ヒップホップ好きパラスポーツ社長、田中時宗とは?

パラスポーツのイベントにラップやDJを取り入れる会社センターポール

ライター:TARO

ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人のキャリアや仕事について全4回に渡ってインタビューしていく「あの人も実はヒップホップ」。今月のゲストは障がいのある方が行うスポーツ、パラスポーツの支援事業を手がける会社、センターポールの代表、田中時宗(たなか・ときのり)さんにお話をお伺いしました。Vol.1では車いすバスケットボールを中心にさまざまなパラスポーツ事業に携わる田中さんのヒップホップマインドとパラスポーツへの思いをお話し頂きました。

前回の記事はこちら→ ニューヨークで生きるB-Boy料理人、河野睦のヒップホップ・キャリアとは?

ヒップホップ好きのパラスポーツ社長、田中時宗とは?

レペゼン:
自己紹介をお願いします。

田中時宗:
センターポールという会社で代表を務めている田中時宗(たなか・ときのり)と申します。
会社ではパラスポーツの普及活動などを中心に行っています。ヒップホップも好きで日本語ラップを中心に昔からよく聴いていますね。

レペゼン:
ありがとうございます。ヒップホップ好きなパラスポーツ社長ということでインタビューさせて頂くのを楽しみにしておりました。まずは経営されている会社、センターポールの事業内容を詳しく教えてください。

田中時宗:
まず会社で行っている事業は大きく分けて3つあります。一つ目はパラリンピック選手と一緒にパラスポーツの普及を行う活動、イベントの実施、そして選手のマネジメントです。

田中時宗:
二つ目は放課後等デイサービスといって、発達障害だったり、知的の障害がある小学校から高校生までの児童を日中に受け入れたり、運動支援を行う場所を世田谷区で運営しています。三つ目がブラジリアン柔術の道場の運営ですね。これも世田谷で行っています。
基本的には一般会員さんへの格闘技スタジオとして運営しているのですが、空き時間には、知的の発達障害がある子供達への格闘技の要素も入れた訓練を行ったり、体を動かせる場所として提供しています。

レペゼン:
パラスポーツというものを中心にさまざまな展開をされているのですね。
特に今年は、パラリンピックイヤー(8月28日から開催)ということで、パラスポーツに関してお伺いしたいのですが、田中さんの仕事としてはどのようなことをされているのでしょうか?

田中時宗:
私が行っているのは、主にパラスポーツ選手とパラスポーツを活用したダイバーシティインクルージョンの取り組みです。具体的には、小学校から大学までの教育機関でパラスポーツ体験を通じた共生社会推進授業や企業でのぱらスポーツを取り入れた企業研修、それとパラスポーツイベントの運営ですね。学校や企業の担当者にお話しに行って、講演会や研修で、パラスポーツ選手が自分の経験を話す機会を取り入れてもらう、そして、そこで話す選手に対して人前で話せるようになるためのスピーカートレーニングも行っています。あとは毎週、車椅子の子供達を対象にした車椅子のスポーツクラスがあるので、そこで指導をしていますね。

レペゼン:
パラスポーツ選手のマネジメント、そして普及活動ということですね。

田中時宗:
そうですね。パラスポーツ選手の多くは競技活動以外の部分でお金を得るとか、仕事を得ることがまだ少ない状況にあります。単純にメジャースポーツと比べて成熟していないので、企業などと関わる機会がすごく少ない。なので僕たちのような会社が学校や行政、そして企業さんに「パラスポーツを使ったチームビルディングの研修をやりませんか?」「学校の授業の中でパラスポーツ体験しながら選手の声を聞いてみませんか?」といった案内をして、価値を届けることができるように動いて、お仕事を頂いているという感じです。

レペゼン:
パラスポーツ、そして社会的にもすごく価値のあることですね。
実際、センターポールに所属されているパラスポーツ選手の中からも、パリのパラリンピックに出場される方はいらっしゃるんですか?

田中時宗:
先日発表があって、うちから4人が関係選手になりました。車いすバスケットボール、車いすラグビー、パラ陸上槍投げの選手ですね。

レペゼン:
素晴らしい!
応援しております!

パラスポーツのイベントとヒップホップカルチャーの融合

レペゼン:
ヒップホップについてもお伺いしたいんですけれども、普段からヒップホップはよく聴かれるんですか?

田中時宗:
聴きますね。ネガティブなものをポジティブに変換するという要素が、僕の仕事と通じるところがあるなと感じてます。

レペゼン:
センターポール主催のパラスポーツのイベントでもヒップホップの要素を取り入れているという記事も拝見したのですが。

田中時宗:
そうですね。年間4回程度、全国各地で車いすバスケットボールのスリーxスリーの大会をやっていて、そこで現地のDJさん、ラッパーさんをゲストでお呼びして、ライブショーケースや試合中のDJプレーをお願いしています。

レペゼン:
めっちゃ良いですね。

田中時宗:
パラスポーツの業界ってまだまだすごく小さいんですよ。なので別のジャンルからも興味関心を持ってもらえるように活動をしていかないと、やっぱり知ってる人が限られてしまうし、限定されたコミュニティになってしまう。僕たちのイベントではいつも音楽を取り入れてますね。

レペゼン:
すごく良いなと思います。やはりヒップホップや音楽などの要素があると、パラスポーツにもより馴染みやすいと思いますし。田中さんはお仕事中にもヒップホップはよく聴かれるんですか?

パラスポーツ社長が仕事中に聴くヒップホップ

田中時宗:
聴きますね。ヒップホップ、ソウルとか結構オールジャンルで聴くんですけど、日本語ラップが多いかもです。

レペゼン:
仕事中に聴くヒップホップを一曲選ぶとすると?

田中時宗:
気分によって違うので、難しいですが、一曲選ぶとすると地元である北海道の先輩がやっている JOKEMICっていう2MCのグループですかね。JOKEMICの曲はすごく好きで、いつも聴けるなって感じです。お坊さんと農家のラッパーで、ありがたい言葉が結構入ってるところも好きですね。

レペゼン:
好きな曲やリリックはありますか?

田中時宗:
「maoii / JOKEMIC (prod.Shizuka Kanata)」ですね。

田中時宗:
特に好きなリリックは

生きるためにその水を欲しがる
夕暮れから闇になるワンループ

日々流れる時間の中で過ごしているんですけれども、このリリックを聴くと、自分はその中の時間の流れの一つで、何をやらなきゃいけないのかなっていうのを俯瞰で感じて戻れるというか。すっと入っていけるような曲なので、結構好きですね。

 

パラスポーツとヒップホップの融合という新しい取り組みをされている田中さん。次回は学生時代から就職、起業のお話、そして起業後の苦しい時期に勇気をもらったラップソングについて聞いていくよ!お楽しみに!

プロフィール

  • 田中時宗(たなか・ときのり)

    田中時宗(たなか・ときのり)

    一般社団法人センターポール代表。パラリンピックアスリートのマネジメントや、就労支援事業所の運営を行う。学生時代はアルペンスキーの選手として活躍。大学卒業後、一般起業に就職するも、「スポーツに関連する仕事をしたい」という思いから株式会社センターポールを設立。マイナー競技のアスリートをサポートするために、企業とのマッチングサービスを始める。そんな中で車いすバスケットボールのことを知り、パラスポーツの普及活動にフォーカスした事業を開始。現在は全国の学校や企業に対して、パラスポーツの研修、体験事業を行う他、障害のある児童への運動支援など多岐に渡る活動を行っている。

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