レペゼンインタビュー#24:彫り師DEE(後編)TATTOOで繋がるストリート

ANARCHY、Staxx T、YZERR、KEIJU、JAZEE MINOR、SMITH-CN、Yellow Bucksなど…ヒップホップな顔ぶれがDEE(ディー)のもとにやって来る

前編で語られた、DEEのTATTOOとの出会い。ホルモン焼き屋の少年は、アメリカで覚悟を決め、今や様々なアーティストたちの歴史の一ページを彩る彫り師となった。
後編では、そんな彼とストリートの出会いにフォーカス。

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そして、さらに注目して欲しいのは職人としての仕事の情熱や優しさ。
彼が彫り師として、アーティストとして活動する理由がここにある。

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人生グラフ③ラッパーへの憧れ – ANARCHYとの出会い –

レペゼン:
グラフにもあるんですけど、彫り師として、「いけんじゃね?」って思ったきっかけは何かあるんですか?

DEE:
一番のきっかけはANARCHY(アナーキー)のタトゥーを彫った事ですね。俺の中でデカい出来事でしたね。

レペゼン:
ANARCHYさん!!それはすごい!!どういう経緯でANARCHYさんを彫る事になったんですか?

DEE:
元々彼の幼馴染の人とクラブ時代に繋がってて、その人にまず彫らせてもらったんですよ。で、そこから健太君(ANARCHY)に話が行って、直接連絡が来てって感じですね。

レペゼン:
すごい!向こうからオファーが来たって事ですよね。

DEE:
そうですね。確か一番最初は、首の小さい隙間に漢字を入れたのかな。

レペゼン:
もう何回も彫ってるんですか?

DEE:
全部で5個ぐらい入れてるかな。あともともと首にあったの親父さんが彫ったやつとかも直してる。

レペゼン:
首って痛そうですね。笑

DEE:
首はまあまあ痛いっすよ。笑

レペゼン:
でもその出来事はやっぱり大きなポイントですよね。

DEE:
俺の中でそれがあって結構変わりましたね。ずっとヒップホップが好きだったから、ラッパーに憧れがあって、地元で音楽を少しやってた時もあったんですよ。

レペゼン:
それはラップですか?

DEE:
本当に一瞬ですけどね。みんなでやろうってなって、フリースタイルのショーケースに出たんですよ。でも俺固まっちゃって何も言えなくて、それで挫折したんですけど。

レペゼン:
そうだったんですね!!

DEE:
その時のクルーで東京に出よう!って話になってたんですけど、当時、専門学生だった俺は付いて行かなかったんですよ。

レペゼン:
なるほど。

DEE:
生活もあるし、ビビって守りに入っちゃった。それでちょっとしたら、そいつらがめちゃくちゃカッコいいPV撮ってて、すごく後悔をした。だからラッパーに対しては憧れがあって、今ラッパー達とリンクが出来るタトゥーを見つけて、すげー楽しいなって。

レペゼン:
なるほど!!その憧れに追いついたみたいな感じですか?

DEE:
そんな感覚はちょっとありますね。

レペゼン:
いやー!それはやっぱり感慨深いですよね。
ANARCHYさん以外のラッパーも彫ってるんですか?

DEE:
Staxx T(スタックス・ティー、CREAM)、YZERR(ワイザー・BAD HOP)だったり、KEIJU(ケイジュ・KANDYTOWN)、JAZEE MINOR(ジャジー・マイナー)、SMITH-CN(スミス・シーエヌ)とか。あとYellow Bucks(イエロー・バックス)のも彫りましたね。

レペゼン:
すごーい!!ラッパーがラッパーを呼ぶみたいな感じなんですかね?

DEE:
そうっすね。俺もヒップホップが好きだから、彫りたいってのもありますし。

レペゼン:
「好きこそ物の上手なれ」ってことですよね。
ここ最近の動きはどうですか?

DEE:
30歳ぐらいで仕事としてスタートさせてから、なんか良いじゃんって感じで来てて、それで去年あたりからすごく上り調子ですげえ楽しい!ってなりました。今はちょっと振り出しに戻って、落ち着いて考え直してるところですね。

レペゼン:
考え直すってのはタトゥーについてですか?

DEE:
タトゥーに対してもそうだし、人生設計もちゃんとしてみようかなって段階かな。

DEEの仕事について

レペゼン:
オーダーが入ってから完成するまでの流れってのはどういう感じでやってるんですか?

DEE:
僕は基本的にお客さんのオーダーに全部合わせる必要はないかなって思ってます。色んなスタイルがあるので、出来るもの出来ないものもあるから、僕とお客さんのお互いが納得できるところまで話し合う作業が大事なのかなって。

レペゼン:
なるほど。お互いの考えをすり合わせていくいく作業が必要なんですね。

DEE:
一番大切なのは、お客さんがどういうものを求めてるかを、いち早く理解する事。かと言って、彫り師によっては何でもやる人もいるんですけど、そういうのは俺の中ではちょっと違うかなって。全てできるスキルが無いってことでもありますが…

レペゼン:
言われたものは何でもやる人もいるんですね。

DEE:
そうですね。 もちろん全部できる事には越した事ないし熟練した方々からしたらそれが普通です。ただ僕はまだまだタトゥーを彫り始めて日が浅いですし 修行中の身だと思っています。 なのでまずは自分が1番得意とする、1番やりたいジャンルを極めていきたいなっておもってます。それでなおかつ 、お客さんのニーズも理解しつつ、俺のアイディアで新しいものを提案する。それがタトゥーの一番の醍醐味でもあると思います。

レペゼン:
そうやって話し合いと提案を繰り返して、まずは絵を作っていくって感じですか?

DEE:
そうですね。

レペゼン:
それで絵ができたらチェックして、実際に彫っていく流れですか?

DEE:
そうですね。一度出来たデザインを確認してもらってから、彫る感じですね。

レペゼン:
人によっては事前のその話し合いが長引く事もあるんですか?

DEE:
いや、そんなにはないですけど、合わない人は合わないし、その時点で断っちゃったりはします。

レペゼン:
なるほど。

DEE:
やっぱり一対一なんで、正直この人は合わなさそうだなってのはあるので、そういう人に対しては申し訳ないけど、良いものは出来そうにないなって事は正直に言いますね。それはお互い人間なので、仕方がない事だと思います。

レペゼン:
相性ってありますからね。お客さんは紹介とかしかやらないって事ではないんですよね?

DEE:
紹介だったりとか、インスタのDMが来たらって感じですね。

レペゼン:
インスタのDMからも結構多いんですか?

DEE:
インスタしかやってないので、むしろそれしかない感じです。ホームページとかも作ってないので。

レペゼン:
お客さんの層はどんな人が多いですか?

DEE:
結構最近は若い子多いですね。逆に自分より年上はあんまりいない。

レペゼン:
男と女の割合で言ったらどうですか?

DEE:
男7割ですかね。まぁ時期にもよるんですけどね。

レペゼン:
そっか、夏前とかはお忙しそうですね。1ヶ月で何人くらい彫るんですか?

DEE:
月によって全然違うんですけど、多い時は20人くらいですかね。

レペゼン:
20人!多いですね!!
自分のスタイルの中で、こういうのはカッコよくて、こういうのはダサいみたいなのは明確にあるんですか?

DEE:
タトゥーにも色んなジャンルがあるんですよ。音楽とかもそうですけど、例えばDJで言うとヒップホップのDJにEDMかけてって言っても嫌がるじゃないですか?それと一緒です。オールジャンルの彫り師もいるけど、俺はそのジャンルに特化してる人の方がカッコいいと思ってるので。

レペゼン:
なるほど。DEEさんのタトゥーはどんなジャンルなんですか?

DEE:
トラディショナルってジャンルなんですけど、ちょっとコミカルな感じですね。

レペゼン:
それ以外を無理にやっちゃうとダサくなるって事ですか?

DEE:
そうですね。だったらやらない方がマシかなと思う。出来ないものはちゃんと出来ないって断りますね。一生消えないものなので 少しでも僕の方に不安要素がある場合は正直に言います。

レペゼン:
なるほど。

DEE:
何でも出来る訳じゃないので。お客さんは何でも出来ると思って来る人が多くて、でもタトゥーの知識は自分の方が持ってるので、ちゃんと説明をして分かってもらえたらやりましょうって感じですね。

レペゼン:
そごく優しいですね!!DEEさんに彫ってもらったら安心できる気がします!!
DEEさんが尊敬する彫り師さんはいますか?

DEE:
もちろんいます。僕も色々教えてもらったUE(ウエ)さんって人なんですけど、その人は本当に凄い人だなと思ってます。あとは海外で活躍してる日本人のタトゥーアーティストも尊敬しています。

レペゼン:
代表的な方を教えてもらえますか?

DEE:
海外で活躍してる方だとNissaco(ニッサコ)さん、GAKKIN(ガッキン)さんって方達がいて、その方同士は仲が良いんですけど世界を代表する日本人タトゥーアーティストですね。

レペゼン:
タトゥーアーティスト同士繋がっていらっしゃるんですね!!自分の仕事のモチベーションは何だと思いますか?

DEE:
凄い大事な事だと思うんですけど、環境ですね。

レペゼン:
クリエイターとかアーティストにはとても影響しそうですもんね。

DEE:
そうですね。今の環境はマンネリ化してきちゃってて、刺激がないので環境を変えようかなと思ってます。

レペゼン:
そうなんですね!!環境変えたら、さらに進化すると思うと楽しみですね!!

DEEの野望と座右の銘

レペゼン:
今後の目標とか野望はありますか?

DEE:
拠点を海外に移したいなとは思ってます。

レペゼン:
おお!!どこに行っちゃうんですか?

DEE:
アジアが安いんで、アジアに住みたいなとは思ってます。

レペゼン:
アジアだとどこが良いなとかありますか?

DEE:
バリですかね。

レペゼン:
おおー良いですね!!

DEE:
あとは、行く行くは路面店というか自分のスタジオ持ちたいなってのもありますしね。

レペゼン:
座右の銘はありますか?

DEE:
「とりあえずやってみる」

レペゼン:
今日の話聞くと、その座右の銘はすごく説得力ありますね。

DEE:
僕の中でやってみて上手くいかなかった事は失敗じゃない。むしろその時点である意味成功なのかなと。一番の失敗は、やろうと思ってたんだけどやらなかった事。何か言い訳をつけてやらなかったり、諦めちゃう事が失敗なんだと思います。

タトゥーを入れたい人達へのメッセージ

レペゼン:
タトゥーを入れたいなと思ってるけど、まだ入れた事のない人に対して何か一言頂けますか?

DEE:
痛くないよ。笑

レペゼン:
なるほど!笑

DEE:
たぶん未知の恐怖があると思うんですよ。体験した事のない事だし、痛いってイメージもある中、勇気を出して初めて来てくれた人には、僕も応えたいなと思うし、みんなが思ってる程痛くないですよ。

レペゼン:
やっぱり優しい!笑

DEE:
日本だと「親が…」とか、「仕事が…」とかでタトゥーを躊躇すると思うんですけど、そういう事を言ってくる人には、アドバイスではないかもしれないけど、あんまり気にしない方が良いよとは言っちゃいますね。

レペゼン:
本当に入れたいなら、そういうしがらみとかは気にしない方が良いよって事ですね。

DEE:
もちろん人それぞれの美的センスがあるし、見えない所に入れるのがカッコいいって思う人や見せたくないって思うのも、その人の考え方だから否定はしないです。
けど、タトゥーは場所によって見え方が変わってくるんですよ。ここにはこういうのが合うとか黄金比みたいなのがあって、それを仕事とか直接関係ない理由で妥協するのであれば、どうなのかなって思います。

レペゼン:
なるほど。やるなら中途半端はダメですね。

DEE:
絶対に仕事で見せちゃったらクビになる人とかに対して、良いじゃんとは言えないですよね。でもだったら入れなければ良いじゃんとも思っちゃうんですよね。僕はタトゥーのために仕事やめた事とか何度もあります。笑

レペゼン:
そうですね。でもちゃんと決意して入れに来てくれる人に対しては、怖がらずに気軽においでよって感じですよね。

DEE:
そうですね。やっぱり最初は怖いと思うけど、いざ蓋を開けてみたらこんなもんかって感じだと思いますよ。

レペゼン:
初めてで怖いなって人でも、DEEさんのとこに行けば優しく迎え入れてくれるって事ですね!!

DEE:
やっぱ少し怖いなってイメージがあると思うんですけど、全然そんな事ないから。

レペゼン:
じゃあDEEさんに彫ってもらいたいなって人は、DMを!ですね笑

DEE:
そうですね。基本的にインスタから連絡してもらえれば。

レペゼン:
読者の皆様もぜひ!!今日はありがとうございました!

 

一度は諦めたヒップホップドリームも、形を変えて叶えることができる。DEEからそんなことを学ばせてもらった。
強い想いを持ちながら、活動し続ければ夢は夢で終わらない。これはきっとどんなジャンルでも同じだろう。

そして、掴んだチャンスは逃すな。これもDEEから学んだこと。ひとつのTATTOOに向き合うということは、ひとりの人物と向き合うこと。職人として技はもちろんのこと、丁寧さ、堅実さ、優しさにも磨きをかけ続けるDEEの今後の活躍からも目が離せない。

前編を読む→

 

▼DEE
Instagram:dee_tattooer

Interview:ABE HONOKA

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