Interview

2019.2.7 Thu

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レペゼンインタビュー:Y’s ストリートのクオリティコントロール

ジャパニーズヒップホップ界の”昭和の残党”。今も昔も変わらない大切なものとは。

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ラップもファッションも釣りも、自身の人生で好きなものを貫いてきたY’s。しかし、好きなことをやるにはそれなりのリスクがあったし、彼のファンキーな人柄の奥には好きなことをやり続ける責任と”覚悟”が”確実”に存在していた。
後編はそんな彼が貫いてきた”ストリート”や”ヒップホップ”への思いをより具体的に聞いた。「ストリートのルール」や「メイクマネーするための秘訣」さらにはアメリカのヒップホップシーンと日本のシーンの違いなど、ストレートに、真面目に語ってもらった。

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ファッションについて

レペゼン:
自分の洋服のこだわり、ファッションのこだわりありますか?

Y‘s:
ガキの頃みたいに「あーでもないこーでもない」ってのは特にないですね。今はスペックが高いのが好き。どうせ高いお金を払うんだったら、「あったかい」とか「軽い」とかいうスペックにお金を出すようになったかも。

レペゼン:
なるほど。

Y‘s:
なんだかわかんない革ジャンに20万出すようなことはしなくなったね。もうおじさんだからさ。冬は寒いし。

レペゼン:
昔は違ったんですか?

Y‘s:
カッコつけたくて、身の丈に合ってないものバンバン買ってましたね。それで借金地獄になったわけなんだけど。当時18歳くらいでマルイのクレジットカード作れちゃったから、リボ地獄になってしまって。

レペゼン:
カードってお金の感覚なくなりますもんね…

Y‘s:
最終的に250万くらいは借りたんじゃないかな。金もないし、その時は職人仕事をしてたから、金銭的にも体力的にも大変だったな。

レペゼン:
なるほど…そこまでして服買ってたんですね…
好きなファッションブランドは何でしょうか?

Y‘s:
うーん、結局ずっと好きなのはTHE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)かも。俺が18歳で借金しまくった理由も、NORTH FACEだもん。ヒマラヤとか当時6~7万くらいしたかな。

レペゼン:
THE NORTH FACEはいつでもかっこいいですよね!

Y‘s:
結局そうでしょ。
バルトロライトジャケットも新色が出れば全部買う、みたいなアホな買い方してました。ミッチェルとか高いのが欲しいんだよね、ムカつくことに。ノーブランドでいくらでも安く仕上げられるけど、「嫌だ。12万のPELLE PELLE(ペレペレ)のレザーが欲しい!」っていう。

レペゼン:
こだわりですね~。じゃあ、女の子のファッションで好きなのはどんな感じですか?

Y‘s:
 “女の子してる感じ”が好きかも。付き合う女の子もそんな感じかな。

レペゼン:
女の子してる感じ!笑
逆にダサいと思うものは?

Y‘s:
そんなこと言い始めたら、世間の9割ダサいでしょ。笑

レペゼン:
さすがっす。レベルが違う。笑

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楽曲制作について

レペゼン:
これまで音楽やってきて、一緒に曲やってよかったって言う人はいますか?

Y‘s:
よかったというか、すごかったのはやっぱりKOHH(コー)だよ。早くてクオリティが超高い。あとはJINMENUSAGI(ジンメンウサギ)もすごいな。その2人と一緒にやって、曲には「瞬発力のかっこよさ」があるなって思いました。

レペゼン:
仲のいいラッパーはいますか?

Y‘s:
今挙げた2人じゃないかな。

レペゼン:
友達もイケてます…!

ストリートシーンについて

レペゼン:
Y‘sさんの10代~20代と比べて、今のストリートシーンをどう思いますか?

Y‘s:
「健全な遊びだな」って感じがする。俺がヒップホップを好きだった1つの理由が「ちょっと危なっかしいところ」。普通の人じゃ近寄れない、色眼鏡で見られるくらいが好きだっんだよね。

レペゼン:
なるほど。

Y‘s:
ヒップホップの世界に入ってみたら、漫画の中にいるような濃い人たちが、好きなことに没頭してやってる。そのギャップがかっこよくて。喧嘩とかも、クラブで日常茶飯事だからピリッとしてたし。それが怖いけど、かっこよかったんですよね~。

レペゼン:
そう考えると、今は平和なんですね。

Y‘s:
いいのか悪いのかはわからないけど、当時は「ストリートのルール」があったし、そこを経ていける奴がイケてるラッパーって認識だったと思うよ。「立ち居振る舞い」とか、「乗りこなし方」がちゃんとしてる奴が売れてくっていう感覚が俺らの中にはあるから。スキル以外のところの評価対象があったんだよね。

レペゼン:
現在のシーンをどう見えていますか?

Y‘s:
今は「いい子ちゃんたちだな」っていう感覚ですね。かつてのルールがなくなることはいいことか悪いことかはわからない。俺らもかつての怖い経験が嫌だったから、厳しくはしないし。

レペゼン:
なるほど。かつてのシーンと、どこが一番違いますかね?

Y‘s:
後ろ姿でB-BOY感を感じる人が少なくなったように感じますね。苦さとか、辛さを経てきたな、っていうのが感じづらくなってきたなあ。見た目なのか、時代なのかはわからないし、きっとその子達にも経てるものがあるはずだけどね。無理してでも成り上がってやろうっていう気負いがある奴があんまり見ないかな。

レペゼン:
後ろ姿、ですか。

Y‘s:
「有名な子達だよ」って紹介されて会っても、ガツガツくることはないね。
当時って、バーカウンター前って戦場じゃん?俺らの時は関係者とか先輩見つけたら「飲みましょう!乾杯してください!」って、その戦場に向かっていってましたね。それで、「Y‘s?誰だよ、知らねーよ」って言われたこともあるし、雑誌とかで取り上げられれば取り上げられるほどヘイトされたし。

レペゼン:
確かに、バーカン前ってそんなイメージでした。素人にはちょっと怖いぐらい。

Y‘s:
それでも向かっていったから今があると思ってます。のし上がってやろうって行動で感じることが減ったなあ。

レペゼン:
随分、時代が変わってきたんでしょうか。

Y‘s:
俺らの時代が「時代の狭間」で、昭和の残党みたいなのばっかだったから。その狭間を生きている俺としては今のシーンは少し寂しいよね。

レペゼン:
若い世代でもその「ストリート」ができてる人はいますか?

Y‘s:
YANO(ヤノ)、YZEER(ワイザー)とかBAD HOP(バッド・ホップ)のやつらはどしっとしてる。振る舞い方はわかってるのかな、って感じ。それ以外は若い子たち見ても目立たないですね。

レペゼン:
目立たないんですね。

Y‘s:
俺はどう目立つか、ばっかり考えてたからさ。視覚で食らう人はいないかな。会って話すと違うのかもしれないけど、最初は視覚だから、それって大事じゃん。

ヒップホップで飯を食うとは

レペゼン:
これからシーンはどんな風になっていくと思いますか?

Y‘s:
フリースタイルバトルのブームはこれまでも何回もあるからね。ブームが下火になって、ライブや音源の時代が来ての繰り返しかな、と思ってます。今は、バトルは一時期ほど盛り上がってなくて、若いラッパーが音源出してバズってる状態だから、そのサイクルの途中かな。だんだんとそのサイクルの規模はでかくなっているけどね。

レペゼン:
若い人たちに向けて、このシーンで稼いでいくためのアドバイスはありますか?

Y‘s:
音楽だけって思わなければいいと思う。「音楽ででかい金稼ぎたい」はひとつの夢だと思うけど、今の日本だとそれはフィットしないね。アメリカだったら、それで億万長者になれるけど、どちらかというと、仕事をしながらでもいいから、続けることの方が大事なんじゃないかな。

レペゼン:
「続けること」ですね。

Y‘s:
続ければ、誰にでもワンチャンあるからさ。今、残ってるやつらってラップがうまかった奴らじゃなくて、意地でもやめなかった奴らなんだよ。

レペゼン:
なるほど。

Y‘s:
頭がいいのかハートが弱いのかわからないけど、うまい奴も、スター性ある奴も「音楽じゃ稼げない」と思ってやめるんだよね。でも35歳で当たるか40歳で当たるかなんてわからないじゃん。
しっかり働きながら音楽やってれば、極論売れなくてもいいんだからさ、それくらいの気持ちでやったらいいと思う。

レペゼン:
続けることって難しいけど、大事ですね。

Y‘s:
日本にはそれがフィットすると思う。音楽で金稼げるのって、いつかわからないから。逆に若くして稼げても、それがいつまで続くかわからないから、売れた名前を使って違う商売やったらいいと思うよ。日本にはそこから派生するビジネスが少なすぎる。だからアメリカに比べて遅れてると思ってます。

レペゼン:
確かに、日本は職人気質っていうか、プロはとことん追求しないといけない、みたいな風潮があるかもしれないですね。他のことに手を出すと否定されたりとか。

Y‘s:
アメリカには音楽やりながら、スムージー屋とか服のブランドやったりしてる奴らいるでしょ?みんなから見てもらえる時に、いろんなことを仕掛けていくわけじゃん。そうすればもっともっとお金が稼げるわけで。音楽だけで稼げてる若い子たちがいるのであれば、それを遊びに使うだけじゃなくて、自分の将来役立つ学びに使ったらいいと思います。

クオリティコントロール

レペゼン:
今後日本のヒップホップシーンに望むことはありますか?

Y‘s:
ちゃんと中身が評価対象になって、音源で評価されるようになってほしいです。そうじゃないと、クオリティコントロールができないから。クソダサいものも、クソハードなものも、ヒップホップという同じジャンルとして扱われるのは仕方ないんですけど。

レペゼン:
クオリティコントロールというのは・・・?

Y‘s:
ちゃんとした人たちが音楽シーンにいないと、クオリティがしょぼくならない?アメリカってクオリティコントロールができていて、売れるものってちゃんとかっこよくて、しっかりしてるじゃん。日本はそれがされてないから、クオリティが担保されてなくても売れちゃってる。どこのレーベルだとか、バックに大きな事務所があるから評価されるんじゃなくて、ちゃんとかっこいい人たちが評価されて欲しいなって思います。

レペゼン:
アメリカみたいになるといいですね。

Y‘s:
それが正解だと思うよ。「日本には日本のヒップホップがある」っていう人がいるけど、正直、俺よくわかんない。リスナーが「日本のヒップホップが好き」って言うのはいいけど、プレイヤーが「日本は日本の」っていい出したら、可能性をすごく狭めてることになると思います。

レペゼン:
確かにそうですね。

Y‘s:
サッカー好きだったら、ヨーロッパのサッカー観るじゃん。野球好きだったら、メジャーリーグ観るっしょ?バスケ本気でやるならNBA行きたいっす、っていうのが普通でしょ?海外の人が「これが俺らの演歌」って言ってたら、日本人からすると意味がわかんないでしょ?それと一緒。

レペゼン:
その例え、すごい納得できます!!

Y‘s:
だからこそ、世界で何が起きてるかはチェックした方がいいし、そういう音楽シーンになって欲しい。

レペゼン:
いいところは盗めばいいんすよね。

Y‘s:
アメリカ人が日本に来た時、「日本すげーな、かっこいいな。かかってる曲もイケてるな」ってなって欲しいです。それが、俺の子供の頃からの夢。「あいつらアメリカかぶれ」って言われてきたけど、それが好きだからしょうがない。

さんピン(さんピンCAMP)みてUS聴くようになって、Biggie(ビギー)だの2pac(ツーパック)だの全部聞いて、そういうの引っくるめて全部好きで始めてるわけだから、「日本が日本の」っていうのは嫌だ。そう言うんだから、アジアで日本がしょぼくなっちゃうんだよ。

レペゼン:
そんなイケてるシーンになるように、我々も頑張んないといけないですね。

Y‘s:
だから、ちゃんとした人がクオリティコントロールしてほしいよね。

レペゼン:
本当にその通りです。

最後に

レペゼン:
人生における座右の銘を教えてください。

Y‘s:
七転び八起きかな。

レペゼン:
今のお話聞いてるとすごくしっくりきます。

Y‘s:
嫌なことはみんな平等にあるから。それでも諦めないでやり続けたらいいんじゃない?そしたらいいことあるかもね?っていう感覚ですね。

レペゼン:
読者のみなさんに、告知はありますか?

Y‘s:
1月24日に、釣りのトピックスのミニアルバム「ツリジャンキーEP」がリリースされます。ジャケットデザインも、ワームを入れてるパッケージっぽくして。釣り屋にもおいてもらう予定。
「ツリジャンキーEP」の購入はこちらから

レペゼン:
おおお!釣具屋さんに、Y‘sさんのCDが並ぶわけですね!超上がります!!

Y‘s:
夢だったからね。これでひとつ夢が叶いました。ラップしてきてよかったっす。

レペゼン:
今日はありがとうございました。アツい話が聞けました。

Y‘s:
うん。最後は深かったけど、大体は時計パクった話とか使ってもらえばいいから。文字に起こせる?笑

レペゼン:
あとはチャリンコの話ですね。笑
ギリギリまで文字起こしします笑

Y‘s:
ありがとうございました!

レペゼン:
こちらこそありがとうございました!

 

「昭和の残党」。自らの世代をそう例えるY’s。確かに時代とともにストリートは変わっていくかもしれないが、そんなY’sたちが作り上げてきたものがあるからこそ、今のストリートがあることを忘れてはいけない。そして何よりも、「”クオリティ”に妥協は許されない」ことは時代が変わっても変わり用のない事実だ。時代と共に変わるものと変わらないもの。そこに気づいてストレートに行動すること、我々にはもっとやれるべきことがあるかもしれない。

 

▼Y’s
Instagram:ys_yellowman1983
ツリジャンキーEP:https://linkco.re/YVQUdMAS
YSM Online Shop:http://www.ysm23.com

Interview:ABE HONOKA
Writer:中崎史菜

 

日本のストリートをレペゼンしよう。

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