目 次
ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人のキャリアや仕事について全4回に渡ってインタビューしていく「あの人も実はヒップホップ」。今月のゲストは東京都調布市でハンバーガー店「ILL FROGS」をオープンされている、SHIN1RAW(シンイチロウ)さん。Vol.1の今回は「ILL FROGS」について、そして青年時代のお話についてお伺いしました。
前回の記事はこちら→ パリパラリンピック・金メダルの快挙!ヒップホップ好き車いすラグビー選手、若山英史とは?
東京調布市の絶品ハンバーガー屋「ILL FROGS」店長、筋金入りのヒップホップヘッズ、SHIN1RAWとは?
レペゼン:
自己紹介をお願いします。
SHIN1RAW:
東京都調布市で、ハンバーガー店「ILL FROGS(イル フロッグス)」をオープンしています、SHIN1RAW(シンイチロウ)と言います。48歳です。出身は埼玉県で、何度か引っ越しをして、中学校の頃に調布市に引っ越してきました。それからずっと調布に住んでいます。もう33、34年になりますね。
レペゼン:
ありがとうございます。ヒップホップ好きのハンバーガー屋さんということで、取材させていただくのを楽しみにしておりました。まずお店について教えてください。
SHIN1RAW:
「ILL FROGS」のハンバーガーは、手作りにこだわっています。パテはもちろん、ケチャップやマスタード以外のソースやマヨネーズも全て手作りです。パテに関しては、ブロック肉からハンドチョップで作っていますので、そこはこだわりを持っていますね。他店には負けないように、常に品質を追求しています。
レペゼン:
お客さんはどういった方が多いのでしょうか?
SHIN1RAW:
調布という場所柄、年齢層が幅広く、10代の方から80代ぐらいの方まで来店されます。なので、味付けは少し抑えめにしていて。ジャンクフードではありますが、手作りで体に優しい味付けを心がけていますね。
レペゼン:
めっちゃ良いですね。
お店の定番メニューや人気メニューについて教えていただけますか?
SHIN1RAW:
やっぱり一番人気はオーソドックスなアボカドチーズバーガー、ベーコンチーズバーガーあたりですね。
こちらも手作りのベーコンを使っていて、よく出ます。それから、冬はガーリックホワイトソースバーガーも人気があります。自家製のベシャメルソースをバーガーにかけたものですね。
レペゼン:
聞いてるだけでお腹が空いてきます…。
トライブ、ウータン、パルプ・フィクション…90年代カルチャー愛満載の店内!
レペゼン:
お店の中にもヒップホップアイテムが盛りだくさんでめちゃくちゃテンションが上がります。
SHIN1RAW:
ありがとうございます。僕は90年代のヒップホップやストリートカルチャーが大好きで。その頃がちょうど青春時代だったんですよね。あの時期って今のヒップホップやストリートカルチャーにとって基盤となる時期で。
レペゼン:
黄金期ですよね。
SHIN1RAW:
そうなんです。僕は運よく、その時代に青春時代を過ごせて。だから、今の若い世代にもその時代に触れてほしいなと思って、20代の頃の自分の部屋をイメージしてお店を作っています。
レペゼン:
最高です。僕も欲しくなるようなコレクションがたくさんあるんですが、特にこれは!という希少なものってありますか?
SHIN1RAW:
希少かどうかは分からないですが、A TRIBE CALLED QUEST の『THE LOW END THEORY』はやっぱり当時よく聴いていたので思い入れがありますね。
レペゼン:
良いですね。VHSのビデオテープもたくさんありますね。『Pulp Fiction』のVHSとか、もう今ではほとんど見かけないです。
SHIN1RAW:
『White Men Can’t Jump』とかもお気に入りです。手放したものもたくさんありますが、このお店に飾ってあるものはわりと大事にしているものですね。今はサブスクで音楽を聴いたり、動画を観ることが当たり前の時代ですが、この時代だからこそヴァイナルやビデオテープを懐かしいと思ってくれる人もいるのかなと。
あと若い人たちはフィジカルの製品に触れたことがない人も多いと思うので、逆に手に取って触れられるものの良さを感じてくれたら良いなと思ってます。
おとなしいバスケ少年がハマったヒップホップカルチャー
レペゼン:
学生時代はどんな感じだったんですか?
SHIN1RAW:
小学校の頃は割とおとなしかったと思います。中学生からバスケをやってて。
当時はもうマイケル・ジョーダンが全盛期で。よく衛星放送でNBA、シカゴ・ブルズの試合を観てました。番組アシスタント的な感じで藤原紀香さんが出てたのを覚えてます笑
レペゼン:
えー!!めっちゃおもしろいですね。
SHIN1RAW:
それでNBAからまず黒人の方のファッションにも興味を持ち始めたんです。当時周りでは吉田栄作さんがすごく人気で、サラサラ黒髪のセンター分けが流行ってたのですが、僕は天然パーマだったので、そのスタイルにもマッチできず笑
それもあってどんどんヒップホップやストリートカルチャーが好きになって。バスケやって、スケボーをやってっていう学生時代でしたね。
レペゼン:
良いですね!
音楽はどんな感じで触れていったんですか?
SHIN1RAW:
当時、NBAのプレーをまとめたVHSがよく売ってたんですよ。そのビデオのサントラで入ってたのが、Heavy D と The Notorious B.I.G. のコラボ曲の「Jam Session 」って曲で。そのあたりでどんどんラップミュージックにも触れていった感じです。
【 Heavy D & The Notorious B.I.G. – Jam Session 】
レペゼン:
良いですね。特に衝撃を受けた曲はありますか?
SHIN1RAW:
一番衝撃を受けたのはN.W.A.かもしれないです。ファーストの「Straight Outta Compton」を最初に友達から借りて、ハマって。そこからだんだんと西海岸のヒップホップにのめり込んでいきました。
【 N.W.A. – Straight Outta Compton 】
レペゼン:
リリックとかもディグっていたんですか?
SHIN1RAW:
そうですね。当時、CDは輸入盤と国内版があって。国内版は輸入版より値段が高かったんですが、国内版には歌詞の対訳がついてたんで、国内版を買って対訳をよく読んでましたね。それでN.W.A.の暴力的だけど、政治的なリリックに衝撃を受けたんです。僕自身、幼少期はあまり強い性格ではなかったので、彼らのリリックからパワーをもらえたことをよく覚えてますね。
プロフィール
-
東京都調布市のハンバーガー・ショップ「ILL FROGS」店主。中学時代、NBAのVHSテープをきっかけにラップ・ミュージックやブラック・カルチャーと出会い、ヒップホップ、ストリートカルチャーの虜に。高校卒業後、建築業界で施工管理や鳶職としての勤務後、地元・調布のダイニングバーで働いたことをきっかけに飲食業の楽しさに目覚める。その後一旦、トラック運転手へ転職するも、飲食業に復帰。数々の店舗で修行後、地元である調布市にグルメバーガーショップ「ILL FROGS」をオープンする。90年代ヒップホップバイブス満載の店内と幅広い年代に愛される優しい味つけのハンバーガーで地元で人気のお店になっている。