物が好きだったりするのもあって。あとはお客さんが“帰ってくる”という意味で縁起が良いのもあって、カエルを使ってみようかなというので、『ILL FROGS』にしましたね。

ハンバーガー店を開業する前は、建築業界でガテン系の厳しい洗礼

レペゼン:
『ILL FROGS』をオープンされる前は様々な職業を経験されてきたと伺っているのですが、まず高校卒業後はどういった仕事をされていたのですか?

SHIN1RAW:
最初は施工管理の会社で働いたのですが、仕事がきつかったので、1年で辞めました。その後知り合いの鳶職の会社さんから、「うちは給料良いから、働いてみない?」と誘われて。それで鳶職として働き始めたんです。

レペゼン:
そうなんですね!
その当時の鳶職のお仕事ってどんな感じだったんですか?

SHIN1RAW:
かなりきつかったですね。今では考えられないことがたくさんありました笑
今って鳶職は必ず安全帯(落下防止用のロープ)をつけることが義務付けられてるんですが、昔の鳶の現場って、安全帯をつけなかったんですよ。
なので5階、6階の高さで手すりもない骨組みの上を、安全帯をつけずに走り回って材料を運んでました。

レペゼン:
えーー!!
めちゃくちゃ危ないじゃないですか!!

SHIN1RAW:
今考えたら本当に危ないです笑
あと作業準備中に眠くて、うとうとしてると、突然ラチェットっていう工具で頭を叩かれたりとか笑
そんな時代でした笑

美味しいものを作って、お客さんが喜んでくれる飲食業の楽しさ


【ILL FROGSのサイドメニュー】

レペゼン:
鳶職は何年ぐらい続けられたのですか?

SHIN1RAW:
5年ほど続けましたね。ただやっぱりかなりハードな仕事だったので、仕事を続けるべきかは迷ってて。そんな時期に次のキャリアとしてやってみようかなと思ったのが、飲食業だったんです。高校生の時にファミレスでもアルバイトをしていたので、元々飲食業は好きで。その当時よく通っていた調布のダイニングバーがあったのですが、そこにお願いして、働き始めましたね。

【ダイニングバー時代のSHIN1RAWさん】

レペゼン:
実際働いてみていかがでしたか?

SHIN1RAW:
すごく楽しかったです。調理はもちろんですが、やっぱりお客さんとの関わりが楽しかったんですよね。自分が作ったもので、お客さんが喜んでくれるととてもやりがいを感じました。

レペゼン:
確かに。音楽と同じで、飲食って人と人をつなげる部分がありますしね。

SHIN1RAW:
そうなんです。その時に感じた「楽しさ」が、今の「ILL FROGS」にも繋がってるなと思いますね。

イベント情報はフライヤーから。90年代東京カルチャーシーン

レペゼン:
その当時よく聴いてきた曲やパワーをもらった曲はありますか?

SHIN1RAW:
KRS-Oneはよく聴いていたかもしれないです。声質と歌い方でテンションが上がる曲が多かったので。あと特に当時はNasがすごかったので、めっちゃ聴いてましたね。あとファッション的にも東海岸がかっこいいなと思って、よく聴いてたのを覚えてますね。

【 KRS-One – Step into a World (Rapture’s Delight) 】

レペゼン:
良いですね。音楽やイベントの情報ってどこで得てたんですか?

SHIN1RAW:
クラブに行って曲を学ぶのと、あとはフライヤーですね。フライヤーを手に入れて情報を得てました。昔は洋服屋さんに行ったらフライヤーがたくさん置いてあったんで、それをガサっと持って帰ってましたね。

レペゼン:
昔はフライヤーが情報源でしたもんね。

SHIN1RAW:
そうそう。池袋のBEDとか、青山蜂(Aoyama HACHI)とか、渋谷のfamilyとか。あとHARLEMも出来始めた頃で。そのあたりはよく行ってましたね。

レペゼン:
間違いないですね。

SHIN1RAW:
日本語ラップもその頃めっちゃ聴いてて。ZEEBRAさんやTWIGYさん、UZIさんなど多くのラッパーさんが参加されて『続・悪名』というアルバムを出されていたのですが、それはヴァイナルで買ってよく聴いてました。

SHIN1RAW:
特にアンダーグラウンドな感じの音に惹かれてましたね。雷家族さんは特に聴いてたかもしれません。クラブチッタでのライブも観に行きましたね。やっぱりあの時代の熱気と空気感は忘れられないですね。

プロフィール

  • SHIN1RAW(シンイチロウ)

    SHIN1RAW(シンイチロウ)

    東京都調布市のハンバーガー・ショップ「ILL FROGS」店主。中学時代、NBAのVHSテープをきっかけにラップ・ミュージックやブラック・カルチャーと出会い、ヒップホップ、ストリートカルチャーの虜に。高校卒業後、建築業界で施工管理や鳶職としての勤務後、地元・調布のダイニングバーで働いたことをきっかけに飲食業の楽しさに目覚める。その後一旦、トラック運転手へ転職するも、飲食業に復帰。数々の店舗で修行後、地元である調布市にグルメバーガーショップ「ILL FROGS」をオープンする。90年代ヒップホップバイブス満載の店内と幅広い年代に愛される優しい味つけのハンバーガーで地元で人気のお店になっている。

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