Interview

2019.9.19 Thu

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レペゼンインタビュー:Lil’Yukichi 40分のトラックメーク

様々なアーティストから引っ張りだこのトラックメーカーLil'Yukichi(リル・ユキチ)の仕事の流儀

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自殺まで考えた。それでもその苦悩を乗り越えて、つかみ取った「第2次Lil’Yukichiビートブーム」。
後編は今や怖いもの知らずのトラックメーカーLil’Yukichi(リル・ユキチ)が実際にどのようなマインドと職人技で仕事と向き合うかを聞いた。

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将来ラッパーやトラックメーカーを志す者はもちろん、ヒップホップヘッズは必見!
その1曲がどう出来上がるか、その真髄を見届けよ。

前編を読む→

人生グラフ⑤アメリカ武者修行

レペゼン:
「第2次Lil’Yukichiビートブーム」のあと、アトランタに行ってたんですか?

Lil’Yukichi:
1ヶ月ぐらい武者修行しに行ってきました。現地のラッパーとかとも交流出来て、だいぶアツかったですね!!

レペゼン:
英語は喋れるんですよね?

Lil’Yukichi:
そうですね。親父が日本語分からないので、小さい頃から親父との会話は英語だったので。

レペゼン:
いい環境ですね!!言葉の壁はないってことですもんね!!

Lil’Yukichi:
まぁ生まれてから自然と身についた感じで、ラッキーでしたね。

レペゼン:
1ヶ月間のアトランタどうでしたか??

Lil’Yukichi:
やっぱ本場行って色んな人に自分のビートを聴いてもらって、「ハードだね!」とか「カッコいいじゃん!」って褒めてもらえたのが自信になりました。

レペゼン:
国を越えてそうやって認めてもらえると相当自信になりますよね!

Lil’Yukichi:
あとFuture(フューチャー)のレーベルのFreeBandz(フリーバンズ)のスタジオにも結構行ってたんですよ。そこでCasino(カジノ)ってFutureの兄貴のラッパーがいて、彼もヤバいねって言ってくれて自分の楽曲で2曲歌って録ってくれたんですよ。

レペゼン:
それすごいですね!!!

Lil’Yukichi:
日本とアメリカで色々と違うし権利問題とか難しいので、リリースされるか分からないんですけどね。でも自信になったし、通用するんだなって思って、今後は定期的に通って行こうかなって思ってます。

レペゼン:
じゃあ次は「第3次Lil’ Yukichiビートブーム」ですね!

Lil’Yukichi:
アメリカでね。笑

Lil’Yukichiのビートメイク

レペゼン:
楽曲制作のインスピレーションはどこから受けますか?

Lil’Yukichi:
他のアーティストたちからですかね。ジャンル関係なくカッコいい曲は聴くようにしてます。
特に身近な人がカッコいい曲出すと刺激になりますね。

レペゼン:
今日はテクノを聴いて来たと仰ってましたが、ロックとかヒップホップ以外の曲もよく聴くんですか?

Lil’Yukichi:
聴きますね。ロックはガッツリ聴いてたのは10年くらい前ですかね。今でもScreamo(スクリーモ)系とか当時好きだったバンドの曲とかは聴いてます。

レペゼン:
なるほど。やっぱり幅広いですねー!!
楽曲制作の流れはどういう感じなんですか?

Lil’Yukichi:
知ってるアーティストだったら「一緒にやろうよ」って決まったら、スタジオに入ってスタジオでビート作ってその場でラップを乗せてもらう時もあります。

レペゼン:
え!その場で作っちゃうんですか??

Lil’Yukichi:
そのパターンが多いですね。
それ以外だと、「曲を提供して欲しい」っていうメールが来て、ストックの中から渡したり、「こうして欲しい」っていう具体的なオーダーに対して作ったりですね。

レペゼン:
それはメールでデータを送ってもう終わりですか?

Lil’Yukichi:
知らない人とか遠くに住んでる人とかはそうですね。

レペゼン:
知らない人とかからの依頼も受けてるんですよね。

Lil’Yukichi:
まぁ、自分でも納得できる相手を選んでますけど。

レペゼン:
なるほどー。作り方も色々なんですね!
楽曲制作って、トラックだけじゃなくてラッパーの歌い方とか乗せ方もトータルで作り込んでいくんでしょうか?

Lil’Yukichi:
そうですね。スタジオに入る時は、トラックだけじゃなくて、プロデューサー的な立場で色々言ったりしながら作りますね。

レペゼン:
じゃあ歌い方もこうした方が良いんじゃないとか言うんですか?

Lil’Yukichi:
そうですね。歌詞もこう変えた方が良いとか言いながら一緒に作ってます。

レペゼン:
おー!!
1曲出来るまでにどのくらいかかったりするんですか?

Lil’Yukichi:
ビートは1曲平均だと40分くらいですね。

レペゼン:
早っ!そんなにすぐ出来るんですね!!!

Lil’Yukichi:
スタジオ入って、ラッパーのオーダー聞きつつ、短時間に集中して作る感じですね。
ストックもあるにはあるんですけど、普段から常に曲作り続けるのは集中力が切れるので、できないですね。日によってやる気なかったりもしちゃうので。

レペゼン:
じゃあ一緒にスタジオ入る時は、その場でこういう感じで作りたいとか話をして40分でパッと作っちゃうんですね。

Lil’Yukichi:
もちろんその後にアレンジとか少し手を加えたりもするんですけど、基本的に形になるのは40分ぐらいですね。

レペゼン:
すげー!!!!!

Lil’Yukichi:
まあ、10代、20代と青春を捧げてずっとやって来ましたからね。笑
今はそれぐらいで作れるようになりました。

レペゼン:
ヒップホップだと、”サンプリング”をベースに曲を作る手法もあると思うんですけど、そうやって作るときもあるんですか?

Lil’Yukichi:
そうですね。サンプリングする時は、結構遊びでやる事が多いんですけど。
NocoNoco(ノコノコ)が沢山レコード持ってるんで、そこから聴いて作ったりとかたまにしてますね。

レペゼン:
なるほどー!

Lil’Yukichi:
あとは自分の趣味のアイドルやアニメの曲をサンプリングして、ヒップホップにしてみたいなこともしてます。笑

レペゼン:
お!例えばどんなものですか?

Lil’Yukichi:
最近だと『うる星やつら』のエンディングの曲もサンプリングしましたね。

レペゼン:
へー!!
そういうジャンルにとらわれない感性がLil’Yukichiさんの武器なんでしょうねー!!

そう言えばZOT on the WAVE(ゾット・オン・ザ・ウェイブ)さんとやってるCook Up Japan TVの曲は一緒に作ってるんですか?

Lil’Yukichi:
そうですね。

レペゼン:
トラックメイカー2人でやると喧嘩にならないんですか?笑
どうやってバランス取るんですか?

Lil’Yukichi:
喧嘩にはならないですよ。笑
その時々によるんですけど、例えば僕が上ネタを作ってそこにハイハットだったりクラップを入れて、そこからパスしてまた上ネタを足したりキック入れたりだとかして、お互いにデータをパスし合いながら作ってます。

レペゼン:
単純な疑問なんですけど…
Lil’Yukichiさんが作った音の上に何か足されて、気に入らないとかはならないんですか?笑

Lil’Yukichi:
微妙だったらその時はちゃんと言いますよ。笑
「もうちょっとこうしようよ」とか微妙じゃない?とか。笑

レペゼン:
そうですよね!信頼し合えているからですよね!!
お互いに意見を出し合えればもっと良い物ができそうですもんね!

Lil’Yukichi:
そうですね!

辛いこと

レペゼン:
今までの音楽制作で辛かった事はありますか?

Lil’Yukichi:
なんだろうなぁ。自分がカッコいいと思って出したけど、あんまり反応が良くなかった時とかですかね。

レペゼン:
なるほど。

Lil’Yukichi:
あとは、ビートって完成してオーダーしてくれた相手に送るときに、「パラデータ」って言って、クラップ、ハイハット、スネアみたいに各パートのデータに別けて送るんですよ。

レペゼン:
はい。

Lil’Yukichi:
だからある意味、そのあとに自分の知らないところで、データをいじれちゃうんですけど。
それで誰かが自分が作った後にミックスして、音が自分の納得いく感じじゃないまま、世に出されちゃった時は辛かったですね。

レペゼン:
自分のイメージしたのとは違う感じで組み替えられたり、手を加えられたりするんですね。

Lil’Yukichi:
そうですね。基本あんまりいじらないで下さいって渡してはいるんですけどね。

レペゼン:
せっかく魂を込めて作ったものを変えられるのは嫌ですね。

Lil’Yukichi:
そうですね。自分で自信持って作っているので。

日本のヒップホップシーンについて、「ストリートの定義」とは

レペゼン:
今の日本のヒップホップシーンをどう思いますか?

Lil’Yukichi:
前に比べて色んな人が出てきてて、単純に面白いなって思います。すごい才能のある若い子たちも沢山いるし、音楽もファッションもゴチャゴチャになってる感じが良いですね。

レペゼン:
確かに、ヒップホップって言ってもいろんな人がいて面白いですよね!!
Lil’Yukichiさんから、「このラッパーに曲提供したい!」って思う時もあるんですか?

Lil’Yukichi:
一緒にやりたいなと思って、声をかけて一緒に作ったりとかはありますね。
最近だとShowy(ショウイー)っていう2人組でラップしている子たちがいるんですけど、先週一緒にやってきました。

Lil’Yukichi:
それはLil’Yukichiさんから声をかけてやったんですか?

Lil’Yukichi:
そうですね。カッコいいと思って。

Lil’Yukichi:
Lil’Yukichiさんが認めたってことですね!!笑
ではLil’Yukichiさんが思う、「ストリートの定義」とは何だと思いますか?

Lil’Yukichi:
自分はずっとインターネット上で主に活動していたので、自分的にはそこがストリートなんですよ。
11年前にラッパー名義として、初めてミックステープをネットに無料で出して、そこから色んな人に聴いてもらってきたので。

レペゼン:
なるほどー!納得です。
そういうのもストリートだろって事ですよね?

Lil’Yukichi:
そうですね。自分が活動するフィールドは、ネット上だけど、ストリートでしたね。

レペゼン:
人それぞれのストリートっていうものがあって面白いですね!!

ストリートで売れるためには

レペゼン:
そんなストリートで”売れるため”にはどうすれば良いと思いますか?

Lil’Yukichi:
他の人が持っていないような自分の色や味を出して、継続していく事ですかね。
継続は力なりじゃないですけど、やり続ける事が大切ですね。

レペゼン:
なるほど。
苦しい時もやり続けたんですもんね。

Lil’Yukichi:
2~3年前に℃-ute(キュート)っていうアイドルのリミックスをやらせてもらったんですけど、それこそ、もしドン底に落ちてた時に音楽辞めてたり、自殺してたらそんなコラボは起きなかった事なので、やり続けて良かったなって思います。

レペゼン:
継続して発信し続けていくって事ですね。

Lil’Yukichi:
あとは人と違うものを発信していくことですね。

レペゼン:
でも。その人と違う物を見つけたり、発信するのって難しいですよね?

Lil’Yukichi:
確かにそうですね。僕はラッキーだったのかもしれないですけど、ヒップホップをやってて、アニメが好きで、アイドルも好きで、それがたまたま自分の武器になりました。

レペゼン:
なるほどー!その掛け算ですね!!「ヒップホップ× アイドル× アニメ」って、周りと違いますもんね!!

Lil’Yukichi:
しかもそれプラス、トラップの前身のダーティ・サウスの作曲をやっていて、当時は日本でやってる人が全然いなかったんですよ。その組み合わせがたまたま自分ので武器になりましたね。

レペゼン:
今や、ヒップホップでトラップやサウスは主流ですもんね。
人と違っても、自分がかっこいいと思うものを信じてやると、”売れる”瞬間が来るんですね!!

座右の銘

レペゼン:
座右の銘はありますか?

Lil’Yukichi:
最近亡くなったNipsey Hussle(ニプシー・ハッスル)が良く言ってた「人生はマラソンだ」ですかね。

レペゼン:
なるほど。

Lil’Yukichi:
正直Nipsey Hussleってあんまり聴いた事なかったんですけど、その言葉を聞いて「確かにな」って思ったし、カッコいいと思いました。人生は、持久走で、継続して積み上げて行く感じですよね。

レペゼン:
耐えて耐えてですよね。

Lil’Yukichi:
そうですね。すぐに結果を求めるなって感じで、カッコいいなって思います。

レペゼン:
先ほどの話とも繋がりますね!!Lil’Yukichiさんがいうとさらに説得力が増します!

Lil’ Yukichiの今後の動き

レペゼン:
今後どんな動きをしていきますか?

Lil’Yukichi:
今後はもっと日本でヒップホップが根付くように何か考えていきたいですね。
だから逆にヒップホップではない人たちとも一緒に曲をやってみたいと思いますし。

レペゼン:
素晴らしいです!!
ヒップホップを広めるために、ヒップホップにこだわらない。

Lil’Yukichi:
あとはDJももっとやっていきたいです。

レペゼン:
そっか!クラブでDJもしてるんですもんね!

Lil’Yukichi:
そうなんですよ。だから、もっといろんなパーティーに呼んでもらいたいですね。

レペゼン:
クラブでもお会いしたいですね!
あとは「第3次Lil’Yukichiビートブーム」も期待しています!!

Lil’Yukichi:
そうですね。笑
アトランタに通ったり、海外進出もして行きたいです!

レペゼン:
告知はありますか?

Lil’Yukichi:
最近『Itadakimasu』って、なかむらみなみちゃんとBLAISEって2人のラッパーとフィーチャリングした曲を出したのでぜひ聴いてください。

レペゼン:
これも話題のコラボですもんね!

Lil’Yukichi:
あとは定期的に新曲をリリースしているんで各種SNS(InstagramTwitter)で最新情報チェックしてください!
ビート制作の依頼とDJの依頼もお待ちしております。

レペゼン:
みなさん!依頼はインスタからぜひ!!笑
今日はありがとうございました!!

Lil’Yukichi:
ありがとうございました!

 

人間であれば誰でも、人と違う事を行うことは、怖い。しかし、自分の思い描く世界を叶えるためには、その怖さを感じながらもそれを行わなければならない。
さらにそれは”人と違うこと”だから、プロップスを得られるまでには時間がかかる。でも自分を信じてやり続ける。それが実はストリートでは近道なのかもしれない。

Lil’Yukichiは我々にそんなことを教えてくれた。

そんな彼の人生を知った今、改めて彼の楽曲を聴くいてみる。今よりもさらに輝いた日本のヒップホップシーンの未来が見えてくる。
そしてもちろんそれを支えているのはLil’Yukichi、その人なのである。

 

Lil’Yukichi Instagram:lilyukichimoney

日本のストリートをレペゼンしよう。

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